年収600万円でもうすぐ退職予定です。退職後は「住民税をまとめて支払う」と聞いたのですが、いくら納税するのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月23日 2時20分
会社を退職する際、注意したい点が住民税の扱いです。退職時期によって自分で納めるのか会社側が納めるのかが変わります。もし自分で納めることを知らないと、納税忘れになる可能性もあるため注意が必要です。 今回は、退職後の住民税の支払い方や年収600万円の場合の住民税額、再就職時の手続きなどについてご紹介します。
退職後の住民税はどうやって支払う?
住民税は所得割と均等割の2種類で構成されています。総務省によると、所得割は前年の1年間の所得を基に計算し、税率は10%、均等割は所得にかかわらず一律5000円が基準となっています(自治体によって変動あり)。そのため、年度の途中で退職しても、前年の収入に応じた住民税を支払う必要があります。
なお、退職後の住民税の支払い方は、退職時期によって異なるので、注意が必要です。
金融広報中央委員会「知るぽると」によると、1月から5月に退職をしたときは会社が退職金や給料などから一括徴収(特別徴収)、6月から12月に退職をした場合は納税通知書によって自身で年4回に分けて納付(普通徴収)します。これは、住民税の納付は前年の税額を12ヶ月に分け、当年の6月から翌年の5月にかけて支払うためです。
退職金自体に住民税はかかる?
退職金も住民税の課税対象です。ただし、分離課税なのでほかの所得とは分けて税額が計算されます。鎌倉市によると、退職金にかかる住民税の求め方は「(退職手当等の金額-退職所得控除額)×2分の1×税率」です。
退職手当にかかる控除額は勤続年数によって異なり、以下の通りです。
・20年以下:40万円×勤続年数(80万円未満なら80万円)
・20年超:70万円×(勤続年数-20年)+800万円
もし退職手当よりも控除額の方が多ければ、住民税はかかりません。また、課税対象となった場合でも、基本的に勤め先が本人の代わりに手続きをしてくれるため、自分でする必要もありません。
もし年収600万円の方が退職したら住民税はいくら?
今回は、以下の条件で住民税額を計算します。
・年収600万円
・賞与と退職所得は0円
・控除は社会保険料控除と給与所得控除、基礎控除のみ
・健康保険料と厚生年金保険料は全国健康保険協会の「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を参照
・東京都在住
・40代
・1月末に退職
まず、今回の条件で年収600万円だと月収は50万円です。条件を基にした年間の社会保険料は以下のようになります。
・健康保険料と介護保険料:34万7400円
・厚生年金保険料:54万9000円
・雇用保険料:3万6000円
・社会保険料控除額:93万2400円
また、給与所得控除は164万円、住民税の基礎控除が43万円のため、すべての控除を年収から引いた299万7600円が住民税の課税金額です。住民税は「課税金額×10%+5000円」で求められるため、年間30万4760円、月額約2万5397円が課されます。
1月末で退職し、2月分から5月分までの4ヶ月分が未納状態の場合は、退職時の給料や退職金から約10万1588円が差し引かれる計算です。ただし、条件によっては金額が変動する可能性もあります。
再就職した場合の手続き
退職をしてから期間を空けて再就職をする場合、住民税を給与天引きとしてもらうには自身で手続きが必要です。所沢市によると、給料から引いてもらうには再就職先で「特別徴収への切替申請書」を提出します。特別徴収とは、個人が支払う普通徴収とは異なり、会社が個人の代わりに住民税を納付する制度です。
なお、申請書を提出しても、特別徴収してもらえるのは納期を超えていない分のみです。再就職後に申請書の提出が納期より遅れた場合は、給料から引かれず自分で納める必要があります。
また、徴収方法を変更しても、年間の納税総額は変わりません。
支払えないときはどうする?
退職後しばらく再就職をしないと、人によっては住民税の支払いが難しくなるケースがあります。特に、前年度の収入が高い状態で次年度すぐに退職をすると、実際の収入や貯金に対して住民税の負担割合が大きくなるでしょう。
もし支払いが難しいときは、納期までに自治体へ相談することが大切です。自治体によっては減免制度を紹介してくれたり納付猶予を設けたりしてくれる可能性があります。滞納のまま放置していると、追加で延滞金が課される可能性もあるためやめましょう。
退職する前年の所得と退職時期により変動する
退職した年の住民税額は、退職する前年の収入に左右されます。住民税は前年の収入を基に当年の6月から翌年の5月にかけて支払うためです。また、退職時期によって退職金や給料から一括徴収されるか、自分で納めるかも変わるため確認しておきましょう。
退職後期間が空いてから再就職をする方で、再就職先で再度給料から天引きしてほしいときは自分で手続きが必要です。手続きをしない場合、給料から天引きされず自分で納付をする必要があります。手続きを忘れたことによる納付忘れにも注意しましょう。
出典
総務省 個人住民税
金融広報中央委員会 知るぽると 税金の手続き 退職後の住民税
鎌倉市
所沢市 退職後に納税通知書が届きましたが、再就職しました。市民税はまた給与天引きになりますか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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