子どもにせがまれて犬を飼うことにしました。フード費、おやつ費、散歩中のトラブルなどいろいろ不安なのですが、ペット保険の費用も心配……保険料はいくらくらいかかりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月14日 4時40分
ペットにかかる費用の中でけがや病気の治療費とフード・おやつが上位を占めています。ペットにかかる診療費は全額自己負担なので、予想外に高額になる場合があります。万が一に備えてペット保険へ加入しておくと安心です。
ペットにかけた費用
アニコム損害保険株式会社「家庭どうぶつ白書 2023」を見ると、1年間にかけた費用の合計額は、犬(平均年齢5.0歳)が35万7353円、猫(平均年齢4.4歳)が16万766円となっています。
費用項目は、けがや病気の治療費、フード・おやつ、サプリメント、しつけ・トレーニング料、シャンプー・カット・トリミング料、ペット保険料、ワクチン・健康診断等の予防費、ペットホテル・ペットシッター、日用品、洋服、ドッグランなど遊べる施設、首輪・リード、防災用品、交通費、光熱費(飼育に伴う追加分)です。
このうち、そのうちけがや病気の治療費は、犬が6万7367円、猫が3万1138円、ワクチン・健康診断等の予防費は犬が3万4154円、猫が1万3504円となっています。
治療費はあくまで平均値です。犬が骨折して手術や入院をした場合、30万円ほどかかるケースもあります。ペット保険に加入しておけば、一度の治療に何十万円かかっても経済的な負担を軽くできます。
ペット保険
ペット保険は、飼い犬や猫などが、国内の動物病院で入院や手術などを受けた場合にかかる治療費において、その一部を補償するための保険です。基本的な補償内容は、入院、手術、通院です。ワクチン・健康診断等の予防費は対象外です。損害保険会社や少額短期保険事業者が販売しています。
人間の場合、病院で治療を受けたとき、窓口で支払う自己負担は治療費の原則3割で済みます。また、自己負担額が限度額を超えたとき、超えた分が高額療養費として支給される高額療養費制度もあります。
しかしペットの治療費には、人間と違ってこのような公的な医療保険制度がないので、かかった治療費は全額自己負担になります。
ペットが高齢になると、それに伴い治療費も高額化しています。また、平均寿命も延びています。高額な治療費の負担を軽減し、費用の心配なくペットに必要な治療をしてあげるのに、ペット保険は有益な選択肢のひとつです。
ペット保険の選び方
基本的には、民間医療保険の選び方と同じです。
●ポイント1 対象となるペットの種類
主な対象は犬と猫です。ただし保険によっては、うさぎなどの小動物や鳥、爬虫類なども対象となる商品もあります。なお、盲導犬などの身体障害者補助犬も対象ですが、興行や闘争などの商業目的の動物については対象外です。
●ポイント2 加入年齢・継続可能年齢
加入には各社年齢制限があります。犬では10歳程度(犬種により異なる)、猫では8歳程度までが一般的となります。加入上限年齢のない保険もあります。保険期間は一般的に1年で、そのたびに保険料が上がるものが多いですが、保険によっては一定の年齢に達すると保険料が一律で定額になるケースもあります。
継続するには、手続きが不要なもの(自動更新型)と必要なものがあります。継続が可能な年齢は、(1)終身、(2)一定年齢までの2種類があります。ペットの健康状態や傷病歴によって、継続できない場合もありますので約款で確認しましょう。
●ポイント3 補償内容
【補償対象】
基本的な補償対象は、病気やけがにより入院、手術、通院をしたときにかかった治療費です。通院した際は補償しないものもあります。その他にも、がんで手術をしたときに手厚い補償が受けられる特約などがセットされたものもあります。
たとえば、補償の範囲が幅広い保険の場合は、高額治療になりやすい「がん」や「椎間板ヘルニア」「膝蓋骨脱臼(パテラ)」「歯科治療」など、ペット保険では補償対象外にされやすい診療も対象としています。
【補償割合(保険金支払割合)】
保険金として受け取れる補償割合は、治療費の「50%」「70%」を選択できるのが一般的です。70%なら自己負担は30%になります。保険によっては「100%」というものもありますので、興味がある方は確認してみましょう。
【支払限度】
通院・入院に関しては、「1日あたりの支払限度額」「年間の支払限度額」「年間の支払限度日数」というような制限があります。また、手術に関しては「1回の支払限度額」「年間の支払回数」というような制限があるものや、年間の支払限度額までなら「1回(1日)の支払限度額無制限」「支払回数無制限」といったものもあります。
【補償の開始時期】
新規に加入する場合、保険開始日から一定期間中、補償の対象とならない期間(待期期間)がある場合があります。
●ポイント4 保険料
補償割合が50%よりも70%のほうが保険料は割高になる傾向になります。たとえば、治療を受けた際に自己負担する金額(免責金額)が決められている場合、保険料を安く抑えることができます。補償割合が70%で免責金額が3000円の場合、3000円を超えた部分の70%の保険金を受け取ることができます。
また、一般的に高齢になるほど保険料が高くなります。継続契約のケースでは、保険料も上がっていきますので、現時点の保険料だけではなく、5年後や10年後の保険料も確認しましょう。
クレジットカードでの支払いが可能であれば、ポイントがたまりお得です。インターネット契約割引やマイクロチップ割引などの「割引制度」がある場合もあります。該当するものがあれば検討してみましょう。
●ポイント5 保険金の請求方法
病院の窓口で治療費の全額を支払って、後日保険金を請求するのが一般的となります。少数ですが、提携動物病院の窓口で保険証(健康保険の限度額適用認定証に相当)を提示して、自己負担分のみを支払う「窓口精算」ができる場合があります。この場合、保険金を請求する手間が省けるでしょう。一方、保険料は高くなりがちです。
●ポイント6 特約
特約は、主契約の補償内容を充実させるためのものです。「ペット賠償責任特約」「ペット火葬費用特約」などがあります。
まとめ
チェックポイントを参考に自分のニーズに合ったペット保険を見つけましょう。たとえば、大きな病気やけがの際に治療費を心配せず、高度な治療を受けさせたいといった場合には、補償割合の高いもの、保険金の支払い回数や支払限度額に制限がないものがよいでしょう。
継続可能年齢は犬も猫も平均寿命が延びてきていることから、「終身」が安心です。また、付帯サービスとしてペットの健康などについて獣医師に相談できるサービスがあれば安心です。
なお、万一、保険会社が破たんした場合、少額短期保険業者には公的なセーフティーネットがないので財務力のチェックはしっかり行いましょう。
出典
一般社団法人ペットフード協会 令和5年(2023年)全国犬猫飼育実態調査
アニコム ホールディングス株式会社 犬・猫の平均寿命に更に延伸、高齢犬・猫の診療費も調査 〜世界最大規模のペット統計データ集 アニコム『家庭どうぶつ白書 2023』公開〜
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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