夫から「定年後は収入が減るからパートを始めてほしい」と言われました。いまどきは妻も働かないと、定年後の「生活費」は賄えないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月12日 4時0分
定年後も再雇用で働こうと考えている方もいるでしょう。再雇用だと同じ会社で働き続けられる一方で、収入が大きく変わるケースもあります。再雇用後の給料によっては、配偶者も働いた方がよい可能性もあります。 まだ定年前でどれくらい給料が変わるか分からないときは、おおよその目安を知っておくと再雇用後のイメージがしやすくなるでしょう。今回は、再雇用で給料がどれくらい変わるのか、また定年後の生活費などについてご紹介します。
再雇用で給料はどれくらい変わる?
株式会社リクルートが2023年に公開している「【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査 2023 -個人編 60~74歳-」によると、定年前後で同じ会社に勤めている方で、定年前と比較した給料の変化割合の上位3つは以下の結果になりました。
1位:50~75%未満
2位:25~50%未満
3位:75~100%未満
いずれの場合でも、定年前と比較すると給料が低下していることが分かります。そのため、定年退職後に再雇用で働くと、給料が下がる可能性が高いといえるでしょう。
また、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」によると、男性の正社員の場合、55~59歳時点での平均月収は44万800円です。もし60歳で定年退職してから再雇用となり、給料が減った割合で上位を占める50%の金額となった場合、月収は22万400円になります。20万円以上の差となり、家庭によっては生活に大きな影響を与えるでしょう。
定年後の生活費にはどれくらい必要?
総務省統計局の「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯」によると、2023年時点の勤労者世帯で、世帯主が60~64歳の1ヶ月の平均実支出は41万572円でした。もし先ほどの男性正社員の平均月収から考えると、たとえ平均月収の75%の金額であったとしても33万600円になるため、約8万円不足する計算です。
60歳で定年退職した場合、年金を受け取るまでの間は、不足分を貯金から賄うことになります。しかし、貯金に余裕があまりない場合は、今回のケースのように、妻も働いた方が家計に余裕が出るでしょう。
実際、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」では、女性で非正規雇用だったときの平均賃金も公開されています。資料によると、60~64歳の女性の場合は、非正規雇用で平均月収が20万8900円です。
これだけあれば、夫が再雇用で給料が減ったとしても、生活費にはあまり影響を与えずに暮らせるでしょう。
定年後の生活費に不安を覚えたときにできること
まだ定年まで時間があるときは、計画的に貯金を始めましょう。生活費専用の貯金口座を作っておくと、間違えて貯金用のお金を使わずに済みます。もし50歳から毎月2万円ずつ貯金をすると、60歳には240万円の貯金が可能です。
さらに、貯金はある程度保有している状態で年金額を増やしたい場合は、年金の繰下げ受給も検討しましょう。年金の繰下げ受給とは、繰り下げた月数に応じて年金の受給額が増加する制度です。最大で75歳まで、84%増額した金額を受給できます。
支出を減らす手段としては、節約のほかに健康維持も大切です。健康であればけがや病気をしにくくなるため、医療費を減らせます。毎日適度に運動をしたりバランスのよい食事を心がけたりして、健康的な生活をしましょう。
定年前の給料によっては共働きが必要になる可能性がある
株式会社リクルートが実施した調査によると、定年後に継続して同じ会社で働く方で給料が変動した割合は50~75%未満が最も多い結果でした。多くの方は再雇用によって給料が定年前よりも減少していることが分かります。
定年前の給料にもよりますが、50~75%未満に減少した場合、毎月の平均支出に足りなくなる場合もあるでしょう。年金も受け取り始めていないときは、共働きした方がよい可能性があります。
出典
株式会社リクルート ジョブズリサーチセンター 【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査 2023 ―個人編 60~74歳― Part2 これまでの仕事経験 13.継続雇用での給与の変化(25ページ)
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査の概況 結果の概要 1 一般労働者の賃金 (6)雇用形態別にみた賃金(12ページ)
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2023年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号3-2 世帯主の年齢階級別
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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