定年後の生活、何して過ごす? 後悔しない老後を迎えるための準備法
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月21日 9時40分
一般に定年退職後の数ヶ月は、自由きままにのんびり過ごすことができ、楽しい日々が続きます。しかしその後、趣味もなく仕事一筋で頑張ってきた人は「時間があったとしても、何をしたらよいのか分からない」と悩むケースも珍しくありません。定年退職後の生活を、前もってイメージしていくことが大切です。
定年退職を機に、ひきこもり状態になることは少なくない
「毎日何もすることがなく、ただぼんやりしている」「外出するのは、妻と一緒に買い物に行くときだけ」「家で、毎日ゴロゴロ」……。
内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」の40~69歳対象調査では、ひきこもり状態の人に「今の状況になった年齢」を聞いたところ、最も多いのは「60~64歳」と回答した21.8%であり、続いて「65~69歳」が15.4%となっています。
今まで仕事一筋にバリバリ働いていた人が、定年とともにやることがなくなってひきこもり状態になるケースは、特に男性では珍しくないでしょう。
今どきのシニアの楽しみは?
定年退職を機に、ひきこもり状態になることは少なくないなか、今どきのシニアは何を楽しみにしているのでしょうか?
ソニー生命保険株式会社(東京都千代田区)が行った「シニアの生活意識調査2024」(調査期間:2024年8月、調査対象:全国の50~79歳の男女)によると、シニアの現在の楽しみで最も多いのが「旅行」(45.3%)で、「テレビ/ドラマ」(39.9%)、「グルメ」(28.1%)、「映画」(25.9%)、「読書」(22.3%)、「スポーツ」(20.8%)、「音楽/楽器」(20.7%)、「健康」(19.4%)「子ども/孫」(16.7%)、「ガーデニング/家庭菜園」(15.9%)と続きます。
男女別に見ると、男性で最も多いのは「旅行」(44.4%)で、「テレビ/ドラマ」(35.2%)、「映画」(28.8%)、「スポーツ」(27.2%)、「グルメ」(26.0%)と続きます。一方、女性で最も多いのも「旅行」(46.2%)ですが、その後は男性と少し異なり「テレビ/ドラマ」(44.6%)、「グルメ」(30.2%)、「映画」(23.0%)、「音楽/楽器」(22.8%)と続きます。
現役時代は時間の制約があり難しかった「旅行」は、「定年を迎えたら……」と期待する人も多いようです。それでは、シニアは旅行に際し「いくら」使っているのでしょうか。
同調査によれば「旅行に対する1ヶ月の出費」は、平均額が3万2000円であり、1年換算で38万4000円、夫婦2人で1年当たり77万円ほどになります。海外旅行だと年1回、国内旅行だと年数回というところでしょうか。
また、「グルメに対する1ヶ月の出費」は平均額が1万7000円、1年換算で20万4000円となりました。さらに「健康に対する1ヶ月の出費」の場合、平均額は1万円、1年換算では12万円でした。
なお、「現在の楽しみ」のうち「子ども/孫」と回答した方は全体の16.7%ですが、男女別では「女性」の場合19.8%で「男性」の場合は13.6%と差があります。ちなみに、「この1年間で孫のために使った金額」の平均額は10万4717円でした。
さらに孫がいるシニアへ「今後、孫とどのようなことをしたいか」と質問したところ、最も多かったのは「外食」(54.3%)であり、その後は2位が「旅行」(50.7%)、3位が「会話」(41.7%)、4位「公園で遊ぶ」(30.8%)、5位「ショッピング」(24.6%)と続きます。外食や旅行など、孫と一緒にお出かけをしたいと思うシニアが多いようです。
健康第一で老後を楽しむ
「お金を使いたくない」「お金を使えない」との思いから、自宅にひきこもっている人もいるのではないでしょうか。運動不足は、生活習慣病を引き起こし、認知症の発症につながりかねません。
ここで、内閣府「令和4年高齢者の健康に関する調査結果(全体版)」から「日頃からの身体の動かし方」に関する調査結果を見てみましょう。これは、全国の65歳以上の男女を対象に行った調査です。
回答結果は、回答者全体では「買い物に出かける」(64.6%)、「調理や掃除など家事をする」(55.0%)、「散歩をする」(40.8%)、「庭の手入れなどをする」(39.5%)、「仕事をする」(29.6%)の順で多く、「特に身体を動かしていない」という回答は5.3%でした。
これを男女別で見ると、女性は「調理や掃除など家事をする」(77.6%)と「買い物に出かける」(74.6%)が7割を超え、男性(それぞれ29.7%、53.5%)より大幅に高くなっています。一方、男性が女性より比較的高いのは「仕事をする」(男性34.8%、女性25.0%)と「ウォーキングをする」(男性25.4%、女性20.2%)です。
さらに男女別・年齢で区切って見ると、男性の75~84歳は、他の年代に比べて「散歩をする」という回答が約5割と高く、女性の65~79歳は「調理や掃除など家事をする」と「買い物に出かける」が8割を超えています。
これらのデータからは、シニア層は「買い物に出かける」「ウォーキングをする」「散歩をする」ことなどで、気軽に体を動かしていることがうかがえます。この程度なら、無理なく体を動かすことができるでしょう。また、無駄なお金はかからず、ジムなどと比べて安価です。
まとめ
定年退職後の生活を、前もってイメージしていくことは大切です。イメージできない場合は、今回紹介したソニー生命「シニアの生活意識調査2024」や内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果(全体版)」を参考に、自分でやりたいこと・できることを探し出し、実行してみることをおすすめします。
出典
こども家庭庁 こども・若者の意識と生活に関する調査 問17 あなたの外出状況が現在の状態になったのは、何歳の頃ですか。
ソニー生命保険株式会社 シニアの生活意識調査2024
内閣府 令和4年高齢者の健康に関する調査結果(全体版)第2章 調査結果の概要 3.医療・福祉
執筆者:水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
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