定年まであと10年。金銭面で老後の生活に不安を感じています。今から将来の年金受給額を増やす方法はありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月13日 22時0分
若い時は定年なんてまだ先だと思っていたけれど、あっという間に50歳になってしまった、という方も多いかもしれません。本記事では、定年までの10年間で、将来の年金受給額などを増やし、ゆとりある老後を過ごす方策について解説してみます。
公的年金を増やす
まず、国民年金と厚生年金、企業年金などの公的年金の受給額を増やすにはどうしたらよいかを考えてみます(ここでは、企業年金も公的年金と定義します)。
1. 10年間働き続ける
これは、年金を増やすというよりも、定年前で早期退職制度や個人的な理由で退社してしまうと厚生年金の掛け金が減り、かつ企業年金の積み立ても停止してしまうので、将来の年金受給額が減少します。したがって、年金受給額を増やすことを考える前に、減らさないことも視野に入れる必要があります。
一方、働き続けることによって、昇進・昇給があった場合、厚生年金や企業年金の掛け金が増え、年金受給額が増加する可能性もあると思います。個人の希望どおりになるとは限りませんが、昇進・昇給の機会を得られるような働き方も年金受給額を増やす1つの手段になります。
2. 国民年金の未納期間を埋める
なんらかの理由で国民年金の未納分がある場合には、年金受給額が減額されます。また、加入期間が合計で10年に満たない場合には、受給資格を得ることができません。
したがって、未納分がある人は、保険料の後払い(追納)を行いましょう。ただし、納付期限から10年以上経過している場合には、追納をすることができないので注意が必要です。詳しくは、お近くの年金事務所に相談するとよいでしょう。
3. 付加保険料を納付する
国民年金の定額保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納付することで、将来の国民年金の受給額を増やすことができます。
ただし、納付することができる方は、自営業者などの国民年金第一号被保険者
および国民年金に任意加入している方に限ります。したがって、会社員など厚生年金に加入している第二号被保険者や第二号被保険者に扶養されている配偶者などの第三号被保険者は、この制度を活用できません。
4. 繰下げ受給をする
年金の繰下げ受給を選択することで、繰り下げた期間に応じて年金額が増額(繰り下げた月数×0.7%、最大84%)され、その増額率は一生変わることはありません。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げができます。
65歳で年金を受け取らず、繰下げ受給しても生活できる蓄えや収入などがある方は、検討してもよいかもしれません。ただし、増額されるメリットはありますが、一方で早く亡くなると年金受給総額が少なくなるなどのデメリットもありますので、活用する場合には、慎重に検討する必要があります。
公的年金以外の蓄えを増やす
より豊かな老後を送るために、公的年金と組み合わせて老後資金を準備する制度についても解説します。民間の保険会社などを使った私的年金もありますが、本記事では、税制面で優遇されている2つの制度について紹介します。
1. iDeCoを活用する
iDeCoとは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度の1つで、加入は任意となっています。自分で決めた掛け金を積み立てて運用し、60歳以降に受け取ることができます。掛け金および運用益が非課税で、受給する際にも年金としての控除を受けることができ、税制面で優遇されている制度です。
詳しくは、iDeCoを取り扱っている金融機関などに相談してみましょう。
2. つみたてNISAを利用する
つみたてNISAは、長期の積立・分散投資に適した、金融庁の基準を満たした投資信託を積み立てる制度です。このNISA口座で投資した金融商品から得られる運用益(配当金/分配金)、および売却益が非課税になる税制面で優遇された制度です。
ただし、つみたてNISAで投資できる年間上限額は120万円で、成長投資枠と合わせて1800万円までが非課税となっており、非課税保有期間は無制限になっています。ただし、投資信託での運用は元本が保証されているものではありませんので、運用はあくまで自己責任となります。
まとめ
定年までの10年間で公的年金を増やすには、健康に留意しながら働き続けることが基本です。その上で、国民年金の未納期間がある人は追納し、自営業者などの国民年金第一号被保険者などは付加保険料の納付を検討しましょう。また、65歳で年金を受け取らず、生活できる蓄えや収入などがある方は、繰下げ受給を検討してもよいでしょう。
さらに、公的年金以外に上乗せし、ゆとりある老後を送ることを目指している方は、税制面で優遇されるiDeCoやつみたてNISAを活用することも検討しましょう。ただし、ご自身で選択する金融商品は元本が保証されているものではありません。あくまで、自己責任で運用することは必須ですので、留意が必要です。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 付加保険料とは、どのようなものですか。
厚生労働省 iDeCoの概要
金融庁 NISAを知る
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
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