父の相続手続きが大変だったので、母は生前から家の中や金融機関の整理をしていますがうまくいきません。手続きを楽にするためになにかやっておくことはありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月20日 22時0分
親が生きているうちから、相続について気になっている人は多くいるでしょう。また、「父の相続手続きが大変だったので、母のときは事前準備をしようと、母に何度となく家の中の整理や金融機関の口座の整理するように言ったけどうまくいきません」というような話もよく耳にします。 相続手続きは、ちょっとした工夫で簡単になります。今回は、相続について、親が生きている間にできることをお話します。
家の中のさまざまな整理
親の相続対策をしようと思ったとき、まずは、いわゆる「断捨離」を行いましょう。
相続手続きというと、不動産や金融機関の口座等の名義変更や水道光熱費の引き落とし口座の変更、役所に行って年金の手続き等を想像するかもしれません。それも物理的・体力的に大変な作業ですが、家の中の整理というのも実は大変な作業です。
長い年月を過ごした家には、多くのものがあります。実際に使っていたものはもちろん、ほとんど使っていないものもクローゼットや押し入れに入っていることでしょう。
親が住んでいた家は相続後どうなるかというと、「住む」「貸す」「売る」の三択です。どれを選ぶにしても、家の中のものを整理する必要があります。つまり、要らないものの処分が必要となり、処分費がかかります。
この「要らないもの」の選別が大変です。「全部を処分する」と割り切れれば簡単ですが、自分の実家となると思い出もあり、難しいのが正直なところです。ましてや親が大切にしていたものとなると、「捨てる」という決断がしづらいでしょう。
そこで、親が元気なうちに、親といっしょに家にあるものを整理することが大切です。親から直接個々のものに対する思いを確認し、「親が生きている間は置いておき、死後は処分するもの」「親の死後引き継ぐもの」「今すぐ捨てるもの」に分類しておきましょう。
このとき、この3つの区分を親に伝える必要はありません。「死後捨てるよ」と伝えると、親は悲しむと思われるので、自分の心にとどめておき、リストだけ作っておくのがよいでしょう。
金融機関名を知ろう
自分の親がどういった金融機関と取引をしているかを、すべて知っている子は少ないです。親といっしょに暮らしているとある程度の想像はつくけれど、社会人になって実家を出たという人にとって、親がどの金融機関と取引をしているかは把握しにくいでしょう。
そこで、まずは親が取引をしている金融機関を教えてもらいましょう。教えてもらうといっても残高を聞く必要はありません。金融機関名と支店名を聞くだけで、難しければ金融機関名だけでも聞いておきましょう。
相続手続きをするときに、金融機関名さえ分かれば、支店名が分からなくても調べてもらえるので、とにかく金融機関名だけは親に確認しておきましょう。
親との会話を大切にしよう
親と過ごせる時間は、思っているよりも少ないです。よく考えてみてください。年に何回親と会っていますか? その会っている時間は何時間ですか?
親が残り何年生きられそうかを考えると、おのずと親と過ごす残り時間が分かります。
親が元気なうちに親と会話をしながら、親が家に保管しているものへの思いを聞いて、最終的に処分するのか引き継ぐのかを決める、取引している金融機関がいくつもあるのであれば親に1~2個にまとめてもらえないか相談してみるというのもよいでしょう。
「相続手続き」というのは、「人が亡くなる」ことから始まります。親は子から「相続手続きが大変にならないように○○をしてほしい」と言われると、「亡くなることを想定して○○してほしい」と言われたように感じ、悲しさを感じ話し合いにならないこともあります。
しかし先にも書きましたが、「親と過ごせる時間」には限りがあります。「相続のため」というのはありますが、何よりも大切な時間を楽しく過ごすために、これからのことを話し合い、お互いが過ごしやすくなることが一番ではないでしょうか。
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
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