一人暮らしで年金生活の母親に「毎月8万円」仕送りをしているのですが、子どもも生まれたのでできれば貯金に回したいです……仕送り額を減らしても大丈夫でしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月28日 23時30分
年金生活を送る母親に毎月8万円の仕送りをしているものの、子どもが生まれたなどで自分の生活にも余裕をもちたいと感じるケースもあるでしょう。「親の生活を支えたい」という思いと、「収入をもっと貯蓄に回したい」という現実的なニーズのバランスに悩むのは自然なことです。 本記事では、親への仕送り額の平均と実際の高齢者の生活費を見ながら、仕送りを見直す際のポイントについて考えるとともに、高齢者が実践できる節約方法を紹介します。
親への仕送りの平均額
厚生労働省が行っている「令和4年国民生活基礎調査」によると、親へ仕送りをしている世帯における1世帯あたりの平均仕送り額は月5万6000円です。仕送り額階級別の世帯数と割合は表1の通りです。
表1
世帯数 | 割合 | |
---|---|---|
仕送りをしている世帯(総数) | 113万8000世帯 | - |
仕送り額2万円未満 | 13万3000世帯 | 約12% |
仕送り額2万~4万円未満 | 34万世帯 | 約30% |
仕送り額4万~6万円未満 | 23万2000世帯 | 約20% |
仕送り額6万~8万円未満 | 6万9000世帯 | 約6% |
仕送り額8万~10万円未満 | 4万4000世帯 | 約4% |
仕送り額10万円以上 | 21万3000世帯 | 約19% |
出典:厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」を基に筆者作成
表1より、親に1ヶ月8万円の仕送りをしている人は少数派と考えられるでしょう。ただし、10万円以上の仕送りをしている人も一定数いることが分かります。
高齢者世帯の平均的な生活費
総務省統計局が公表している「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月の消費支出額は14万5430円です。仕送りが8万円だとすると、6万5430円を年金や貯蓄でまかなうことになります。仮に仕送り額を半分の4万円にする場合は、10万5430円を年金や貯蓄から捻出する必要があります。
親の生活をサポートしたいと考える子どもは多くいるでしょう。しかし、自分のライフスタイルの変化に合わせて仕送りを行わなければ、自分の生活にゆとりがもてなくなってしまいます。まずは親と話し合いを行い、年金や貯蓄で生活費をどれだけまかなえるのかを確認しましょう。そのうえで仕送り額を調整するのがおすすめです。
老後にできる節約術
老後は年金や子どもからの仕送りなど収入が限られるため、無理なく生活費を抑える工夫をする必要があります。ここでは、老後に実践できる節約術を3つ紹介します。生活の質を維持しながらも、出費を賢くコントロールする方法を見ていきましょう。
車の処分を検討する
自動車の維持には、自動車税やガソリン代をはじめ、駐車場代、保険料など、多くの費用がかかります。車を手放すと自動車にかかる維持費が大幅に削減でき、年金収入だけで生活している場合には大きな節約効果が期待できるでしょう。
ただし、地域によっては車が移動の必需品であるため、代わりの移動手段が必要です。近年、多くの自治体が高齢者向けの支援サービスを提供しています。例えば、東京都では「シルバーパス」を発行しています。
70歳以上の方が少額の負担金で都内のバスを利用できる制度で、経済的負担を減らしつつ安全な移動手段の確保が可能です。自家用車以外の交通手段の利用を検討してみてください。
食品は食べきれる量だけ購入する
近年は物価が上昇しており、食費を抑えれば家計の節約につながります。「セールだから」とつい余分に買い込んでしまうと、食べきれずに廃棄することになりかねません。
まずは生活に合った食品の量を見直して、必要最低限のものを購入する習慣を身につけましょう。冷蔵庫の中身を確認して買い過ぎを防げば、食品ロスを減らしたり、食費の無駄を削減できたりします。また、必要なものをリスト化してから買い物に行くと計画的に購入でき、支出の管理がしやすくなります。
住居費の見直しをする
定年後は収入が減少するため、住居費の見直しも必要です。賃貸物件で暮らしている場合には、公営住宅への転居を検討してみましょう。各自治体が提供する家賃減免制度は、一定の所得基準や入居条件を満たせば申し込み可能です。
ただし、公営住宅は申し込みから入居まで時間がかかるケースもあるため、早めに条件を確認して計画を立てることが大切です。
仕送り額は親の支出額と自分の生活のバランスを見て決めよう
親への仕送り額を決める際には、親の生活費の実情と自分の家計のバランスを見ながら最適な金額を検討することが大切です。一方、親は定年後の収入が限られるため節約を工夫する必要もあります。
車の処分や生活費の見直しなど、無理なく支出を減らせる工夫をすることも長期的な安定につながります。親子それぞれが負担を軽減して、経済的に自立した生活を維持できるようにしましょう。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 厚生労働省 国民生活基礎調査 令和4年国民生活基礎調査 世帯 表番号61 世帯数-1世帯当たり平均仕送り額,仕送り有-仕送り額階級-無・仕送りの種類(複数回答)・世帯主の年齢(10歳階級)別
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2023年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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