老後を「年金だけ」で生活するにはいくら受給できればいい?共働きならどのくらいの年収が必要?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月10日 5時30分
老後の生活に備えて貯蓄をすることは大切ですが、さまざまな理由であまり貯蓄ができないケースもあるでしょう。貯蓄ができないときは、老後の生活を年金に頼ることになります。 もし、年金のみで生活する予定のときは、老後の生活費の目安を知っておくとよいでしょう。今回は、老後に必要な生活費の平均や、生活費を賄えるだけの年金を受け取るために、必要な収入目安などについてご紹介します。
老後に必要な生活費とは
総務省統計局が公開している「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上で夫婦のみの無職世帯では、1ヶ月の平均消費支出が25万959円、非消費支出が3万1538円の計28万2497円でした。年額換算で平均338万9964円です。
もし、貯蓄もなく、年金のみで賄おうと思うと、夫婦で年間合計約340万円、月に約28万3333円が必要になります。日本年金機構によると、令和5年度における夫婦2人分の標準的な年金額は月に22万4482円、年換算で269万3784円です。
年金の標準的な金額と比較すると、年金だけで平均的な生活費を賄う場合は、通常より多い年金額が必要といえるでしょう。
夫婦で年金340万円を受け取るには年収がいくら必要?
共働きの場合、それぞれの年収によって受け取れる年金額も変わります。今回は、夫婦ともに以下の条件で、年金を合計340万円受け取るために必要な年収の目安を求めましょう。なお、必要な年金額は夫婦それぞれで170万円ずつとします。
・老齢基礎年金額は令和6年度のもの
・国民年金は満額支払っている
・厚生年金には平成15年4月以降に加入
・賞与は考慮しない
・加入期間は22~65歳の43年間
・報酬比例部分が老齢厚生年金額とする
まず、令和6年度の老齢基礎年金は満額で月6万8000円、年額81万6000円です。平均的な生活費を賄うための年金は1人170万円なので、老齢基礎年金額を引いた88万4000円が、必要な老齢厚生年金額になります。
老齢厚生年金の金額は、報酬比例部分を計算することで分かります。条件を基にした場合、報酬比例部分は「平均標準報酬額×0.005481×厚生年金保険への加入月数」です。
平均標準報酬額は、給料(月収)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめ決定された各月の標準報酬月額の総額と、賞与額から計算される標準賞与額の総額を合算した額を、厚生年金の加入期間の月数で割って求めます。今回は賞与を考慮しないため、平均標準報酬額が標準報酬月額の平均値です。つまり、平均標準報酬額がおおよその給料と同じになります。
報酬比例部分の計算式を基にすると、平均標準報酬額の求め方は「老齢厚生年金額÷(0.005481×厚生年金の加入月数)」です。今回は、88万4000円が必要な老齢厚生年金額なので、平均標準報酬額は「88万4000円÷(0.005481×516ヶ月)」で約31万2567円となります。
年換算にすると375万804円なので、年収目安は夫婦それぞれで約375万円ずつです。ただし、あくまでも目安のため、賞与額や加入期間中の収入の変動などによって受給額は変わる可能性があります。
老後の年金額を増やす方法とは
家庭によっては、現在の年収では老後の年金額が生活費に足りないケースもあるでしょう。年金額を上げるには、収入を上げる以外に「年金の繰下げ受給」を選ぶ方法もあります。
年金の繰下げ受給では「65歳0ヶ月から繰り下げた月数×0.7%」の割合で増額した年金を受給可能です。最大で75歳0ヶ月まで繰り下げでき、75歳まで繰り下げると受給額は84%増加します。年金が30万円だと、75歳までの繰り下げで55万2000円です。
年金だけで賄うなら夫婦で年収約375万円ずつが目安
総務省統計局のデータによると、65歳以上で夫婦のみの無職世帯の平均支出は年間約338万9964円です。年金だけで賄いたいなら、夫婦で約340万円の年金が必要になります。年金340万円、夫婦で170万円ずつの年金を受け取るには、今回の試算によれば、必要となる年収の目安はそれぞれおよそ375万円ずつです。
年金額を増やすには年収を上げる選択肢もありますが、受け取るタイミングをずらす「繰下げ受給」という選択肢もあります。必要に応じて、夫婦で年金を繰り下げることも検討しましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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