50歳、300万円の定期預金が満期を迎えます。銀行から「このお金、外貨預金しませんか?」と言われました。50代の外貨預金は老後資金作りに向いていますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月15日 23時20分
Aさんは50歳。300万円の定期預金が満期を迎え、銀行から「このお金で外貨預金をしませんか?」と提案されました。 年齢的にも、老後資金作りが視野に入っているので、この方法が適切なのかどうか判断に迷っているそうです。外貨預金をすべきかどうか、判断する方法を解説します。
外貨預金がよいかどうかを判断する方法
外貨預金が適切かどうかは、
(1) 外貨預金のメリット・デメリットを知る
(2) 他の商品と比較する
(3) 老後必要資金から考える
この3つのポイントから判断するとよいでしょう。以下で、順に確認します。
外貨預金のメリット・デメリット
外貨預金のメリットの一つは、金利の高さです。低金利の日本円に比べると、外貨預金の金利は高く設定されています。また為替の影響を受けるため、預入時より円安になれば為替差益を得ることができます。
デメリットとしては、円高になると為替差損が発生すること、為替手数料があることや預金保険制度の対象外であることなどが挙げられます。
外貨預金をする前に、為替手数料の金額の確認と為替の損益分岐点をシミュレーションしたうえで判断するとよいでしょう。シミュレーションは銀行のホームページで行うことができますが、下記に例を示します。
例えば、1ドル150円のときに金利4%のドルの定期預金に300万円を1年預けるとします。仮に1年後も1ドル150円として単純に計算すると、利息は300万 × 4% = 12万円となりますが、実際手元に残る利息は約7万5000円です。実質利回りは、2.5%ほどです。
なぜなら、利息には約2割の税金がかかるうえ、円からドルに、ドルから円に交換する際、為替手数料が発生するためです。今回の計算では、片道0.5銭の為替手数料が発生する前提で計算しています。
1ドルあたり0.5銭の手数料がかかるため、例えば預入時は約1万円の手数料がかかります。税金と手数料がかかるため思ったほど増えないという印象を持ったかもしれません。
この例の場合、為替レートの損益分岐点は146.3円ですが、損益分岐点は為替手数料や金利によって異なりますから、他の銀行と条件を比べて判断するとよいでしょう。
外貨預金以外の選択肢
外貨預金以外の選択肢としては、やはりiDeCoとNISAは外せません。iDeCoやNISAをまだ始めていないなら、選択肢として取り入れましょう。これら2つの制度は税制優遇が大きいうえ、外貨預金は預入期間が決められているのに対し、NISAなら運用期間は自由に決められます。
ただしiDeCoやNISAは投資信託での運用になるため、為替リスクに加え、株式の値動きによる価格変動リスクや海外の社会情勢によってはカントリーリスクが発生する点は認識しておく必要があります。
老後必要資金を見積もる
今回は、定期が満期になったということで老後の資産形成に外貨預金を考えたようですが、まずは老後に必要となる資金を一度見積もってみるとよいでしょう。
50代になると、ねんきん定期便には年金の見込み額が記載されます。記載の金額で生活できるか、生活できなければ、あといくら必要か計算してみましょう。その金額から、外貨預金でよいのかどうか判断も可能です。
老後のためであれば、まだ10年以上運用期間があります。外貨預金は満期が来るたびに更新できますが、満期時点の利率が適用されるため、10年間の利率は一定ではないことは知っておきましょう。
一方、iDeCoやNISAの場合は、為替リスク以外のリスクを考える必要はありますが、長期運用が可能になるためリスク低減効果を期待できます。老後に向けて、一度具体的に必要資金を見積もることで、どの方法が資産形成に合うのか判断しやすくなるでしょう。
出典
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
金融庁 NISA特設ウェブサイト
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
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