子どものために「児童手当」は貯金しています。10月から第3子だけ「3万円」なので金額差で“不平等”にならないか不安です。どう振り分けるべきでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月15日 5時0分
2024年10月から児童手当が拡充されました。この制度改正に伴い、親に経済的負担のある22歳までの子どもが3人以上いる場合、第3子以降の子どもに対して1人あたり月額3万円が支給されることになりました。そのため、受け取る児童手当の金額が増える人もいるでしょう。 しかし、児童手当を子どものために貯金している家庭にとっては、この第3子以降3万円という金額をどう割り振るべきなのか、悩むかもしれません。 本記事では、なぜ第3子以降の児童手当の額が第1子、第2子に比べ多く設定されているのかについて解説し、口座への割り振り方について提案します。
児童手当の変更点のポイント
まず、変更点のポイントを3つに絞って、それぞれ解説します。
(1)支給対象年齢の拡大
児童手当の支給対象は、従来の中学校卒業までから、高校卒業相当の18歳になって最初の3月31日までに拡大されました。これにより、子育て世帯の経済的負担の軽減が期待されます。
(2)所得制限の撤廃
これまでの所得制限が撤廃され、高所得世帯も含めて全ての対象家庭に児童手当が支給されるようになりました。
(3)第3子以降の支給額増加
最も注目すべき変更点は、第3子以降の子どもに対する支給額が月額3万円に増額されたことです。ただし、この「第3子以降」の考え方はやや複雑なため、注意が必要です。
きょうだいのうち「子」としてカウントされるのは、18歳に達する日以後の最初の3月31日を経過後、親に経済的負担がある22歳の年度末までの子どもです。
例えば22歳・16歳・14歳の3きょうだいの場合、22歳は児童手当支給対象外ではあるものの「第1子」となり、14歳は「第3子」として扱われますが、23歳・17歳・15歳になると、23歳はカウントからはずれ、17歳が「第1子」、15歳は「第2子」といったように上の子が22歳を超えると、下の子の順位が繰り上がります。
なぜ第3子以降の児童手当が高いのか
第3子以降の児童手当が高く設定されている理由には、「少子化対策」が挙げられます。
厚生労働省の2023年度の国民生活基礎調査によると、児童のいる世帯は983万5000世帯で、これは全世帯の18.1%にあたります。児童のいない世帯が80%を超える状態は2022年以降続いており、少子化が進んでいるといえるでしょう。
また、児童のいる世帯のうち、3人以上の児童がいる世帯は11.7%です。多子世帯への経済的支援を強化することで、3人目以降の子どもを持つことへの障壁を下げ、出生率を向上させることが狙いです。
また、多子世帯への経済的な支援の目的もあります。一般的に、子どもの数が増えるほど、教育費や生活費などの経済的負担が大きくなります。そのため、第3子以降の手当を増額することで、負担を軽減させる狙いです。
児童手当の割り振り方
3歳未満は第1子・第2子1万5000円と第3子3万円、3歳以降は第1子・第2子1万円と第3子3万円と、子どもごとに支給額が決まっている児童手当ですが、金額の割り振り方については、各家庭の状況に応じて柔軟に対応することが望ましいです。
3つの考え方について紹介します。
(1)均等分配
全ての子どもに平等に分配する方法です。生まれた順番にかかわらず、支給額を人数で割って貯蓄額を平等にします。
(2)年齢や必要に応じた分配
子どもの年齢や教育段階に応じて、必要な費用を考慮しながら分配する方法です。例えば、小学生と大学へ進学を控えた高校生の子どもがいた場合、高校生の子に多くの金額を配分し、進学費用に備えることも選択肢の1つです。
(3)将来の教育費を見据えた貯蓄
第3子以降の増額分を、将来の教育費に備えて別の口座で貯蓄するという方法です。例えば子どもが3人でその月の支給額が5万円の場合、1人1万円ずつ貯蓄をし、残った2万円を別の口座に貯金します。子どもによって進路やかかる費用はさまざまなため、不足が生じた際に、必要に応じて使うことができます。
具体的な分配方法を決める際は、家族で話し合い、各子どもの現在の状況と将来の計画を考慮することが大切です。第1子が児童手当の対象年齢から外れると、第3子は「第2子」としてカウントされるため、ずっと3万円が支給されるわけではないことにも注意が必要です。どのタイミングで減額となるかも考えながら、分配方法を決めると良いでしょう。
まとめ
児童手当の拡充は、多子世帯への支援を強化する重要な施策ですが、第3子だけの増額分がほかの子どもとの貯金の差を生むことに悩む人もいるでしょう。
しかし、児童手当は子どもたちの成長を支援するためのものなので、金額の違いにとらわれず、家族で話し合いながら効果的な活用方法を見つけていくことが理想といえるでしょう。
出典
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
厚生労働省 国民生活基礎調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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