“痛くない”インフルエンザ予防接種が登場! 子どももいるし接種したいのですが、これまでの注射同様に自治体の助成は受けられますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月26日 5時20分
1年のうち、特に冬の時期は「インフルエンザ」が流行します。お子さんにインフルエンザの予防接種を毎年受けさせている、という家庭も多いでしょう。しかし、インフルエンザの予防接種は皮下注射なので基本的には痛みがあり、嫌がるお子さんを病院に連れていくのはひと苦労です。 実は、“痛くない”接種法のインフルエンザワクチンが登場したことをご存じでしょうか。どのようなものなのか、これまでの注射同様に助成が受けられるのか、確認してみましょう。
“痛くない”インフルエンザの予防接種とは
“痛くない”方法で接種するインフルエンザワクチンとは、経鼻弱毒性生インフルエンザワクチン「フルミスト点鼻薬」です。令和5年3月に厚生労働省に承認され、令和6年10月から接種できるようになりました。
痛くないのは、その名のとおり、鼻腔内に弱毒化されたワクチンを吹き付ける接種方法だからです。従来とは違い、針を刺す必要がありません。
さらに、接種回数についても、従来のものは2回の接種が必要ですが、フルミスト点鼻薬は1回の接種で済みます。この接種回数の違いは、従来のワクチンは不活性化ワクチンであり、フルミスト点鼻薬は弱毒化した生ワクチンであることによります。
不活性化ワクチンによる予防接種は、ウイルスを不活性化し接種します。病原性のない抗原に免疫が反応することで、ウイルスに対する防御能を獲得しますが、1回の接種では免疫効果が弱いのです。
それに対し、弱毒性生ワクチンによる予防接種は、弱毒化により病原性を低くした病原体により軽く感染し免疫を作る仕組みです。そのため、効果が大きく約1年続きますが、本来の病原性が復帰してしまって症状が出てしまうことや、変異する可能性もあることに注意が必要です。
気になる接種費用と、自治体の助成は?
接種費用について、従来のワクチンは1回につき3000~5000円ほど、フルミスト点鼻薬は1回につき7000~1万1000円ほどと、医療機関によって異なります。詳しくは、医療機関におたずねください。
また、自治体の助成があるのか気になるところですが、小児のインフルエンザ予防接種費用を助成している自治体では、フルミストについても従来のインフルエンザワクチン同様、助成をしています。
助成額は自治体により異なりますが、1回の接種につき1000~2000円ほどです。
どちらを接種する?
従来の不活性化ワクチンとフルミスト点鼻薬、どちらを選ぶかは、費用以外にもメリット・デメリットを知ってから判断しましょう。
フルミストは弱毒化した生ワクチンで、1回の接種で効果が得られ、約1年続く反面、喉の痛みや鼻水など風邪の症状が出てしまうというデメリットがあることにも注意が必要です。
それでも、痛くなく1回で済むことは、子どもにとっても、親にとっても費用以上の負担軽減を感じられる方もいらっしゃるでしょう。
ただ、接種可能年齢が、不活性ワクチンが6ヶ月から接種ができるのに対し、フルミストは2歳以上19歳未満と年齢が限定されます。対象年齢から外れてしまっていると接種を受けられないことにご注意ください。
さらに、年齢以外の接種ができない条件も確認しておきましょう(以下、独立行政法人医療品医療機器総合機構「ワクチンを受ける人へのガイド 経鼻弱毒性生インフルエンザワクチン」より引用)。
●発熱している人(37.5度以上)
●重篤な優生疾患にかかっている人
●過去にこのワクチンに含まれている成分でアナフィラキシーを起こしたことのある人については、不活性化ワクチンもフルミスト点鼻薬も接種できません
●明らかに免疫機能に異常がある人、および免疫を抑える可能性がある塗料を受けている人
●妊娠している人については、フルミスト点鼻薬は不可です。不活性化ワクチンの場合は接種をするか否か医師が判断します
上記以外に、医師が予防接種を行うことが不適当な状態にあると判断した人も接種ができません。
まとめ
“痛くない”インフルエンザの予防接種、経鼻弱毒性生インフルエンザワクチン「フルミスト点鼻薬」でも、自治体の助成を受けられます。ただし、助成の対象年齢、助成金額は各自治体により異なります。
予約等につきましては医療機関にご確認ください。小児インフルエンザ予防接種委託医療機関につきましては、お住まいの市区町村におたずねください。
出典
厚生労働省 新医薬品として承認された医薬品について
厚生労働省 予防接種基礎講座(平成29年3月開催)資料
厚生労働省 小児に対するインフルエンザワクチンについて
独立行政法人医療品医療機器総合機構 ワクチンを受ける人へのガイド 経鼻弱毒性生インフルエンザワクチン
品川区 令和6年度 こどものインフルエンザ予防接種 任意接種費用の一部助成
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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