貯金は800万円、定年後の収入は夫婦で「月25万円」です。「賃貸暮らし」なのですが、家賃をいくらにおさえれば生活できますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月4日 5時30分
定年後の生活で、経済的な心配をする方もいるでしょう。なるべく貯金を崩すことなく生活を続けるためには、老後の家計収支をシミュレーションしておくことが大切です。特に賃貸暮らしの世帯では、家賃が大きな負担となることが考えられます。例えば貯金800万円、世帯収入が月に25万円の場合、家賃をいくらくらいにおさえるのが理想的なのでしょうか。 今回は定年後の夫婦世帯で、毎月の収入だけで生活費をまかなうには家賃をいくらくらいにおさえればよいかについて調べてみました。家賃負担をおさえるための方法もご紹介しますので、参考にしてください。
老後の生活費は? 世帯収入25万円で家賃はいくらくらいにおさえればよい?
定年後の収入が夫婦で月25万円の場合、生活費をまかなうことはできるのでしょうか。総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の消費支出は25万959円であるとのことです。ここから「住居」の1万6827円を除くと23万4132円になります。
生活費の支出項目は各家庭で異なりますが、同調査では「食料」が7万2930円、「交通・通信」が3万729円、「交際費」が2万4230円となっています。外食を減らして自炊を増やすなど食費を節約したり、スマートフォンのプランを見直して通信費を節約したりできるかもしれません。
節約できた分を家賃にまわすことで、世帯収入25万円でも生活費をまかなえる可能性があります。いずれにしても、家賃はできるだけおさえて、家計収支がマイナスにならないようにしたいでしょう。
貯金は800万円……生活費の不足分をまかなえる?
定年後の収入が夫婦で月に25万円の場合、家賃によっては生活費が赤字になってしまうことが考えられます。例えば家賃が8万円だとすると、平均的な生活費であれば毎月6万4132円を貯金からまかなう必要が生じます。これでは10年を過ぎると800万円の貯金は底をついてしまうでしょう。
老後資金として貯めた貯金は、生活費の不足分をまかなうためだけのものではありません。老後生活では、老齢に伴う病気やけがにも気をつける必要があります。医療費や介護費などがかかれば、貯金が減るスピードはさらに速くなるでしょう。
貯金を減らさないために、生活費の節約を検討できます。または収入を少しでも増やすために、パートやアルバイトを始められるかもしれません。いずれにしても、生活費の不足分や急な出費に対応するためにも、支出の大きな部分を占める家賃はできるだけおさえておくことが大切です。
老後の「賃貸暮らし」で家賃をおさえる方法
老後の賃貸暮らしで、できるだけ家賃をおさえる方法として、自治体の助成制度を活用することが挙げられます。
例えば神戸市の「高齢者向けの家賃補助制度」では、高齢者向け民間賃貸マンションに入居する際に、所得に応じて市から家賃補助を受けて通常の家賃よりも安い負担額で入居できます。先着順で入居者を募集していて、入居者負担額は2万台からとなっているため、家賃を大幅におさえられるでしょう。
市営住宅のように住宅に困っている収入の少ない世帯が、安い家賃で居住できる制度も活用できます。
神戸市によると、申し込みには収入の基準が設けられていますが、高齢者世帯は政令月収基準額が緩和され、一般市営住宅は21万4000円以下、改良住宅では13万9000円以下です。政令月収額は世帯全員の年間総所得金額から世帯の年間総控除額を差し引いて、12ヶ月で割って計算しますが、収入の種類によって計算方法は異なります。
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)は「高齢者向け優良賃貸住宅」を提供していて、一定以下の所得の方には家賃負担の軽減措置があります。家賃負担の軽減措置が受けられるのは世帯全員の所得月額の合計が15万8000円以下であることが必要です。
夫婦の収入が25万円前後であれば、控除額を差し引いた所得月額の条件を満たす可能性があるため、確認したうえで申し込みを検討できるかもしれません。
老後の平均的な生活費は「住居」を除いて月23万4132円……家賃はできるだけおさえることが大切
老後の平均生活費は住居を除くと月23万4132円であることから、老後の収入が夫婦で月25万円であれば家賃次第で家計収支は赤字になってしまうことが分かりました。
例えば家賃が8万円であれば、貯金800万円は10年を過ぎると底をついてしまう可能性があります。食費・通信費・交際費などを節約したり、パートやアルバイトを行って収入を増やしたりするなどの工夫が必要になるでしょう。
いずれにしても、生活費の不足分や急な出費をまかなうために、家賃はできるだけおさえることが大切です。高齢者世帯は、自治体などが実施する家賃負担を軽減する制度を活用できます。収入基準がありますから、自身の「政令月収」「所得月額」を計算して、申し込み要件を満たしているか確認してみるとよいでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
神戸市
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構) 高齢者向け賃貸住宅 高齢者向け優良賃貸住宅
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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