65歳の父の「年金は月40万円」発言に驚愕! そこまで「高収入」ではなかったと思うのですが、年金ってそんなにもらえるものなのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月16日 2時10分
親がどれくらい年金をもらっているかは気になるものの、なかなか直接聞けないという人もいるでしょう。今後の生活設計にも関わる重要事項だからとようやく聞き出した年金額が、自身が考えるよりも多くて驚いたり、「なにかの間違いでは?」と感じたりする人もいるかもしれません。 本記事では、65歳の父親が話す「年金額は40万円」は真実なのかを解説します。
65歳から公的年金で月40万円をもらうのは不可能
結論として、65歳の父親が公的年金のみで月額40万円を受け取ることは不可能です。
会社員の場合、国民年金と厚生年金に加入し、老後は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つを受給可能です。老齢基礎年金の受給額は、国民年金の納付月数や厚生年金の加入期間などによって計算されます。
老齢厚生年金のメインである報酬比例部分は、現役時代の収入によって受け取る金額が決まり、加入期間が長いほど、また加入期間の平均年収が高いほど増加します。
ただし、報酬比例分で受け取れる金額には上限があるため、年収が高ければ高いほど無限に年金受給額が増えるわけではありません。
標準比例分を計算するのに必要な「標準報酬月額」では、32等級の65万円が最大となっているため、受け取れる年金受給額にも上限があるという計算になります。そのため、65歳で老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて月額40万円を受け取ることは不可能となります。
「40万円」はなにを意味しているのか?
月額で公的年金を40万円受け取ることは不可能ですが、それでは、父親はなにをもって「40万円受け取っている」と言っているのでしょうか? いくつかの可能性を考えてみましょう。
まず1つ目は、40万円受け取っているものの、それが「2ヶ月分」であるという可能性です。年金は、原則年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。例えば、12月分と1月分の年金はまとめて2月に支払われます。
「40万円」もらっているものの、それは2ヶ月分であり、1ヶ月当たりだと20万円というのは、可能性としては高いかもしれません。
2つ目の可能性は、夫婦の合計を言っているというものです。聞く際にはっきりと「母親は別」としていない場合、もしかすると世帯当たりの年金額を言っているのかもしれません。
3つ目の可能性は、公的年金以外の私的年金を加えているというものです。生命保険会社が提供する個人年金保険やiDeCoなどに多く加入している場合、公的年金と合わせて月額40万円を受け取っているのかもしれません。
年金を月に20万円もらっている人もかなり少ない
「40万円」の可能性としていくつか挙げましたが、1つ目の2ヶ月分で40万円の場合、1ヶ月当たりでは20万円となります。そして、年金を月額で20万円もらっている人は決して多くはありません。
厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男性の老齢厚生年金の平均受給月額は16万3875円(老齢基礎年金を含む)です。
そして、男性で平均年金月額が20万円以上なのは22%程度です。2ヶ月分で40万円だった場合でも、今回のケースでは「父親が受け取っている年金の水準は高いほう」だといえるでしょう。
繰下げ受給をすれば年金を月額40万円に近づけられる
年金は基本的には65歳から受け取れますが、75歳まで受給開始年齢を遅らせることも可能です。そして、遅らせれば遅らせるほど、増額した年金を受け取れるという仕組みです。
具体的には、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%が65歳から受け取るはずだった年金額に加算されます。そのため、66歳では8.4%、70歳では42.0%、75歳では84.0%の増額率が、年金額に加算され、生涯加算後の年金を受け取れます。
65歳から年金受給を開始せずに、受給開始年齢を後倒しにすることで、月額40万円の水準に近づけることが可能です。
まとめ
65歳の父親が公的年金だけで月額40万円を受け取ることは不可能ですので、2ヶ月分を指しているなどの可能性が考えられます。次に年金の話をする際は、月額でいくらか、夫婦合わせた金額かなど、より具体的に聞いてみると良いでしょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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