通勤で毎年「1万5000km」ほど走るので“ハイブリット車”を検討中。車両本体価格が高くても、長年乗ればもとは取れる?「アルファード」「ステップワゴン」の場合で検証
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月11日 2時20分
毎日の通勤に車を使い、年間1万5000キロメートルほど走る場合、燃費の良いハイブリッド車は非常に魅力的に感じられるでしょう。しかし、燃費が良いからといって、必ずしもハイブリッド車のほうがお得になるわけではありません。 その理由は、ハイブリッド車の車両本体価格が高いためで、元を取るまでには何年かの期間が必要だからです。 本記事では、ガソリン車とハイブリッド車の両方をラインナップする車種の中から、トヨタのアルファードとホンダのステップワゴンを例に、年間1万5000キロメートル走った場合に何年で元が取れるのかを考えます。
燃費と重量税の差額を計算し元を取れる年数を計算
ハイブリッド車は本体価格が高いものの、燃費が良いだけでなく、さらに税金の優遇もあります。
燃費と税金の差を比較しながら、年間1万5000キロメートル走行した場合、何年で元を取れるか計算してみましょう(ガソリン価格はリッター170円で計算/本体価格や税金などは2024年11月時点の情報)。
アルファード Zの場合
まずはガソリン車のアルファード Z(本体価格540万円)とアルファードHYBRID Z(本体価格620万円)を比較します。
本体価格の差は80万円です。しかし、アルファード Zは自動車重量税(6万1500円)と自動車税環境性能割(13万2500円)の19万4000円がかかるのに対して、エコカー減税の対象となるアルファードHYBRID Zではかかりません。税金の差を考慮すると、差額は約60万円に縮まります。
カタログ燃費(WLTCモード)を見ていくと、アルファード Zはリッター10.6キロメートル、アルファードHYBRID Zはリッター17.7キロメートルです。以下の式を使って1年間のガソリン代を計算します。
1年間のガソリン代=年間走行距離÷燃費×ガソリン単価
1年間のガソリン代は、アルファード Zが約24万600円、アルファードHYBRID Zが約14万4000円です。差額は9万6400円となり、6年または7年で元が取れる計算です。
なお、車検時に支払う自動車重量税はアルファードHYBRID Zのほうが1万6000円ほど安いため、元が取れる時期がさらに早くなるかもしれません。
ステップワゴンSPADAの場合
次にステップワゴン SPADA(本体価格350万4600円)とステップワゴン e:HEV SPADA(本体価格388万8500円)を比較します。
ステップワゴン e:HEV SPADAはエコカー減税の対象であるため、ステップワゴン SPADAでは課税される自動車重量税(4万9200円)と自動車税環境性能割(7万8700円)は非課税です。本体価格の差と税金の差を考慮すると、取得費用の差額は25万6000円となります。
カタログ燃費(WLTCモード)がリッター13.7キロメートルであるステップワゴン SPADAの1年間のガソリン代は約18万6100円、リッター19.6キロメートルのステップワゴン e:HEV SPADAは約13万100円です。その差は年間5万6000円となるため、4年または5年で元が取れる計算です。
なお、ステップワゴンでも車検時に支払う自動車重量税に1万2800円の差があり(ハイブリッドのほうが安い)、結果として元が取れる時期がさらに早まることも考えられます。
ハイブリッド車のメリットと注意点
ハイブリッド車には、燃費以外にも環境への配慮ができるというメリットがあります。二酸化炭素の排出量が少ないため、地球に優しい車を求める人にとって有力な選択肢となるでしょう。
しかし、ハイブリッド車は定期的に駆動用バッテリーの交換が必要になることに注意が必要です。
10万キロメートル程度の走行で交換が必要になるケースもあり、アルファードが6年(9万キロメートル)から7年(10万5000キロメートル)で元を取れる計算だったことを考えると、ハイブリッド車のメリットを感じ始める頃に大きな費用が発生する可能性があります。
交換費用は車種によって異なるため、購入前に費用や交換タイミングをしっかり確認し、長期的にどちらが得かをディーラーや専門家に相談することが重要です。
ハイブリッド車は長期的な目線で選ぼう
ハイブリッド車は、燃費性能の向上によりガソリン車よりもコストを抑えられる一方、元を取るには5年以上の期間が必要です。さらに、駆動用バッテリーの交換を考慮すると、より長い期間が必要になる場合もあります。
しかし、環境への配慮や静かな走行などのメリットを考えれば、選択肢として十分検討する価値があるはずです。どちらを選ぶかは、経済性だけでなく、自身の価値観も判断基準の1つとしてみてはいかがでしょうか。
出典
国土交通省 継続検査等時における自動車重量税の税額
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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