「特許出願」にはどのくらいの「費用」が必要なの? 特許取得までの流れも解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月11日 10時20分
特許を取得すると、独自の発明や技術を独占的に使用する権利を得られます。しかし、特許を出願するための費用や手続きのハードルが高いと感じている方も多いでしょう。 本記事では、特許出願にかかる費用や手続きの流れを紹介するとともに、特許の取得が儲かるかどうか解説します。
そもそも特許とは
特許とは、発明者が行った画期的な発明を国が保護し、一定期間独占的に使用する権利を与える制度です。発明者は自分の発明を使用して利益を得られます。また、発明を公開することで、その技術をもとにさらなる発展を遂げられるようになります。
例えば、スマートフォンをはじめとした電子機器や自動車などの製品は、さまざまな特許技術が集積されて作られたものです。歴史的に有名な特許の例としては、発明王と呼ばれたエジソンによる電球や、ノーベル賞を受賞したIPS細胞の技術などが挙げられます。
特許制度の目的は、産業の発展だとされています。発明を保護しなければ、最初の発明者が得るべき利益を奪われてしまうリスクがあります。
発明者が不利益を被るような状態だと、発明に対するモチベーションが低下してしまい、新たな革新的製品や技術が生まれなくなってしまう危険性があるでしょう。新しい発明が生まれなくなれば、産業全体の発展が滞るリスクがあります。
一方で、発明者が永遠に独占権を持っていることで、別の問題が発生します。発明者が技術を独占し続けると、他の人がアイデアを活用できず、社会全体の有益な発展が阻まれてしまう可能性があるのです。
ある画期的な技術があったとしても、技術にアクセスできるのが発明者のみであれば、他の企業や研究者が技術を改良したり新しい技術を開発したりする機会が失われてしまいます。
特許取得にかかる費用
特許庁によると、特許取得には複数のステップがあり、それぞれに費用がかかります。主な費用は以下の通りです。
特許出願:1万4000円
出願審査請求:13万8000円(+請求項数×4000円)
登録料:4300円(+請求項数×300円)×3年分
合計すると、特許取得には初期費用として少なくとも十数万円以上が必要です。
特許取得の流れ
特許を取得するためには、他の人によってすでに特許出願されていないか調べる先行技術の調査を行い、特許出願の準備をします。特許出願には紙で行う方法とインターネットを利用する方法があり、紙で出願する場合は特許願を作成します。
次に、特許願に集配郵便局で購入した特許印紙を貼り付けて、郵送もしくは特許庁の受付窓口に提出します。特許印紙は、特許庁での手続きに必要なもので、通常の収入印紙は使用できません。
提出後、数週間程度で特許庁から電子化手数料の払込用紙が送られてきます。2400円+(800円×書面のページ数)を支払ってください。
一方、インターネットを用いて出願する際は、電子証明書と専用ソフトウェア(インターネット出願ソフト)を用いて、自宅や社内のパソコンからオンラインで行います。
特許庁が発明内容を審査するための手続きには、特許出願が受理されてから3年以内に出願審査請求書の提出が必要です。請求後、審査の順番待ちに入り、審査結果が通知されるまでの期間は、平均で約10.1ヶ月とされています(2020年時点)。
特許を取得したら儲かる?
特許を取得すると必ず儲かるわけではありません。主婦が日用品の発明で数億円を稼いだり、個人発明家が大企業との特許訴訟で巨額の賠償金を得たりした事例もありますが、あくまで一部の成功事例に過ぎません。発明の経済的価値はそれぞれ異なります。
経済的価値が高く、多くの人に需要がある発明であれば、特許の取得有無にかかわらず儲かる可能性もあるでしょう。反対に、需要の少ない発明は特許を取得しても大きな利益を上げられない可能性があります。特許の価値は発明の需要や市場性に大きく依存していると考えられます。
特許取得には数十万円の費用がかかる
特許を取得するためには、出願費用、審査請求料、登録料など、最低でも合計で十数万円の費用がかかると考えられます。
特許取得によって発明や技術の保護が可能ですが、すべての発明が経済的な成功に直結するわけではありません。特許の価値をしっかりと見極め、自身のアイデアが本当に利益を生むかどうか考慮した上で、特許出願を検討することが大切です。
出典
特許庁 初めてだったらここを読む~特許出願のいろは~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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