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定年が近い50代です。将来の年金額が気になり調べたら、大学時代に年金の未納があり満額ではありませんでした。今からでも払えますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年11月26日 22時0分

定年が近い50代です。将来の年金額が気になり調べたら、大学時代に年金の未納があり満額ではありませんでした。今からでも払えますか?

老後のマネープランの相談にいらした50代のAさんご夫婦。それぞれの年金額を調べたところ、Aさんの年金のうち基礎年金の額が奥さまより少なかったそうです。理由は、大学生の時に年金保険料を払っていなかったためでした。そこで、学生時代の年金保険料を今から払って年金額を増やせないかと相談を受けました。

大学時代の年金保険料

日本に住所がある20歳から60歳の人は国民年金に加入しなければなりません。そして、40年(480月)年金保険料を払えば、原則として65歳から老齢基礎年金を満額(令和6年度額で81万4000円)で受け取ることができます。もし、未納期間があれば、その期間に応じて受け取れる年金額が少なくなります。
 
しかし、平成3年(1991年)3月までは20歳以上であっても、大学生や専門学校生は国民年金への加入が任意だったので(※)、加入の手続きをした人以外は保険料を払う必要がありませんでした。現在50代の人の中には、学生時代に年金保険料を払っていなかった人が多いのではないでしょうか。
 
Aさんもその1人でした。大学生だった頃、国民年金に加入していなかった期間が30月あるため、このまま厚生年金に加入し続けても加入期間は450月になる状況です。国民年金保険料をさかのぼって払える期間は2年間だけなので、学生時代の30月分を今から払うことはできません。しかし、まだ満額の老齢基礎年金をめざす方法はあります。
 

60歳以降も働き続けて厚生年金に加入するなら

老齢基礎年金の予想額が満額より少ない人が、年金を増やす方法は、60歳以降も厚生年金に加入して働き続ける人と、そうでない人で異なります。そこで、まず60歳以降も厚生年金に加入する場合を説明します。
 
60歳以降、厚生年金に加入しても老齢基礎年金額が増えることはないのですが、老齢厚生年金のうち経過的加算額が増えるので、実質、老齢基礎年金の受給額を増やすのと同じ効果があります。
 
老齢厚生年金の年金額は、報酬比例部分と経過的加算の合算額です。経過的加算額の計算方法は少々複雑なので、ここでは説明を省きますが、要は60歳以降も厚生年金に加入すれば、1ヶ月ごとに経過的加算額が年額1701円(令和6年度額、上限480月)、増えていきます。
 
国民年金保険料を1ヶ月払うごとに増える老齢基礎年金の額は年額1700円(=81万6000円÷480月)です。つまり、厚生年金に加入することで国民年金保険料を払うのとほぼ同じだけ、年金額が増えることになります。
 

60歳以降に国民年金の任意加入をする方法

もちろん、60歳以降に働かない人も、そもそも働いていても厚生年金に加入していない人も多いでしょう。そのような人のための制度が、国民年金の任意加入です。
 
保険料を払った期間が480月に足りず、満額の老齢基礎年金を受け取ることができない人は、60歳から65歳までの期間、国民年金に任意加入をして、保険料を払い続けることができます。
 
Aさんが60歳でリタイアするとしたら、480月に足りない期間が30月なので、60歳から65歳になるまでの間に年金保険料を2年半(30月)払えば、老齢基礎年金を満額で受け取ることができるでしょう。
 
なお、注意点として480月に達した後は保険料を払うことはできません。また65歳までに480月に達することができなかった人も、65歳以降は原則として保険料を払うことができません。
 

まとめ

Aさんは会社員で定年は60歳ですが、65歳までは再雇用で働き続けることができるそうです。
 
60歳以降は早めにリタイアしようと考えていたAさんですが、働き続ければ、老齢基礎年金が増えると知り、もう一度検討することにしたようです。厚生年金には70歳まで加入できるので、定年後の働き方に応じて老齢厚生年金の報酬比例部分が増えるメリットもあります。
 
また、貯蓄に余裕があって65歳から年金を受け取らなくても生活に困らなければ、繰下げ受給で受給額を増やす方法も考えられます。公的年金は終身で受け取れるので、できるだけ多く受け取れるようにしておきたいものです。
 
ただし、年金額が増えると税・社会保険料が増えることも考慮しなければならないので、しっかりシミュレーションしながら、老後のマネープランを考えていきましょう。
 

出典

(※)日本年金機構 <「年金制度の重要事項」について>
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者

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