【一人暮らしの老後】賃貸暮らしの場合、老後資金はどのくらい用意しておいたらいいですか? 衣食住が賄えれば十分なのですが。
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月30日 23時50分
老後の生活において、賃貸暮らしを続けるためには、どの程度の資金が必要なのでしょうか。特に住居費は、衣食住のなかでも大きな割合を占めるため、十分な計画が必要です。また、賃貸住宅は高齢者にとって入居や更新の課題もあるため、事前にリスクと対策を考えておくことが重要です。 本記事では、賃貸暮らしの老後資金の目安や、安心して生活を続けるための具体的な節約術をご紹介します。
賃貸暮らしの老後資金、最低限必要な額とは?
賃貸暮らしの場合、老後資金を計画するうえで特に重要なのが住居費です。まずは、基本的な生活費の内訳を確認しましょう。
基本的な生活費
総務省の「家計調査報告」によると、令和5年の高齢単身無職世帯の月間平均消費支出は14万5430円です。主な内訳は、以下の通りです。
食料:4万103円
住居:1万2564円
光熱・水道:1万4436円
家具・家事用品:5923円
保健医療:7981円
交通・通信:1万5086円
教養娯楽:1万5277円
その他:3万821円
非消費支出(直接税・社会保険料):1万2243円
賃貸の場合はさらに住居費の負担が大きく、月5万円程度を想定すると、年間で約60万円が必要です。さらに、30年間生きる場合には1800万円が住居費として必要になります。
最低限必要な老後資金
衣食住を賄うために必要な金額は、生活費(月15万円程度)×12ヶ月×想定年数で計算できます。
例えば、30年間生きる場合は約5400万円が必要です。ただし、年金収入を差し引いた不足額を埋めるための貯蓄が現実的な準備額となります。
ただし、これらの金額はあくまで目安であり、個人の状況や将来の経済状況によって変動する可能性があることを念頭に置いてください。
老後資金を準備するポイント
老後資金を準備する際には、以下のポイントに留意しましょう。
●家計の見直しを行い、生活費を抑える工夫をする
●定年後の再雇用制度の利用を検討する
●資産運用を始めて、資金を増やす努力をする
●必要に応じて、お金の専門家に相談する
賃貸暮らしのリスクと対策
賃貸生活には特有のリスクがありますが、それに対する対策を知ることで安心して暮らすことができます。以下で、主なリスクとその対策について説明します。
リスク1:家賃の支払いが困難になる
年金収入が少ない場合、家賃の支払いが生活費を圧迫する可能性があります。この場合、公営住宅や自治体が運営する高齢者向け住宅への入居を検討することで、家賃を抑えることができます。また、サービス付き高齢者向け住宅も選択肢の一つとして考えられます。
リスク2:高齢者への賃貸のハードル
貸主によっては高齢者の入居を嫌がるケースも多いため、連帯保証人が必要になる場合があります。保証人が難しい場合は、高齢者向けの保証会社や身元保証サービスを利用することも選択肢の一つです。これらのサービスは、入院時や緊急時の対応、日常生活の支援なども提供していることがあります。
リスク3:更新料や引っ越し費用が発生する
賃貸契約の更新料や、住み替えが必要な場合の引っ越し費用も考慮に入れておく必要があります。余裕を持った資金計画を立てましょう。
このほかにも、緊急時の対応や日常生活での困りごとに対する支援が必要となるケースも多くあると考えられます。
これらのリスクに対処するためには、自身の状況に合わせた適切な住居や自治体の補助、民間のサービスなどを選択することが重要です。また、将来的な健康状態の変化や経済状況の変動も考慮に入れた長期的な計画を立てることが大切です。
老後の衣食住を賄うための節約術と資金計画の立て方
ここでは、老後の衣食住を賄うための節約術と資金計画の立て方のポイントについて説明します。これらの節約術と資金計画を組み合わせることで、より安定した老後生活を送ることができるでしょう。
老後の衣食住を賄うための節約術
老後資金を効率的に使い、安心して暮らすためには節約術が役立ちます。以下で、衣食住における節約術を紹介します。
衣:必要最低限の買い物を心掛ける
衣類は長く使える良質なものを選び、無駄な買い替えを減らしましょう。また、リサイクルショップやフリマアプリを活用するのも有効です。
食:自炊でコストを削減
自炊を基本とし、食材をまとめ買いすることで食費を節約できます。また、旬の食材を使うことで、栄養バランスを保ちながらコストを抑えることができます。
住:住居費を抑える工夫
前述の公営住宅の利用や、地域によっては自治体の家賃補助が受けられる制度を活用することで住居費を軽減できます。また、リフォーム済みの中古住宅を賃貸で選ぶのも一つの方法です。
老後資金計画の立て方
前述の「家計調査」を参考にすると、独身・一人暮らしの場合は約14万円が目安となります。年金などの収入と生活費の差額を確認して、毎月の不足分を認識しましょう。
厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」による平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.14歳ですが90歳を過ぎても元気な方はたくさんいらっしゃいます。したがって、長く生きると仮定した、長期的な視点で計画を立てることをおすすめします。
また、追加の資金源を確保するために、保険の活用(終身保険、個人年金保険)や資産形成(投資信託、つみたてNISA、iDeCo)を検討しましょう。老後資金の準備は早ければ早いほど計画的に進められるため、現役時代から積極的に取り組むことが重要です。
賃貸暮らしの老後を安心して迎えるために
賃貸暮らしの老後資金を計画するうえで、住居費は最も大きな負担となるため、まずは家賃を抑える工夫が必要です。また、老後に必要な生活費は「衣食住」それぞれの支出を見直すことで、無駄を省きつつ安心して暮らせる環境を整えることができます。
さらに、賃貸生活のリスクに備え、公営住宅や保証会社の活用、契約更新や引っ越し費用の計画も重要です。計画的に準備を進めることで、老後の暮らしに余裕を持たせることができるでしょう。老後資金の不安を解消するために、今からできる節約や資金計画を始めてみてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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