相続税対策で、毎年「110万円」の贈与を受けることになりました。贈与税は110万円まで「非課税」だから問題ないですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月16日 4時30分
相続税対策は子や孫に少しでも多くの財産を残すために重要です。手段はさまざまですが、その1つとして挙げられるのが生前贈与で、贈与税がかからない範囲内で毎年贈与することもできます。 しかし、こうした対策をしても、場合によっては贈与税の対象となってしまうこともあります。 本記事では、相続税対策として毎年110万円の贈与を受ける場合、課税対象になるケースと非課税になるケースを紹介します。
定期贈与と判断されるかどうかが重要
贈与税は1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産が対象になり、基礎控除額である110万円を超えた分が課税対象です(暦年課税)。そのため、贈与税を避けるためには、1年間の贈与額を110万円以内にする必要があります。
基本的に年間110万円以内に抑えていれば問題ありませんが、ここで重要になるのが「定期贈与」と判断されるかどうかです。定期贈与とはもともと贈与する全体金額が決まっていて、それを分割しながら贈与していく方法のことをいいます。
例えば、最初から1000万円の贈与が決定していて、毎年100万円ずつを10年間で贈与すると決めているなら「定期贈与」です。この場合は1000万円をまとめてもらったと判断されて、贈与税の対象となる可能性が高いです。
定期贈与と判断されないための対策はある?
定期贈与と判断されると贈与税が発生するため、「定期贈与ではない」という証拠を残すことが大切です。実際にいくつか方法があるので、それぞれの状況に合わせて判断してください。
主な方法としては、「贈与契約書を作成する」「銀行振込で贈与をおこなう」「毎年違う時期に贈与する」「毎年違う金額を贈与する」が挙げられます。
贈与契約書を毎年作成する、銀行振込で贈与をおこなう理由は、定期贈与ではないという客観的な証拠となり得るからです。加えて現金手渡しで証拠が残らない形で贈与を行うことで、申告逃れと判断されてしまうリスクもあります。
ただし、毎年同じような時期に同じ金額を贈与すると定期贈与を判断される可能性も高くなります。少しずつ時期や金額も変えるなどの工夫も必要になります。
各種書類作成についてはわからない点などは税理士や司法書士などの専門家に相談して、しっかりとした形式で作成しておくと安心です。
状況に応じて特例制度の活用も視野に入れる
祖父母・父母から子・孫へ財産を渡す場合、多額の贈与でも非課税になる特例制度が設けられています。例えば、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」などです。
適切な手続きをすれば大きな金額が非課税になりますが、特徴としてはどちらも利用目的が決められている点といえます。決められている利用目的以外の方法で使った場合、課税対象になる可能性があります。
他にも贈与内容によってはそもそも贈与税がかからないケースもあるため、自分にとってメリットがある方法を選択してください。
まとめ
相続税対策として毎年110万円の贈与を受ける場合、贈与税がかからないこともあれば、かかることもあります。定期贈与と判断されないためにも、毎年贈与額や時期を変えるなど対策を考えましょう。
また、贈与内容によっては特例制度も利用できるため、贈与する前には使用目的に合わせた方法を選ぶことが大切です。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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