親から住宅購入資金を1000万円もらう予定なのですが、全額非課税にするにはどんな住宅が必要ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月10日 22時50分
親や祖父母から住宅購入資金として贈与を受けた場合に、贈与税が非課税になる制度があります。制度を賢く活用し税金を大幅に軽減できれば、住宅購入の資金負担を減らすことが可能です。 本記事では、親からの住宅購入資金を非課税で受け取るために必要な条件について解説します。
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」は、親や祖父母などの直系尊属から住宅の新築・取得、または増改築の資金を受贈した際に、贈与税が一定の範囲まで非課税になる制度です。住宅取得者の初期負担を軽減し、質の高い住宅の普及と居住水準の向上を図ることを目的としています。
令和6年度の税制改正により、非課税措置の適用期限が3年間(令和6~8年)延長されました。また、良質な住宅に該当する場合には、非課税限度額が1000万円まで上乗せされるなどの特例が設けられています。
1000万円の控除となる省エネ等住宅とは
省エネ等住宅の3つの基準は、以下の通りです。
・断熱性能等級4以上または 一次エネルギー消費量等級4以上
住宅の断熱性が高く、エネルギーの消費効率が優れている住宅が対象です。この基準により、冷暖房費の削減が期待されます。
・耐震等級2以上または免震建築物
地震への対策が十分にとられた住宅が対象です。耐震等級2以上の住宅や免震建築物であれば、安全性が高い構造であることが証明され、災害時の被害を抑える効果が期待されます。
・高齢者等配慮対策等級3以上
高齢者や身体に配慮が必要な人でも、快適に過ごせる工夫が施された住宅が対象です。この基準を満たすことで、家族の幅広いニーズに対応でき、長く住み続けられる住環境が整えられています。
以上のうち、いずれかの基準をクリアしていれば「質の高い住宅」として認められ、非課税措置を受けることが可能です。
相続時精算課税なら2500万円まで非課税
住宅を購入するにあたって親から資金提供を受ける際、相続時精算課税という制度を活用すると多額の非課税枠の利用が可能です。贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの課税方式があり、贈与税の申告時にどちらかを選択できます。
相続時精算課税を選べば、両親や父母からの贈与に対して累計で2500万円までの非課税枠が適用され、贈与税は発生しません。また、2024年以降の贈与については、相続時精算課税でも暦年課税と同じ「110万円の基礎控除」が適用され、年間110万円まで贈与税が発生しないため、最大で2610万円まで非課税で受け取れます。
さらに、住宅取得資金として贈与を受ける場合は、住宅の種類に応じた非課税特例が500万円分追加され、省エネ等住宅の場合は非課税枠が追加で1000万円となり、合計3610万円までは贈与税がかかりません。
ただし、2500万円の特別控除額で非課税となる分は、最終的には相続財産に加算されるため、相続税の計算対象となる点に注意が必要です。また、一度相続時精算課税を選択すると暦年課税に戻せなくなるため、選択は慎重に行いましょう。
相続時精算課税は、主に60歳以上の両親や祖父母から18歳以上の子どもや孫への贈与を行う場合に適用されますが、住宅取得資金贈与には例外があります。相続時生産課税を選択して非課税特例を利用する際は、両親や祖父母などの贈与者の年齢が60歳未満でも適用が可能です。
また、相続時精算課税を利用した住宅資金贈与の非課税特例では、「住宅の床面積が40平方メートル以上」「受贈者の収入制限がない」など、暦年課税の非課税特例とは異なる条件もあるため、各制度の要件をしっかり確認して活用しましょう。
住宅購入資金は条件によって最大3610万円まで非課税となる
親から住宅購入資金の援助を受けた際に「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」や「相続時精算課税制度」を活用すれば、最大で3610万円までの贈与が非課税になる可能性があります。制度を利用するためには、住宅の省エネ性能や贈与者・受贈者の年齢条件などを満たす必要があるため、各制度の要件を確認して計画的に利用することが大切です。
出典
国土交通省 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
国税庁 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
相続対策で子どもに贈与しようと考えています。贈与にはさまざまな特例があると友人から聞いたのですが、有利な特例制度があれば教えてください
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月11日 9時50分
-
生前贈与で「定期預金を名義変更」しても課税対象となる?…知っておくべき贈与税の“6つの非課税枠”
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月2日 14時30分
-
息子に結婚資金として「200万円」ほど援助したいです。100万円以上だと「税金」がかかると聞きましたが、どうにか節税できないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月17日 4時20分
-
相続税対策で、毎年「110万円」の贈与を受けることになりました。贈与税は110万円まで「非課税」だから問題ないですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月16日 4時30分
-
息子が大学に進学すると年間160万円ほど学費がかかる見込みです。ウチの両親と義理の両親がお金を出してくれると言っているのですが、80万円ずつ受け取れば贈与税はかからないですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月15日 6時0分
ランキング
-
1職場で“結婚ラッシュ”が起きた複雑な事情「“先輩”を差し置いて『お先に!』なんて言えず…」
日刊SPA! / 2024年12月12日 15時51分
-
2「インバウン丼」食べない人にも批判された深い訳 テーマパーク化するニッポンに、どう向き合うか
東洋経済オンライン / 2024年12月12日 8時40分
-
3ハーゲンダッツ「フレーバー総選挙」結果発表! ファン300人が選ぶ「好きな定番フレーバー」1位に輝いたのは?
オトナンサー / 2024年12月12日 18時10分
-
4縮まない・伸びない「ニット」おうち洗いの"正解" 意外とやっている「NG行為」で寿命を縮める例も
東洋経済オンライン / 2024年12月12日 8時50分
-
5超重要臓器・肝臓をボロボロにするのは酒だけではない…専門医がすぐにやめるべきと話す健康的な飲み物
プレジデントオンライン / 2024年12月12日 16時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください