老後にもらえる年金は10万円ほどです…定年退職後も働く予定なのですが、「再雇用」と「再就職」のどちらのほうが収入は多くなるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月11日 5時20分
老後にもらえる年金は、現役時代の働き方などによって金額が異なります。 しかし、年金が毎月10万円ほどの場合は、生活が難しくなることが予想されます。そのため、多くのシニア世代は、定年退職後も働くことを検討しているようです。定年退職後に働く場合の選択肢として「再雇用」と「再就職」がありますが、どちらの方が収入は多くなるのでしょうか? 今回は「再雇用」と「再就職」で収入がどう変わるかについて調べました。それぞれのメリット・デメリットもまとめましたので、定年後の働き方について考えている方は参考にしてください。
年金10万円では生活できない!? 定年退職後の一般的な家計収支
定年退職後に年金だけで生活できるのか、心配な方もいらっしゃるでしょう。年金額や生活費は家庭によって異なりますが、一般的な家計収支については、総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」が参考になります。同調査によると、65歳以上の無職世帯における1ヶ月の平均消費支出額は以下の通りです。
●単身無職世帯:14万5430円
●夫婦のみの無職世帯:25万959円
老後にもらえる年金が1人10万円ほどであれば、単身世帯で4万5430円、夫婦のみの世帯では5万959円の赤字になることが分かります。年金だけで生活するのが難しい場合は、定年退職後も仕事を続ける必要があるでしょう。
定年退職後の再雇用と再就職ではどちらの方が収入は多くなる?
定年退職後に仕事を続ける場合、選択肢として「再雇用」と「再就職」があります。定年後の働き方を考える際に、「再雇用と再就職ではどちらの方が収入は多くなるのだろう」と、疑問に思う方もいるでしょう。
厳密に両者を比較したデータはないため一概には言えませんが、各種調査を参考にして定年退職後の収入目安を知ることはできます。
再雇用の場合
再雇用の場合については、株式会社リクルートジョブズリサーチセンターが実施した「【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023 -個人編60~74歳-」を参考にできます。同調査によると、定年後に定年前と同じ組織で働いている人の「定年前の給料」を100%としたときの、継続雇用後の給料割合は、以下の通りです。
●25%未満:5.0%
●25~50%未満:21.4%
●50~75%未満:43.3%
●75~100%未満:16.3%
●100%以上:14.1%
再雇用を含む継続雇用の場合は、大半のケースで定年前よりも収入が下がり、50~75%未満になった方が最も多いようです。
再就職の場合
「定年後は、別の会社で働きたい」もしくは「これまでと違った仕事に就きたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。再就職した場合の収入については、国税庁長官官房企画課の「令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-」を参考にできます。同調査によると、定年前後の平均年収は以下の通りです。
●55~59歳:545万1000円(男性:711万8000円/女性:329万9000円)
●60~64歳:445万1000円(男性:572万5000円/女性:278万2000円)
●65~69歳:353万6000円(男性:456万2000円/女性:221万7000円)
同調査から、仮に60歳で定年退職して再就職した場合の平均年収は、60~64歳で現役時代の81.7%ほど、65~69歳で64.9%ほどになる可能性があると分かります。
再雇用と再就職のメリット・デメリット
再雇用か再就職を選ぶ際は、収入だけでなく、それぞれのメリット・デメリットも加味して検討することが大切です。
再雇用の場合は、自分で新たに仕事探しをする必要がなく、同じ環境で働き続けられるケースが多いでしょう。これまでの経験やスキルを生かせる点が、メリットのひとつです。ただし、同じような業務にもかかわらず収入が下がる可能性がある点や、以前の部下が上司になる場合もある点がデメリットだと感じるかもしれません。
再就職の場合は、人間関係をリセットして、新しい仕事にチャレンジできるメリットがあります。プライベートを優先するために、負担の少ない仕事を選ぶことも可能です。しかしシニア向けの求人では選択肢が狭まるため、なかなか再就職先が決まらないケースもあるでしょう。
再雇用と再就職で、どちらの収入が多くなるかは一概に言えない……両者のメリット・デメリットも考慮したうえで検討しよう
再雇用と再就職の収入を厳密に比較するデータはないため、どちらの収入が多くなるかは一概に言えません。
しかし公的機関などのデータを基に調べてみたところ、再雇用では、大半のケースで定年前よりも収入は下がり、50~75%未満になった方が最も多いことが分かりました。また再就職では、55~59歳までの平均年収を100%とすると、60~64歳でおよそ81.7%、65~69歳でおよそ64.9%になることが分かりました。
定年後も働く場合は、収入だけでなく、再雇用と再就職のメリット・デメリットを考慮して最適な仕事を探すことが大切です。「同じ環境でそのまま仕事を続けたい」「プライベートを優先できる仕事がよい」「新しいことにチャレンジしたい」など、定年後の働き方で重視したいポイントを決めて、自分に合った選択肢から選ぶとよいでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2023年-(19ページ)
株式会社リクルート ジョブズリサーチセンター 【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査2023 ―個人編60~74歳― Part2 これまでの仕事経験 13. 継続雇用での給与の変化(25ページ)
国税庁長官官房企画課 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告- 調査結果(統計表) 第10表 事業所規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額 その3 平均給与(170ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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