友人に車を貸したらぶつけられました…。自分の保険等級がダウンして保険料が「2万円」高くなったのですが、友人にこの分を出してもらえないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月11日 5時10分
家族や友人間で車の貸し借りをする人もいるでしょう。この際注意したいことは事故が起きた場合の責任の所在や、自動車保険の問題です。 今回のケースのように、貸した車で友人が事故を起こした場合、被害者への損害賠償のために保険を使う可能性があります。その場合、保険料が高くなってしまいますが、上がった分の保険料をどうすべきか問題になるかもしれません。 本記事では、車の貸し借りと事故が起きた場合の保険料について解説します。
事故の責任は車の貸主と借りた運転手にある
車を他人に貸して事故が起きた場合、その責任は運転者と車の所有者の双方にあるといえます。
「運転しているのは友人なのだから、もっぱら友人がすべての責任を追うのでは」と考えるかもしれませんが、実際には運転者だけでなく、車の所有者にも責任が発生するでしょう。
自動車損害賠償保障法第3条には以下の通り規定されています。
「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる」
貸主は、この「運行の用に供する者」として責任を負うものと考えられます。そのため損害賠償請求は運転者と貸主が受けるといえます。
損害賠償の保険は一般的に自賠責保険や任意保険を組み合わせる
損害賠償のために保険を使う場合、人身事故であれば、一般的には車の貸主が契約している自賠責保険が使われます。ただし自賠責保険は、任意保険と比べると補償内容が不十分であることが珍しくないようです。
被害者が死亡した場合は3000万円、けがは120万円、後遺障害は程度によって75万~4000万円までが限度額です。大きな事故を起こしてしまった場合、損害賠償額がこれらの限度額をオーバーするおそれがあります。
自賠責保険をオーバーする場合は任意保険を利用できます。それでも足りない場合は、貸主か事故を起こした友人の自己資産を使わなければならないかもしれません。なお物損事故の場合自賠責保険は使えないため、任意保険からの対応となります。
任意保険は貸主と運転者どちらのものを使う?
では仮に自賠責保険で補償しきれず任意保険に頼らざるを得ない場合、貸主と運転者、どちらの保険も使える可能性があります。ただし貸主が加入している契約の補償範囲が「運転者限定」や「家族限定」など制限されている場合は、補償対象にならないでしょう。
この場合は運転者である友人が加入する任意保険の利用を検討することになるでしょう。友人の保険契約に「他車を運転する際の補償特約」などがついていれば、貸主の車による事故であっても友人の保険を使って補償可能です。
いずれにしても、どの保険を使うべきかは、双方が加入している保険の契約内容などを精読して判断する必要があります。
上がった保険料は誰が払うべきか?
今回のケースでは貸主の任意保険を使っており、等級が下がって保険料が上がってしまっています。この場合、貸主が上がった分の保険料を払うか、それとも事故を起こした運転手の友人が払うかについては、当事者同士で話し合う必要があるでしょう。
また保険料のみでなく、貸した車の修理費についても考える必要があります。車の修理費を払ってほしい場合は、その旨も友人に伝えられます。もし話がまとまらずトラブルに発展しそうな場合は、必要に応じて弁護士への相談を検討した方がいいかもしれません。
いずれにしろ事故のリスクについて考えると、友人に車を運転させるときは以下のような準備をしておくようおすすめします。
・任意保険の補償範囲の確認(友人の運転も補償されるか)
・事故が起きた場合の責任の所在
・損害賠償に対して適用する保険
もしお互いの任意保険の補償対象・内容が十分でないと感じる場合は、貸し出す期間中、短期間で加入できる自動車保険に加入してもらう方法もあります。保険によっては1日単位で加入できるものもあります。
高くなった保険料の支払いについては当事者の話し合いが必要
友人が起こした事故のせいで保険料が上がってしまった場合、上乗せ分は誰が払うかについては、貸主と友人が話し合う必要があります。
事故後に余計なトラブルへ発展しないよう、事前に責任の所在や保険内容についてよく話し合っておきましょう。
出典
デジタル庁 e-GOV法令検索 自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号) 第三条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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