定年後に「再就職」するという父。「公務員」だからとずっと安心していましたが、あまり稼げていなかったのでしょうか?心配です…
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月5日 4時10分
収入が安定していて老後資金もしっかり準備できていると思っていた公務員の父が、定年後に再就職をすると聞くと「あまり稼げていなかったのではないか」と心配になるかもしれません。公務員であれば、定年退職後は今まで貯めた老後資金と年金で悠々自適に暮らせないのでしょうか。 今回は、公務員の生涯年収や家計調査による平均支出から、定年退職時の貯金額をシミュレーションしてみました。定年退職後も再就職をする理由として考えられることも紹介しますので、参考にしてください。
公務員の生涯年収はどれくらい?
人事院給与局の「令和4年国家公務員給与等実態調査報告書」を基に、公務員の生涯年収を計算してみます。各年齢の給与とボーナス(4.5ヶ月分と仮定して計算)の総額を表1にまとめました。
表1
年齢階層 | 給与総額 | ボーナス総額 |
---|---|---|
22~23歳 | 489万3408円 | 183万5028円 |
24~27歳 | 1180万4544円 | 442万6704円 |
28~31歳 | 1391万6016円 | 521万8506円 |
32~35歳 | 1614万144円 | 605万2554円 |
36~39歳 | 1846万2288円 | 692万3358円 |
40~43歳 | 2026万8864円 | 760万824円 |
44~47歳 | 2172万5808円 | 814万7178円 |
48~51歳 | 2296万5168円 | 861万1938円 |
52~55歳 | 2393万6112円 | 897万6042円 |
56~59歳 | 2428万2672円 | 910万6002円 |
出典:人事院給与局「令和4年国家公務員給与等実態調査報告書」を基に筆者作成
大学を卒業して22歳から38年間働くと仮定して、平均給与月額を合計すると1億7839万5024円で、ボーナスの合計6689万8134円を足すと2億4529万3158円です。
内閣官房内閣人事局の「退職手当支給状況」によると、常勤職員の定年退職による退職金の平均支給額は2112万2000円ですから、生涯年収は2億6641万5158円であると予想できます。
平均支出から定年退職時の貯金額をシミュレーション
総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯における消費支出の平均は31万8755円であるとのことです。これをもとに38年間の消費支出を計算すると1億4535万2280円で、生涯年収から消費支出を引くと1億2106万2878円になります。
しかし、この金額をそのまま老後資金として貯金してあるとは考えられないでしょう。38年間でマイホームや車を購入したり、子どもの学費などで大きな出費をしたりすることもあります。各家庭によって支出額は異なるため、貯蓄額も家庭によって差があると考えられます。
定年退職後は公的年金で生活することになりますが、同調査によると65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、毎月の家計収支が3万7916円不足しているとのことです。年間で45万4992円、30年であれば1364万9760円を老後資金からまかなわなければならないでしょう。
公務員だった父が定年後に再就職する理由として考えられること
公務員だった父が定年後に再就職するからといって「あまり稼げていなかった」とは限らないでしょう。定年退職後に年金だけでは足りない生活費をまかなうために、再就職をしなければならないケースも考えられます。また定年退職後の大きな出費に備えて、少しでも老後資金を増やすために「働けるうちに働いておこう」と考える方もいます。
すべての人が経済的な理由で再就職をするわけではない点にも注意が必要です。中には定年後も仕事を続けることで、精神的・身体的な健康を維持したいと考える方もいます。
また社会とのつながりを保ち続けたいと考えて再就職するケースもあるでしょう。公務員だった父親が定年後に再就職をすることに不安を感じている場合は、仕事を続ける理由を確認しておくと安心です。
公務員の生涯年収は2億6641万5158円! 退職時の貯蓄額によっては再就職の必要あり
公務員の生涯年収を計算してみたところ、38年間に2億6641万5158円稼げることが分かりました。消費支出の合計を差し引くと1億2106万2878円で、ここからマイホーム・車の購入や子どもの学費、老後資金の準備などをする必要があります。
定年後の30年間で、年金だけでは不足する生活費が1364万9760円あり、これを老後資金として貯めていた貯金を崩してまかなうことになります。
退職時の貯蓄額によっては、老後資金が足りなくて再就職をする必要が生じるかもしれません。経済的な理由以外にも、健康維持や社会とのつながりを保ち続けたいなどの理由で、再就職を検討する方もいます。再就職は老後安心して生活するための選択肢の一つですが、心配な場合は理由を確かめておくといいでしょう。
出典
人事院給与局 令和4年国家公務員給与等実態調査 報告書(46ページ)
内閣官房内閣人事局 退職手当支給状況
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要(10、18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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