会社が12月から「テレワーク廃止」に! 育児のために継続したいけど「出社」する必要はあるの?「テレワーク導入率」の推移もあわせて解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月28日 4時20分
コロナ禍で広く普及したテレワークですが、最近、制度を廃止または縮小する会社があるようです。 しかし、テレワークの快適さに慣れてしまった従業員の中には「いまさら毎日出社するなんて納得がいかない」と感じる人もいるでしょう。このまま在宅での勤務を続けようとすると、ペナルティなどの不利益があるのでしょうか? 本記事では、テレワーク導入率の推移や、テレワーク廃止の可否などについて説明します。
テレワーク導入率の推移
テレワークとは、ICT機器を使い、会社ではなく自宅などで働く就業形態のことです。「在宅勤務」は「テレワーク」に含まれます。
コロナ禍でテレワークが普及
テレワークは以前からあった就業形態ですが、コロナ禍を機に広く普及しました。
総務省が2024年6月に発表した「テレワークの普及状況及び普及・定着に向けた取組方針」によると、「テレワークを導入している」と回答した企業は、2014年には11.53%でしたが、緊急事態宣言が発令された2020年には47.5%に急増、翌2021年には51.9%と半数を超えています(図表1)。
図表1
総務省 テレワークの普及状況及び普及・定着に向けた取組方針
テレワークは縮小傾向に
しかし、コロナが5類感染症に移行した2023年に、テレワーク導入企業は49.9%と減少に転じました。テレワーク導入率に関するほかの統計をみても、コロナ流行期に比べ、最近は縮小傾向にあるようです。
会社はテレワークを廃止できる?
従業員側としては、通勤する必要がない・時間を効率よく使える・育児や介護等との両立がしやすいなど、テレワーク制度はメリットの多いものです。そのような制度を、会社側は一方的に廃止できるのでしょうか。
一方的に廃止できないケース
テレワークが制度として整備され、テレワーク勤務を雇用契約の内容としている場合は、会社はその従業員の同意なくテレワークを廃止できません。育児や介護をしている人が、「在宅での勤務」を個別の契約内容として雇用契約を結んだ場合などが当てはまります。
廃止可能なケース
一方、新型コロナ感染症の流行期に、暫定的にテレワークを命じていた場合は、業務命令によるテレワーク廃止が可能です。コロナ禍において、感染の防止を目的としてテレワーク命令を出していた会社が、コロナ収束を受けて出社を命じることは妥当と考えられるでしょう。
このようなケースで、出社を拒否してテレワークを続けようと強い態度をとれば、業務命令違反として懲戒の対象になることもあり得るため、注意が必要です。
テレワーク規定が整備されている会社でも、テレワーク就業を「会社が許可した場合」「会社が別途命じた場合」などに限定していることが多いと思われます。気になる場合は、就業規則やテレワーク規定を確認してみましょう。
まとめ
コロナ禍で急速に普及したテレワーク制度ですが、コロナ禍の収束を受けて制度を廃止・縮小する会社は少なくないようです。コロナ禍における感染防止のために、暫定的にテレワークの業務命令が出されていた場合は、コロナ禍が一段落ついた現在、出社命令が出されれば従う必要があるでしょう。
テレワーク制度には「コミュニケーションが取りづらい」「情報の漏えいが不安」「従業員の評価が難しい」など会社側のデメリットがある一方、「従業員の定着に役立つ」「通勤手当が削減できる」「地方在住の人材を活用できる」といったメリットもあります。
そうしたことから、テレワークを完全に廃止せず、出社とテレワークを合わせたハイブリッドワークを制度化する会社もあるようです。コロナ期より縮小したとはいえ、今後もテレワーク制度を残していく会社は少なくないでしょう。
出典
総務省 テレワークの普及状況及び普及・定着に向けた取組方針
国土交通省 令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士
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