年収600万、子持ちの会社員におけるiDeCoでの節税はどのぐらい
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月27日 10時30分
![年収600万、子持ちの会社員におけるiDeCoでの節税はどのぐらい](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_34631_0-small.jpg)
日本のゼロ金利時代は1999年から続いており、企業経営には利点も多いのでしょうが、個人の資産運用には大変難しい環境です。利回り確保をねらうには株式や海外資産への投資を選ばざるを得ず、常にリスクにさらされます。 今回は、iDeCo(個人型確定拠出年金)について見てみましょう。掛金が全額所得控除される点に着目して、iDeCo節税額をリターン(利息)と考えてみることにします。
老後資金としての退職金や確定拠出年金
給与所得者が永年の勤務の結果として退職時に受け取る退職金・年金は、「確定給付年金」として運営されてきました。
近年、確定給付年金は企業の退職金・年金積立不足の負担リスクが大きいため、「確定拠出年金」を制度とする会社が増えています。また、会社の制度だけで退職者の充分な老後資金が確保できないため、追加年金としての確定拠出年金制度を持つ企業も多くなっています。
年金制度を持たない中小企業や自営業者のための制度が、個人型確定拠出年金iDeCoです。今年は、公務員を中心にiDeCo加入者が急増していると言われています。この背景は、税金の仕組みなどに詳しい公務員ならではの所得控除の活用があると思われます。
モデルケースの設定
標準的な給与所得者がiDeCoに加入した場合に、所得控除でいくら控除され、その際の所得税と住民税の額はいくら節税になるのかを計算するため、モデルケースを設定してみましょう。
男性会社員
年齢:45歳
年収:600万円
家族:妻と子ども2人
妻の年収:130万円
iDeCoの月額積立額:2万円 60歳まで15年間積立
モデルケースでの所得税と住民税の差(iDeCo加入と加入ナシ)
このケースの所得税と住民税の合算額の差は次の通り、年間3.6万円になります。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2019/01/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-32.jpg)
これを15年間続けた場合の節税額合計は3.6×15=54万円になります。(実際は年収変動やその他の条件が変わりますが、単純化のため15年間同じと想定します)
住民税は納付時期が所得税と1年ずれるため、この表で示している金額が年末調整などで還付されるわけではありませんが、2年分を通算するとこの額になります。
*600-(174+38+38+85.8+5)=259.2 給与―(給与所得控除+基礎控除+配偶者控除+社保控除+生保控除)
** ***の計算式は省略、所得税、住民税共に税率10%―控除額または調整額
iDeCoの運用商品別構成と利回り
iDeCoの運用商品は元本確保型商品(預貯金・生損保保険)と、その他(投資信託)に分かれます。
国民年金基金連合会のデータ(※)を基に算出すると、その構成比は預貯金(金融債含む)38.7%、生損保保険26.1%、投資信託35.1%になっています。運用商品別の利回り(リターン率)を指し示す適当なデータはありませんが、元本確保型商品では0.01から0.05%、投資信託では高利回り(10%以上)からマイナスまであります。
投資信託では利回り年4~5%の安定ファンドを選び、残高を増やす長期運用が推奨されています。国内債券やバランス型は低リスクファンドですが、さらにリスクを回避したい人は、元本確保型を選びます。
所得控除適用による節税分を利息と考えるとどうでしょうか。所得控除はすべてのiDeCo商品に適用されますので、元本確保型のみならず投資信託を選択した場合もファンドの運用利息プラス所得控除で還元分が加入者の取り分となります。
所得控除の節税額と節税分を毎年使わず積み立てる
上記のモデルでは600万円の年収で、年間24万円のiDeCo積み立てをすると、3.6万円の還付または納税額が減少します。15年間の積立総額360万円に対して、15年間で54万円の税金が節税できます。これを積立総額360万円に対して54万円のリターンとして計算すると30%になります。
節税分を別勘定にして積み立てるのは、なかなか難しくてすぐ使ってしまいそうですが、iDeCoで積み立てしなければ元々入ってこなかったお金です。15年間積み立てを実行すると商品からのリターンはゼロでも、合計で414万円の積立残高になります。
iDeCoやNISAに加入して受ける所得控除は、税金が減って良かったと使ってしまうことが多いと思われますが、このような考え方で積み立て始めると、貯まる喜びにつながると思われます。
ここまで、厳密な計算をしてiDeCoに加入しているわけではないでしょうが、この優位性への着目がiDeCo急伸の背景かもしれません。
出典
国民年金基金連合会データ「iDeCo(個人型確定拠出年金)の 制度の概況」
執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)
ファイナンシャルプランナー CFP
関連記事
■世帯年収800万円の家庭、老後に備えておく金額とは
■夫婦で2500万円、年金月額換算27万円という数字の意味と老後の過ごし方
■『貯蓄4000万円』がゆとりある老後生活の基準? 老後破産してしまう人の共通点
この記事に関連するニュース
-
老後資金準備はNISA一択で本当にいい? 50代だからこそiDeCoが有効といえる理由
MONEYPLUS / 2024年6月23日 7時30分
-
余計な税金は払いたくないんです…年収720万円・59歳“定年直前”サラリーマンの切実な悩み【CFPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月13日 11時15分
-
夫の給料が今年からアップ!増えた分「iDeCo」の掛け金を増やすほうがいいでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月6日 20時10分
-
老後のために「年利3%」で毎月2万円を運用すると、20年後にはいくらになる?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月6日 6時30分
-
新NISAとiDeCoはどっちが優先?…目的が「教育資金」か「老後資金」で優先順位が変わる理由
プレジデントオンライン / 2024年6月1日 8時15分
ランキング
-
1関東「気動車王国」の離れ小島路線が面白い! 不思議な“右ハンドル”車両 3駅の路線に“スゴイ密度”であるものとは?
乗りものニュース / 2024年6月29日 15時12分
-
2意外な面倒さも? 財布いらずの「スマート支払い」、店側はどう思っているのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月30日 8時10分
-
3ウイスキーが「おじさんのお酒」から激変したワケ 市場復活に導いたサントリーのハイボール秘話
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 8時20分
-
4「押しボタン式信号」なぜ“押してすぐ青”にならないケースが? 納得の理由があった!
乗りものニュース / 2024年6月29日 16時42分
-
5障害者雇用未達で「社名公表」寸前からの挽回劇 法定雇用率クリアへの3年で見えた成果と課題
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)