求人票には「想定年収500万円」と書いてあったのに、いざ入社したら「年収400万円」でした…実際より多い年収を記載してもよいのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月27日 3時40分
求人情報で見た年収と、入社後に受け取った実際の給与が異なるケースがあります。給料を軸として会社選びをしていた場合、想定年収よりも実際の給料が下がっていると生活に困る方もいるでしょう。 想定年収と入社後の年収が異なったときは、入社時の契約内容を見直すことが大切です。今回は、想定年収と実際の年収が異なる理由や、違法となるケースなどについてご紹介します。
想定年収と大きく異なるときはまず就労条件を確認する
想定年収と入社後の年収が異なっていても、必ずしも違法とは限りません。例えば、求人票に「見込み年収」として500万円が提示されていた場合、年収には賞与や残業手当、通勤手当など月給以外にさまざまな条件が加わっていることがあります。
これらの金額は、人によって変動するため、実際の年収が100万円前後下がるケースもあるでしょう。想定年収、見込み年収はあくまでも参考値として認識しておくことが大切です。
さらに、入社した時点で求められるスキルや経験が不足していると、その分給料が低くなる場合もあります。スキル不足の状態で入社したときは、入社した企業の平均的な経験、スキルを満たせば昇給する可能性があるでしょう。
入社後に企業の業績が悪化したり、人件費を削減したりしたために、従業員の給料が低くなることもあります。違法でない限りは、こうしたさまざまな理由で収入が変わることもあり得るので、収入が想定と違うときはまず就労条件を確認しましょう。それでも納得できないときは、会社側に説明を求めます。
求人情報と異なる年収が違法となる可能性のあるケースとは
違法となる可能性の有無は、労働契約の内容と実態が合っているかで変わります。例えば、見込み年収で500万円と書いており、実際の労働契約締結時にさまざまな事情で年収400万円となるのは、違法にはならないと考えられます。
しかし、労働契約締結時に年収500万円と提示されていたにもかかわらず、あとから年収400万円と金額を変更することは違法になる可能性があります。
労働基準法第15条では「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定められているためです。また、労働基準法第15条第2項では、労働契約の締結時に明示された労働条件と実情が異なる場合は、労働者側はすぐに契約を解除できるとも定められています。
つまり、契約時と実態が明らかに異なる場合は、労働基準法に抵触している可能性があるため、会社へ説明を求めたり修正してもらったりする必要があるでしょう。
もし、会社側が対応してくれないときは、自治体の労働相談窓口や弁護士といった専門家の方へ相談しましょう。労働基準法にのっとれば、労働者側からの契約解除(退職)も可能です。貯金に余裕がある、次の就職先も考えているといった状況なら、退職も検討しておきましょう。
あとからでも給料は請求できるケースがある
もし、入社時の契約と異なっていることが原因で給料が足りていない場合、認められればあとから不足分の給料を請求できるケースがあります。労働契約書などの書面により契約内容と実態の相違が認められることが条件です。
ただし、未払いの賃金には時効が設けられています。労働基準法第115条および第143条より、3年間請求をしなければ、請求する権利は消滅するため注意が必要です。契約時の内容と実際に受け取っている給料の金額に違いを感じており、書面での証明ができるのであれば、なるべく早く対応しましょう。
入社時の契約内容と実際の給料が同じであれば問題ないと考えられる
求人票に記載されている内容はあくまで見込み年収なので、入社後に給料が異なる可能性はあり得ます。年収が想定よりも少ないときは、まず入社時の就労条件を確認しましょう。
もし、契約書にも「年収500万円」と記載されているにもかかわらず、入社後に年収400万円まで下がっている場合は、労働基準法に抵触している可能性があります。状況に応じて会社に説明と、不足分の金額を請求しましょう。3年以内であれば、未払いの賃金を請求できるケースがあります。
会社が対応してくれない場合は、自治体の労働相談窓口や専門家へ相談しましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号) 第二章 労働契約 第十五条(労働条件の明示)、第十二章 雑則 第百十五条(時効)、制定附則 第百四十三条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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