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救急車が「原則無料」は終わり?一部の地域だけではなく今後は全国的に「有料化」が広がるの?

ファイナンシャルフィールド / 2024年12月4日 23時0分

救急車が「原則無料」は終わり?一部の地域だけではなく今後は全国的に「有料化」が広がるの?

「救急車が有料化される」という情報を耳にし、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。2024年より一部地域にて、一定の条件下で救急車を利用した場合に、費用がかかる仕組みが導入されました。救急車といえば「無料が当たり前」と思っていた私たちにとっては、大きな変化となります。   本記事では、救急車が有料化している地域や、有料化する理由、有料化がもたらす影響について解説します。

救急車は有料化するのか?

救急車は基本的に無料ですが、一部の地域で、緊急性が低いにもかかわらず救急車を呼んだ場合に、お金がかかるようになりました。
 
三重県松阪市では、2024年6月1日から、救急車を呼んでも入院にならなかった場合は、対象の医療機関にて「選定療養費」として7700円を徴収することになりました。基本的には、入院にならなかった場合に7700円が徴収されますが、医師の判断により、お金がかからないケースもあるようです。
 
また、茨城県では、2024年12月2日午前8時30分より、救急車で搬送されたものの緊急性が認められなかった場合は、一部の医療機関で選定療養費が徴収されることになります。大きな病院が、本来の役割である「重症度の高い救急患者の対応」に集中できるようにするのが目的です。
 
軽症や入院の有無で判断するのではなく、救急車を呼んだ際の緊急性の高さで判断します。費用は1100円〜1万3200円と、医療機関によって異なります。
 
2024年11月末時点で、救急車有料化を実施するのは、三重県松阪市と茨城県だけですが、今後は有料化する自治体が増えるかもしれません。
 

救急車が有料化される理由とは

救急車が有料化される理由は、救急要請数が増加しているためだと考えられます。
 
総務省の「令和5年版 救急・救助の現況」によると、令和4年の救急車の救急出動件数は722万9572件で、搬送人員は621万7283人でした。この数値は、前年よりも大幅に増加しており、平成14年以降、最も多い件数となりました。
 
また、同資料によると令和4年の傷病程度別搬送人員の割合は、表1の通りでした。
 
表1

令和3年 令和4年
死亡 1.5% 1.5%
重症(長期入院) 8.5% 7.7%
中等症(入院診療) 45.2% 43.5%
軽症(外来診療) 44.8% 47.3%

出典:総務省「令和5年版 救急・救助の現況」を基に筆者作成
 
これらのデータから、救急車の要請件数が増加しているものの、約半数の方は軽症であることが分かります。
 
救急車の要請件数が多いと、管轄の救急隊の出動が重なり、遠い場所から救急車を出動させることになります。遠い場所からの出動は到着まで時間がかかるため、助かるはずの命が助からないといった事態にもなりかねないでしょう。
 

救急車の有料化が生活にもたらす影響

救急車の有料化が進むと、以下のような影響があると考えられます。
 
1つ目の影響として、救急車の出動件数が減少することが考えられます。お金がかかるため、「取りあえず救急車を呼ぼう」と考える方の減少が期待できるでしょう。実際に、三重県で2024年6月1日〜9月30日の3ヶ月間にわたり行われたモニタリングでは、以下の結果が出ました。

●救急搬送され、入院しなかった方の割合が減少した
●軽症者の搬送割合が6.5%減少した

軽症者が救急車を利用する件数が少なくなることで、緊急性の高い方に、救急車が迅速に到着できるようになります。
 
一方で、有料化してしまうと本当に救急車が必要な方が、費用を理由に要請をためらう可能性があります。要請をためらうと、その間に症状が悪化し、手遅れになってしまうかもしれません。
 
2つ目の影響として、経済的な負担により、平等に医療を提供できなくなる可能性が考えられます。救急車の有料化は、低所得者にとっては大きな負担となります。高所得者は救急車を利用できるが、低所得者は利用したくてもできないという状況になった場合、公平性の問題が生じるかもしれません。
 
救急車の有料化によって、われわれの生活に影響があるだけでなく、公平性などの問題が生じる可能性もあるでしょう。
 

救急車の有料化は全国に広がる可能性がある

救急車の有料化には、軽症者の利用を減らすことで、緊急性の高い方に迅速に対応できるようにする狙いがあり、三重県松坂市と茨城県で実施されています。しかし、本当に救急車が必要な人が利用をためらう可能性があり、低所得者の経済的負担などの課題も浮き彫りになっています。
 
今後は、全国的に有料化の動きが広がるかもしれません。しかし有料無料など関係なく、一人ひとりが救急車の適正利用を心がけ、本当に必要な方に出動できるような環境を目指しましょう。
 

出典

三重県松阪市 三基幹病院における選定療養費について
茨城県 本県の救急医療の現状及び2024年12月2日(月曜日)からの救急搬送における選定療養費の徴収開始について
総務省 「令和5年版 救急・救助の現況」の公表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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