東京都から神奈川県に引っ越したところ「住民税」が高くなりました…年収は変わっていないのに、自治体によって税金が変わるものなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月18日 23時0分
都道府県をまたぐ引っ越しをすると、同じ収入でも住民税額が変わっているケースがあります。住民税額が減る分には得をしたと感じる方もいますが、もし増えると疑問に思う方もいるでしょう。 住民税は自治体ごとに異なる可能性があるため、引っ越しを決めたときは確認が必要です。今回は、東京都と神奈川県の住民税の差を例に、住民税率の決まり方などについてご紹介します。
住民税は基準を基に自治体が決めている
総務省によると、住民税の基準は所得割が所得に対して10%(都道府県民税と区市町村民税の合計)、均等割は一律料金である4000円と、国税の森林環境税の1000円で計5000円です。会社勤めの方だと、これらの金額が給料から毎月引かれることになります。
ただし、あくまでも基準のため、実際に支払う金額は自治体ごとに決められている数値で計算したものです。例えば、東京都と神奈川県の住民税は以下のように異なります。
●都民税:4%
●区市町村民税:6%
●所得割合計税率:10%
●均等割:5000円
●県民税:4.025%(政令指定都市の場合は2.025%)
●市町村民税:6%(政令指定都市の場合は8%)
●所得割合計税率:10.025%
●均等割:5300円(横浜市の場合6200円)
神奈川県のほうが東京都よりも税率が0.25%、均等割が300円高く設定されています。神奈川県は水源環境の保全に使われる「水源環境保全税」を採用しているためです。超過課税とも呼ばれ、令和6(2024)年現在は令和8(2026)年まで適用されることが決まっています。状況によっては、令和8年以降に延長される可能性もあるでしょう。
東京都と神奈川県で住民税額はいくら変わる?
今回は、以下の条件で東京都と神奈川県での住民税額の差を比較しましょう。
●40代
●年収500万円
●賞与は考慮しない
●社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除以外の控除は使用しない
●保険料は全国健康保険協会の保険料額表を使用する
年収500万円で賞与を考慮しないと、月収は約41万6667円です。住民税を求めるには、社会保険料や給与所得控除などを引いて、課税所得を求める必要があります。条件を基にした各種社会保険料はともに以下の通りです。
●健康保険料と介護保険料:月額2万3739円
●厚生年金保険料:月額3万7515円
●雇用保険料:年間3万円
●社会保険料合計:年間76万5048円
また、年収500万円のときの給与所得控除は「収入金額×20%+44万円」で求められるため144万円、住民税の基礎控除は43万円です。社会保険料と給与所得控除、基礎控除を年収から引いた236万4900円が、住民税の計算に使われます。
東京都に住んでいる場合、住民税は基準値と同じため「236万4952円×10%+5000円」なのでおよそ24万1495円です。一方、神奈川県の住民税は「236万4952×10.025%+5300円」となり、約24万2300円になります。
今回のケースの場合、東京都と神奈川県で年間900円程度の差です。
自治体によっては独自で超過課税を定めているところもある
住民税は、総務省によって所得割10%と均等割5000円という基準が定められています。ただし、あくまで標準税額なので、自治体が独自の超過課税を設けているケースも少なくありません。
例えば、東京都では基準値通りの設定ですが、神奈川県では所得割が10.025%、均等割が5300円です。年収500万円の場合は、年間で900円程度の差になります。
自治体によって設定している超過課税の内容は異なるため、引っ越しをしたあとに住民税が高くなったと感じたときは、自治体のホームページで個人住民税の内容を調べてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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