ずっと独身で60歳を過ぎ、自分の葬儀やお墓について考えるようになりました。弟妹に頼むことになりますが、いくら残せばいいでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月22日 1時40分
60歳を過ぎ、これからの人生を見据えて「終活」に取り組む方が増えています。 特に独身の方にとって、葬儀やお墓の準備は大きな課題のひとつです。「自分に何かあったとき、弟や妹に負担をかけずにしたい」「必要な資金を用意しておきたい」と考えるのは自然なことです。 そこで本記事では、葬儀やお墓にかかる費用の相場、親族に頼む際の注意点、そして資金の管理方法について分かりやすく解説します。
葬儀やお墓に必要な費用はどのくらい?
葬儀やお墓に必要な費用は、形式や地域によって異なります。以下に一般的な相場を示します。
葬儀費用
株式会社鎌倉新書(東京都中央区)が2024年3月に実施した「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」(調査対象:2022年3月~2024年3月に喪主・喪主に準ずる立場を経験したことのある40歳以上の男女2000名)の結果では、葬儀費用の総額平均は118万5000円です。
葬儀別にみてみると、一般葬が161万3000円、家族葬が105万7000円、一日葬が87万5000円、直葬42万8000円の結果になりました。
お墓の費用
一般的なお墓を建てる場合には、土地代と墓石代がかかります。
株式会社鎌倉新書が2024年1月に実施した「【第15回】お墓の消費者全国実態調査(2024年)」(調査対象:2023年1~12月にお墓探しの総合情報サイト「いいお墓」経由でお墓を購入した1791名)によると、一般的なお墓を建てるのにかかった平均購入価格は149万5000円となりました。この価格の内訳は墓石代が97万4000円、土地代が47万2000円です。
一方で、お墓には樹木葬や納骨堂といった選択肢もあります。樹木葬は63万7000円、納骨堂は80万3000円です。一般的なお墓と比べて、比較的リーズナブルなため近年注目されています。また、独身者の遺骨の納骨先としては、継承者の必要がない永代供養が多く選ばれているようです。
弟妹に頼む際の配慮と必要な準備
独身者が自分の葬儀やお墓に関して弟妹に頼む際には、上記のアンケート結果から100~300万円程度準備しておけば迷惑をかけずにすむと考えられます。弟妹の負担を軽減するために、まずは自分の希望を明確に伝えておくことが大切です。
葬儀の形式や規模、お墓の種類などを具体的に考え、口頭だけでなくエンディングノートに記録しておくと安心です。また、費用を負担させないために、あらかじめ葬儀費用を貯めておくか、葬儀保険や互助会制度を利用するなど、資金を適切に管理しておきましょう。
さらに、葬儀社との連絡や死亡届の提出などの実務的な手続きについても事前に相談し、必要な書類や情報を整理しておくとスムーズです。例えば、納骨に関しては墓地や霊園の管理者への連絡が必要となります。
こうした準備を進めることで、弟や妹にかかる精神的・金銭的な負担を軽減でき、最期のときに安心して対応してもらえる環境を整えられるでしょう。
資金の管理と遺言書でトラブルを防ぐ方法
資金を適切に管理し、遺言書を用意することで、葬儀やお墓に関するトラブルを防げます。そこで、葬儀費用専用の信託口座を利用すれば、預けた資金が確実に目的どおりに使われるため、親族間の金銭的な問題を回避しやすくなるでしょう。
また、遺言書を作成しておくことも重要です。遺言書には、葬儀やお墓の希望だけでなく、資金の使い道を明記することで、家族が迷わず対応でき、相続に関する争いを防ぐ効果もあります。遺言書は自筆で作成できますが、公正証書遺言として専門家に相談することで、より確実な内容にできます。
さらに、エンディングノートを活用すれば、法的効力はないものの、自分の意思を分かりやすく伝えられるため家族との共有に役立ちます。これらの方法を組み合わせることで、残された家族が安心して対応できる環境を整えられます。
まとめ
独身で60歳を迎えた今、葬儀やお墓の準備をすることは、弟妹や周囲の人々への配慮として大切なことです。葬儀やお墓の費用を把握し、自分の希望を明確にしたうえで、適切な資金管理を行いましょう。
事前に準備を進めることで、残された家族が安心して手続きを行える環境を整えることができます。終活は「自分のため」であると同時に、「大切な人たちのため」でもあります。今からできることを始めて、弟や妹など親族が安心できる準備をしておきましょう。
出典
株式会社鎌倉新書 いい葬儀 【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)
株式会社鎌倉新書 いいお墓 【第15回】お墓の消費者全国実態調査(2024年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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