「100円玉貯金」をしています。息子のために亡くなるまで残していこうと思うのですが、これって「相続」の対象ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月1日 2時10分
日々の楽しみとして100円玉貯金をしていて、将来子どものために残したいと考えている人もいるかもしれません。しかし、子どもにあげる際に気になるのが、相続の対象となるかです。相続とは、亡くなった人の財産などの権利や義務を引き継ぐ行為であり、民法で定められたルールに基づき行われます。 本記事では、100円玉貯金が相続財産に含まれるのか、相続税の仕組みはどのようなものか、相続と贈与の非課税枠の違いなどを紹介します。
相続とは何か
相続とは、亡くなった人の財産などの権利や義務を、家族などが引き継ぐことを指します。相続において、亡くなった人を「被相続人」、財産を引き継ぐ人を「相続人」と呼びます。
死亡した際に、誰が相続人となるのか、何が遺産として相続の対象となるのかなどのルールは、民法によって定められており、この部分は「相続法」とも呼ばれ、相続における基本的な仕組みを示しているのです。
相続には大きく分けて「法定相続」と「遺言相続」の2つの方法があります。遺言書がある場合は、その内容が原則優先され、遺言書に従って財産を分配し、被相続人の希望する形で資産を受け継がせることが可能です。
しかし、遺言書がない場合は民法の規定に従って、被相続人の財産は法定相続人に分配されます。一般的に遺産分割協議を通じて相続人たちが話し合い、法定相続のルールに基づいて財産を分け合います。
相続税の仕組み
相続税とは、親や配偶者などから財産を相続した際に課される税金です。被相続人が亡くなった時点で、その人が所有していた財産は原則としてすべて相続税の課税対象となります。
政府広報オンラインによれば、対象となるのは現金や預貯金、株式などの有価証券、土地や建物のほか、ゴルフ会員権、貸付金、特許権、著作権などです。経済的な価値のあるものすべてが該当します。
また、相続税の課税対象には、被相続人の死亡によって支払われる「生命保険金」や「死亡退職金」も含まれます。死亡に伴い支払われ、相続によって取得されたものとみなされるため、基本的には相続税の対象です。生命保険金や死亡退職金については、一定の非課税枠が設けられており、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税になります。
100円玉貯金も相続財産に該当する
100円玉貯金は「手許現金」に該当し、相続財産の対象です。手許現金とは、銀行預金以外の、日常生活で使うために現金として自宅などに保管しているお金を指します。
例えば、財布に入っている現金や自宅で保管されている「タンス預金」なども手許現金に該当します。キャッシュレス時代であっても、現金が必要になる場面は少なからずあるため、通常は誰もがある程度の手許現金を所持しているでしょう。
相続が発生すると、被相続人が亡くなった時点で保有していた財産は、原則すべて相続財産の対象です。たとえ貯金箱に貯めた100円玉であっても、被相続人が持っていた手許現金はすべて相続財産に含めなければなりません。
相続と贈与の非課税枠に違いはある?
子どもに100円玉貯金を譲る際、相続としてだけではなく贈与として渡す方法もあります。それぞれ非課税枠が異なるため、条件にあわせて選択することが大切です。相続税は、被相続人が亡くなった時点で保有している財産に課税される税金です。
基礎控除があり、国税庁によれば、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。例えば法定相続人が1人の場合は3600万円、2人の場合は4200万円までの財産には相続税がかかりません。法定相続人の数が多ければ多いほど非課税枠が増え、大きな財産を相続する場合でも税金が軽減される可能性が高まります。
一方で、贈与税には年間110万円の非課税枠があります。枠内での贈与であれば税金がかからないため、複数年に分けて少額ずつ贈与することで、課税を避けながら財産の引き渡しが可能でしょう。
ただし、贈与税は非課税枠を超えると課税されるため、大きな金額を一度に贈与する場合には注意が必要です。また、定期贈与とみなされた場合にも贈与税が課されるケースがあります。
100円玉貯金も相続の対象となる
100円玉貯金も被相続人の財産となるため、相続の対象です。相続財産には相続税がかかるため、税金の負担なく子どもに譲り渡したい場合は、非課税枠をうまく利用する必要があります。
相続のほかに贈与として子どもに100円玉貯金を渡す方法もあります。それぞれの非課税枠と譲り渡す100円玉貯金の金額を照らし合わせ、税負担の少ないほうで子どもに財産を残しましょう。
出典
政府広報オンライン 相続税はいくらから?基礎控除とは?相続税の基本を確認!
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 財産を相続したとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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