扶養を外れて働き始め、給与から「年金保険料」が引かれています。いつまで払えばいいの?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月15日 22時0分
2024年10月以降、従業員数51人以上の企業で週20時間以上働く方は、パートやアルバイトでも社会保険の加入対象となりました。 社会保険の加入前は、「時給×働いた時間+交通費」と比較的簡易な計算で手取り額を把握していましたが、社会保険に加入し、扶養から外れると、給与から差し引かれる年金保険料や健康保険料の金額が気になることでしょう。これまでの働き方と比較しつつ、社会保険制度について考えてみましょう。
「短時間労働者」とは
2016年10月以降、段階的に社会保険の適用が拡大され、2024年10月からは、従業員数「51人以上」の企業が対象になりました。ただし、51人以上の企業で働く場合でも、勤務する日数や時間、賃金によって「短時間労働者」の要件を満たしていなければ、引き続き、社会保険の適用外となります。いま一度、要件を確認してみましょう。
社会保険適用の対象となる「短時間労働者」の要件とは、以下の1~5のすべてに該当している方です。
1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
2. 雇用の見込みが2ヶ月を超えること
3. 所定内賃金が月額8万8000円以上であること
4. 学生でないこと
5. 勤務先の従業員数が51人以上であること
扶養内での働き方
そもそも「扶養」という言葉には、「自立して生きていくのが難しい人を援助する」という意味があります。同じ世帯のなかで扶養する人(扶養者)が、扶養される人(被扶養者)を経済的に支えるイメージです。
被扶養者の所得が一定以下であれば、税金は非課税となり、社会保険についても負担はありません。一方で、扶養者には税制面での優遇があります。
子育てや介護などの理由で働きたくても働ける状態でない場合もありますので、一概には言えませんが、扶養による優遇を受けるために「扶養内で働く」ことを目的として、あえて収入を制限する働き方も選択肢となり得ます。
扶養内での働き方については議論の過程であり、改正の余地はあるものの、現時点では、税制面では103万円、社会保険面では130万円もしくは106万円という「年収の壁」が存在します。
103万円をわずかに超えることで税負担が生じ、ギリギリで抑えた人との比較において、手取り収入の逆転現象が起こることがあります。そのため、年末が近くなると収入調整をする方が多いのも現状です。同様に、社会保険の壁を超えると、年金保険料や健康保険料などの社会保険料を負担する必要があります。
国民年金は20歳から60歳までのすべての人が加入する義務がありますが、会社員の配偶者であれば、第3号被保険者として保険料の負担なく加入することができます。つまり、要件を満たすことで、将来「老齢基礎年金」を受給することができます。
社会保険の適用拡大により、新しい働き方を考える人が増えている
社会保険の適用拡大は、これまで働き方を制限してきた方にとって、新しい働き方を考える機会かもしれません。これまで通りの働き方であっても、制度が変わることで社会保険加入の義務が生じるのであれば、より稼げる働き方が選択肢となってくることでしょう。
社会保険の加入によって、つまり経済的に自立することによって、税金や社会保険料の負担が生じると同時に、将来得られる老齢厚生年金の受給が期待できます。第3号被保険者であれば、1階部分の「老齢基礎年金(国民年金部分)」のみですが、第2号被保険者となることで、上乗せである「老齢厚生年金」の受給も期待できます。
社会保険の適用で働き続けるかぎり、負担は継続する
老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金の魅力は、生涯受給できることです。であれば、1階部分だけでなく2階部分も含めた年金を受け取り、将来の受給額を増やしたいものです。
社会保険適用の働き方を継続するかぎり、給与から差し引かれる年金保険料や健康保険料などの社会保険料は負担することになります。報酬(賃金)が上がれば負担も増えますが、その分平均報酬月額が上がり、結果として将来の年金受給額が増えることになります。
なお、原則70歳に到達すると、厚生年金は被保険者資格を喪失(脱退)することとなるため、以降の年金保険料の負担はありません。将来の生活不安を払しょくするためにも、公的年金の増額とともに、より多い収入を得ることで、自助努力としての貯蓄や資産形成にも目を向けたいですね。
出典
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 会社員などの配偶者に扶養されているかた、扶養されていたかた(主婦・主夫)へ。知っておきたい「年金」の手続
執筆者:大竹麻佐子
CFP®認定者・相続診断士
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