母が「税金対策」として、孫にタンス預金「300万円」を贈与したいと言っています。“脱税”になる気がするのですが、問題ないのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月8日 5時10分
親族間で金銭のやり取りが発生することは珍しくありませんが、贈与税や相続税の観点では注意すべき点もあります。 例えば、自身の母親が長年タンス預金していた300万円を大学生になる孫に税金対策のために贈与したいと言っている場合、「脱税になるのでは?」と心配になる人もいるでしょう。 本記事では、タンス預金と税金の関係、生前贈与の注意点、贈与税が発生する場合や非課税枠について解説します。
タンス預金を持っているだけでは税金はかからない
まず、タンス預金自体に税金がかかることはありません。タンス預金とは、お金を銀行口座に預けずに家の中で保管している状態のことです。タンス預金の額がいくらであれ、それを持っているだけでは所得税や贈与税、相続税などの対象にはなりません。
ただし、問題となるのはその現金を「動かした」場合です。例えば、贈与として現金を渡したり、亡くなった後に相続財産として明らかになったりした場合には、税務の観点から注意が必要です。
相続税対策としての生前贈与は有効だが、贈与税に注意
亡くなった時点で所有している財産が一定の基礎控除額を超える場合、相続税が課されます。そして、タンス預金を使った生前贈与は、相続税対策として有効な手段の1つとされています。
相続税における基礎控除額は以下の計算式のとおりです。
・基礎控除額 =3000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、法定相続人が3人いる場合、基礎控除額は4800万円となります。これを超える財産には相続税がかかるため、生前に現金を贈与することで財産を減らし、相続税を軽減しようとするのは合理的な方法と言えるでしょう。
しかし、生前贈与で相続税を減らすことに成功したとしても、別途贈与税が発生する可能性があります。
贈与税がかかる場合とかからない場合
贈与税は全ての贈与にかかるわけではなく、年間110万円の非課税枠が設けられています。つまり、1年間で贈与された金額が基礎控除額の110万円以下であれば、基本的には贈与税はかかりません。この非課税枠を利用することで、少しずつ財産を移すことが可能です。
例えば、300万円を一度に贈与するのではなく、3年に分けて毎年100万円ずつ贈与すれば贈与税がかからず、相続税対策も進められます。
また、年間100万円を超える場合でも、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものについても贈与税は非課税です。
教育資金の場合、金融機関を通じた専用口座の開設をするなどの条件を満たせば、直系尊属である父母や祖父母などからの1500万円までの贈与は非課税となる制度があります。
条件を確認したうえで贈与税を節約できる制度を活用するのも良いでしょう。
まとめ
タンス預金そのものに税金はかかりませんが、贈与を行う際には相続税や贈与税のルールを守る必要があります。
300万円を孫娘に贈与する場合、年間110万円の非課税枠を超える部分には贈与税が発生する可能性があります。一度に贈与すると贈与税の負担が大きくなるため、分割して贈与することや、教育資金一括贈与制度などを活用することが有効です。
家族の資産を効果的に次世代に引き継ぐためにも、制度に基づいた節税の手段を検討しましょう。
出典
国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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