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住宅ローンの「がん団信」を利用する価値はあるのか

ファイナンシャルフィールド / 2019年1月26日 9時30分

住宅ローンの「がん団信」を利用する価値はあるのか

住宅ローンを組むときに加入する団体信用生命保険(団信)には、がんと診断確定されると以降の返済が不要になる商品があります。   こうした商品は、「がん団信(付き住宅ローン)」と呼ばれています。住宅ローンは1000万円単位の高額になるのが一般的なので、魅力を感じて検討している人や、すでに利用しているという人も多いのではないでしょうか。   そこで今回は、この「がん団信」の商品価値について考えてみます。  

がん団信とは?

一般の団信は、住宅ローンを借りた人が死亡したり高度障害状態になったりしたときに、保険会社から支払われる保険金で住宅ローンの残債が一括返済される保険です。
 
がん団信はこの保障範囲を拡大し、死亡や高度障害状態のほか、がんと診断確定されたときも、残債の支払義務がなくなるというものです。
 
一般の団信は、住宅ローンの契約者が返済能力を失った場合に備えるものですが、がんにかかったときも収入が減ったり返済能力が低下したりすることがあるので、がん団信はそれに備えるというコンセプトと考えて良いでしょう。
 
なお、がん以外の病気も対象としている団信もあります。例えば「7疾病」「8疾病」「全疾病」といった言葉が使われている商品ですが、これらはがん団信と同列で評価はできません。これらはがん以外の病気で返済が免除されるための条件や、金利(保険料)と保障のバランスが大きく違うため、がん団信と似たようなものとして検討するのはおすすめしません。
 

保険金の支払条件は基本的にがん保険と同じ

がん団信で住宅ローンの残債が免除される条件は、がん保険の給付金が支払われる条件と基本的に一緒です。その条件とは「がんと診断確定されること」です。
 
そのため、がん団信に加入することは、がんと診断確定されると診断一時金がもらえるがん保険に加入するのと似ています。ただし、以下のような違いがあります。
 

1.保険金額が大きい

がん保険に加入する場合、診断一時金は50~300万円程度の金額で加入するのが一般的です。しかし、がん団信は住宅ローンが対象なので、がん保険よりもかなり高額になります。
 

2.受け取る保険金の金額が時間の経過とともに減少する

がん保険の診断一時金なら受け取る保険金の金額は常に同じですが、がん団信はがんと診断確定された時点における残債が対象なので、契約してから時間が経過すればするほど保険金として受け取る金額は小さくなります。
 

3.上皮内新生物は対象外

がん保険の中には、適切な治療を施せば転移の可能性がほとんどない上皮内新生物も対象としている商品がありますが、がん団信は対象としていません。(ただし、特約を付けることで給付金がもらえる商品もあります)
 

がんにかかっても、住宅ローンの返済能力を失うとは限らない

タレントの宮迫博之さんは、42歳のときに胃がんと診断されて胃の3分の2を切除しましたが、無事に治療を終えて元気に活躍されています。
 
死亡したり高度障害状態になったりすれば住宅ローンの返済能力がなくなるのは言うまでもありませんが、がんの場合は早期に発見できれば、宮迫さんのように返済能力を失わないで済むことも珍しくありません。
 
がん団信で受け取れる保険金の金額はがんの進行度とは関係がないので、契約から間もなくがんにかかり大きな負担なく完治した場合、あたかも宝くじに当たったような経済的メリットが得られることがあるのです。
 
冷静に考えるとこの保障、果たして本当に「必要」でしょうか?もちろん、進行度によっては住宅ローンの支払義務が免除されることで、大いに助かることもあるでしょう。
 
しかし、がん団信は進行度にかかわりなく支払の基準が一律なので、保障がやや過剰になっているのではないかと言えます(残債の50%のみが対象という商品もあります)。過剰な保障は保険料に反映されているはずなので、がん団信の利用を検討するうえではこうした視点も持っておいたほうが良いでしょう。
 

金利だけでは商品の良しあしを判断できないので注意しよう

がん団信は「必要」な保障かと言われれば、そうとも言えないのではないかと以上で説明してきました。しかし、がん団信は免除される金額が高額なため、魅力を感じて利用する人もいるでしょう。
 
そのため「必要」かどうかという視点だけでは何とも言えず、個人の価値観によって決めても良いのではないかと考えられます。がん団信は、通常の団信に0.1%程度の金利を上乗せすることで利用できる商品が多いですが、中には上乗せがまったくない商品もあります。
 
上乗せ負担がないと、オトクな商品のように感じるかもしれません。しかし、住宅ローンの良しあしは金利だけでは判断できないので、他の要素も考慮したうえで利用するかどうか決めましょう。なお、融資の実行日から90日間は保障されないこと、契約前の時点でがんにかかったことのある人は利用できないことに注意してください。
 
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 
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