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来年定年を迎える父が「住宅ローン」を完済!「もう住居費はかからないし、貯金と退職金合わせて3000万円あるから」と言っていますが、老後は大丈夫でしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年12月6日 2時30分

来年定年を迎える父が「住宅ローン」を完済!「もう住居費はかからないし、貯金と退職金合わせて3000万円あるから」と言っていますが、老後は大丈夫でしょうか?

住宅を購入すると、35年などの期間で住宅ローンを組んで毎月返済するケースも多いです。30歳前後でローンを組んだ場合は、定年退職を迎える頃にローンを完済する人もいるでしょう。その後は、賃貸物件の場合と異なり毎月家賃が発生しないメリットがあるため「今まで住居費に充てていた分を浮かせられる」と考える人もいるのではないでしょうか。   本記事では、「貯金と退職金合わせて3000万円あるケースを想定し、住宅ローンを完済すると老後生活は過度に心配する必要はないのか」について解説します。なお、子どもは経済的にも自立しており、65歳以降は持ち家の戸建てで、夫婦2人で生活するものとします。

老後は年金があれば問題ない?

総務省統計局の2023年のデータによると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実支出は1ヶ月28万2497円です。消費支出25万959円のうち住居費が占める割合は6.7%となっています。つまり、消費支出は住居以外の項目が多くなっており、住宅ローンを完済したからといって劇的に家計状況が良くなるとは言い難いでしょう。
 
老後の貴重な収入源の1つが、原則65歳から支給される老齢年金です。具体的な金額は個人の加入期間や納付する保険料額などによって異なるため一概にはいえませんが、日本年金機構によれば、ボーナスを含めた平均標準報酬額約43万円で40年間就業した場合、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は月額23万483円(2024年度)です。
 
今回のケースでは、仮に年金と老後の生活費が上記と同程度かかるとすると、毎月5万2014円の赤字となります。つまり、年金だけでは生活を維持するのは困難となるため、預貯金で補填(ほてん)したり年金以外の収入を確保したりしなければなりません。
 

65歳で貯金3000万円あれば安泰なのか?

では、「毎月5万円程度の赤字になるとはいえ、3000万円の資産があるから老後は逃げ切れるだろう」といえるのでしょうか。
 
仮に毎月5万円ずつ赤字となる場合、年間60万円を貯金から補填しなければなりません。資金が底をつくまでにかかる期間は単純計算で50年です。65歳から50年ということは115歳となるため、「さすがにそこまでは生きられないから心配する必要はない」といった声が出ても不思議ではないでしょう。
 
ただし、これはあくまで3000万円の資産価値、年金支給額、支出金額の規模が今後も全く変わらない前提の内容です。そのため、どれか1つでも前提条件が崩れると状況が大きく変わることもあります。
 
住居費は賃貸と異なり毎月固定の賃料はかかりませんが、屋根の雨漏りや壁の亀裂、あるいはキッチンや風呂などの水回りといった部分に劣化が目立ち、想定外の修繕費用がかかる可能性もゼロではありません。
 

ローン完済後も住居費はかかり続ける?

賃貸物件であれば基本的な設備や共用部分の修繕は管理会社や大家さんが行ってくれますが、持ち家の場合は原則自分たちで対応しなければなりません。
 
修繕費用は、住宅ローン完済している・していないに限らず、いつでも発生する可能性がありますが、ローン完済時点で建築後20年や30年程度経過していることも多く、場所によっては想像以上に経年劣化が進んでいることもあります。
 
トイレや風呂、キッチンなど毎日の生活に欠かせない場所はもちろんですが、外壁や屋根なども耐用年数を超えて剝がれてしまうケースもあるかもしれません。
 
例えば、アットホーム社の調査によると、外壁、トイレ、屋根、お風呂、キッチンの5カ所を修繕する場合、修繕費は合計で約387万円かかる計算になります。
 
給湯器や内壁、床などを修繕すると別途費用が加わりますし、一度修繕すれば永遠に使用できる保障は全くありません。修繕場所によってタイムラグが発生するかもしれない点を考慮すると「毎年何らかの形で住居費がかかる」可能性もあるでしょう。
 
根本的に問題を解決して住居環境を良くするために、リフォームをする選択肢もあります。その場合はさらに費用がかさむことが考えられるため、「住宅ローンを完済したから今後は費用負担ゼロで家に住める」と考えるのは避けたほうがよいと思われます。
 

まとめ

本記事では、持ち家の住宅ローンを完済した後は住居費がかからないから、3000万円の資産があれば老後は安泰といえるのか解説しました。
 
賃貸暮らしと異なり、毎月の固定費は抑えられますが、想定外の修繕費用などが発生する可能性もあります。修繕場所や回数によっては費用負担が重くなり、老後資金に大きな影響を与えることもあるので注意しましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
アットホーム株式会社 2023年『一戸建て修繕』の実態調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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