住宅購入の契約をしたのですが他の人が先に購入してしまいました。どのようなルールなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月18日 5時0分
住宅購入に際して、購入希望を示して申し込んだにもかかわらず、結果としてあとから現れた他の購入希望者が契約に至るケースがあります。本記事では、住宅購入の契約に関する基本的な事項と契約時に気を付けたいポイントを紹介します。
申し込み=売買契約ではない
住宅購入の「申し込み」とは、買いたい物件に対して購入希望の意思を示す行為です。購入希望者が売り主に「この物件を購入したい」という意向を伝え、購入金額や引き渡し時期などの条件について売り主と交渉を開始します。
しかし、この段階ではまだ正式な契約ではありません。売買契約が成立するのは、売り主と買い主が条件に合意し、正式な契約書を交わした時点となります。
売買契約が結ばれていないかぎりは、どちらからも交渉を撤回することが可能です。つまり、購入を希望しているからといって、必ずしも物件を購入できる権利があるわけではなく、売り主は条件が合わない場合、他の購入希望者と交渉を進められます。
また、申し込み後に他の購入希望者が現れた場合、より好条件の希望者が優先されるケースもあるため、売買契約の段階に進むまでは状況が変わる可能性があるのです。
申し込みの段階なら別の人が購入する可能性がある
申し込み段階では、他の購入希望者も同じ物件を検討できます。例えば、売り主に買付証明書(購入申込書)を提出して条件交渉を始めたとしても、他の購入希望者が同じ時期に申し込みを行えば、売り主は交渉相手を選ぶことが可能です。
なお、購入希望者が提示する条件だけでなく、資金計画の確定状況も優先順位を決めるうえで重要視される要素の一つとなります。
例えば、Aさんが事前にローンの融資審査を通過して資金計画が確定しているのに対し、Bさんはまだ審査を受けていない段階にある場合、売り主にとって信頼性の高いAさんとの交渉が優先される可能性が高くなります。資金計画が確定していることで、売り主はスムーズに契約を進めやすくなるからです。
購入意思だけではなく、進行状況や資金の確実性が売り主にとっての判断材料となるため、申し込み段階では他の希望者が優先される可能性も十分に考えられます。
申し込みを行う際は、事前に資金計画や条件を整え、迅速に交渉できる体制を整えておくことが、契約を有利に進めるうえでのポイントといえるでしょう。
住宅購入の契約で気を付けたいポイント
住宅購入の際は、売り主と買い主の間で細かい条件を話し合って合意できれば、正式な売買契約を結びます。しかし、契約するにはさまざまな注意点があります。ここでは、住宅購入の契約について押さえておきたいポイントを紹介します。
契約が一度締結すると解除が難しいことを理解する
住宅購入の契約は、一度締結すると簡単に解除できません。売買契約書にサインし、押印したあとで気が変わったとしても、「契約を白紙に戻してほしい」という要望が通るケースはほとんどないでしょう。
契約には、後悔しないよう十分に納得したうえで臨むことが大切です。なお、契約の取り消しには法律的な手続きが必要になったり、違約金の発生につながったりする可能性もあるため、契約時は慎重に行ってください。
重要事項説明での不明点は必ず解決する
売買契約を締結する前には、宅地建物取引士の資格を持つ不動産会社の担当者が、法律にもとづいて「重要事項説明」を行います。重要事項説明は、購入者が物件の詳細やリスクについて十分に理解し、契約に進むかどうか最終判断を行うための大切なステップです。
不明点や疑問点がある場合は、遠慮せずに質問しましょう。納得しないまま契約に進んでしまうと、あとから問題が発覚した際にトラブルの原因となる可能性があります。
クーリングオフが利用できる条件を事前に確認する
住宅の売買契約には、クーリングオフ制度を利用できる条件がありますが、すべての契約に適用されるわけではありません。適用できる条件は、以下の通りです。
・宅地や建物の売買契約であること
・契約が不動産会社の事務所以外で行われたものであること
・物件の引き渡しや代金の決済が完了していないこと
ただし、不動産会社の勧誘による訪問販売のような場合であれば、クーリングオフが認められるケースもあります。ただし、買い主の意向にもとづいて自宅や勤務先で行った契約は、クーリングオフの対象外です。
申し込みは売買契約ではないため購入は確定していない
申し込み段階では、まだ物件の購入は確定していません。売買契約の成立までは他の購入希望者の申し込みが優先される可能性があります。また、契約に進む前には重要事項の確認や資金計画の整備も大切です。
住宅購入は大きな決断を伴うため、申し込みから契約成立までの流れや、クーリングオフ制度などの注意点を十分に押さえたうえで、安心して手続きを進められるよう準備をしておくとよいでしょう。
出典
警視庁 クーリング・オフをご存じですか
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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