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祖母の引き出しで事前に作成している「遺言書」を見つけました。気になるのでちょっと見てみたいのですが、勝手に見るのはやっぱり問題でしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年12月6日 1時50分

祖母の引き出しで事前に作成している「遺言書」を見つけました。気になるのでちょっと見てみたいのですが、勝手に見るのはやっぱり問題でしょうか?

家族の引き出しから「遺言書」と書かれた封筒を見つけたら、あなたはどうしますか? 中身を確認したい衝動に駆られるかもしれませんが、実はここでの行動が、法律上のトラブルを引き起こす可能性も…。   本記事では、遺言書の正しい取り扱い方法や開封前に必要な手続きについて、わかりやすく解説します。

遺言書を勝手に開封するとどうなる?法的リスクと罰則

もし遺言書を発見した場合、内容をすぐに確認したくなるかもしれません。しかし、遺言書を勝手に開封することは法律で禁止されているため、注意が必要です。以下に、遺言書を見つけた場合の正しい対応について詳しく解説します。
 

① 勝手な開封は法律違反

民法第1004条第3項では、封がされた遺言書を無断で開封する行為を明確に違法としています。また、民法第1004条第1項により、遺言書の保管者や発見者には家庭裁判所で検認手続きを行う義務が課されています。
 

② 検認手続きとは?

検認とは、家庭裁判所において、遺言の種類や遺言書の状態を確認し、遺言書の現状を明確にする手続きです。この手続きの主な目的は以下の通りです。


●相続人に対し、遺言の存在及びその内容を知らせる
●遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にする
●遺言書の偽造・変造を防止する

検認手続きは通常、以下のような流れで行われます。


1.検認の申立てがあると、裁判所から相続人に検認期日(検認を行う日)の通知が送られます。
2.検認期日に申立人が遺言書を提出し、出席した相続人等の立会いのもと、裁判官が遺言書を開封して検認します。
3.検認が終わった後、遺言の執行のために検認済証明書の申請を行います。

重要な点として、検認はあくまでも遺言書の現状を確認し保全するための手続きであり、遺言書の有効性や無効性を判断するものではありません。そのため、検認を受けた遺言書が後日無効と判断されることもあります。
 

③ 勝手に開封した場合のリスク

遺言書を検認せずに開封すると、以下のリスクがあります。


●法律上の制裁
●相続トラブル

遺言書を勝手に開封した場合、民法に基づき5万円以下の過料が科される可能性があります。過料とは法律違反に対する制裁金で、罰金とは異なるものの、金銭的な負担が発生します。
 
また、他の相続人から「遺言書の内容を改ざんしたのではないか」と疑われる可能性があります。こうした疑いは、家族間の信頼を損ない、相続問題を複雑化させる原因となります。
 
遺言書が封をされていない場合や封筒に入っていない場合でも、その遺言書が法的に無効になるわけではありません。ただし、家庭裁判所での検認手続きが必要になるため、遺言書を見つけた際には勝手に開封せず、家庭裁判所での検認手続きを速やかに進めることが重要です。
 

遺言書の種類別:正しい開封方法と必要な手続き

遺言書には主に3種類あり、それぞれ開封方法や必要な手続きが異なります。
 

① 自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いた遺言書です。この場合、家庭裁判所での検認が必要です。ただし、2020年7月10日から始まった法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、検認が不要となります。
 

② 公正証書遺言

公証役場で作成された遺言書です。公正証書遺言は、公証人が作成し、原本が公証役場に保管されているため、検認は不要です。コピーを受け取っている場合は、そのまま開封して問題ありません。
 

③ 秘密証書遺言

遺言者が作成した遺言書を封筒に入れ、公証人に提出して証明を受けた遺言書です。秘密証書遺言も、自筆証書遺言と同様に家庭裁判所での検認が必要です。
 
遺言書を発見したら、まずその種類を確認しましょう。公正証書遺言以外は、家庭裁判所での検認が必要となります。検認の申立ては、遺言書の保管者や発見者が行う必要があります。
 

遺言書を発見したら専門家へ相談しよう

遺言書を発見したら、まず落ち着いて以下の手順を踏みましょう。


●遺言書の種類を確認する
●遺言書を開封せずに家庭裁判所へ持参し、検認手続きを行う
●弁護士や司法書士などの専門家に相談する

遺言書を発見した場合、絶対にその場で開封せず、まず家庭裁判所で検認手続きを行うことが重要です。検認手続き後、専門家に相談することで、法的な手続きや相続に関する適切なアドバイスを受けられます。
 
特に、相続に関する知識が乏しい場合や、家族間で意見の相違がある場合は、専門家の助言が非常に重要です。弁護士や司法書士は、遺言書の取り扱いや相続手続きに精通しているため、スムーズな相続を進めるための支援を受けられます。
 
相続手続きは複雑で多岐にわたり、相続人だけでは対処が難しい場合があります。遺産分割の方法に意見が合わずトラブルになるケースもよくあることです。
 
そのような場合も、専門家の仲介により、円滑な話し合いや解決策の提案が期待できます。
 

まとめ

遺言書は、故人の最後の意思を示す大切な書類です。その取り扱いには十分な注意が必要です。勝手に開封することは法律違反となる可能性があるだけでなく、家族間の信頼関係を損なう原因にもなりかねません。
 
遺言書を発見したら、まずその種類を確認し、必要に応じて家庭裁判所での検認手続きを行いましょう。また、家族や専門家に相談することで、適切な対応と円滑な相続手続きが可能となります。
 
遺言書の存在は、故人の思いを知る大切な機会でもあります。法律に従って適切に取り扱うことで、故人の意思を尊重しつつ、相続人全員が納得できる形で相続を進めることができるでしょう。
 

出典

デジタル庁 e-Gov 法令検索 第千四条 (遺言書の検認)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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