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SNSで、車で日本一周している夫婦を見つけました。特定の居住地がない場合、住民税などはどうなるのですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年12月15日 9時50分

SNSで、車で日本一周している夫婦を見つけました。特定の居住地がない場合、住民税などはどうなるのですか?

最近、個人が動画を作成してSNS上に公開する「動画配信SNS」 に人気が集まっているようです。そのなかでも、バンといわれる自動車で生活を送りながら、日本一周や気ままな旅生活を送るというものもあるようです。   こういった人々は、住民票や納税の手続きをどうしているのでしょうか。

バンライフとは

特定の住所に住むのではなく、荷物の運搬などを目的とした車を改装して、寝泊まりや家事、仕事などを行うことを「バンライフ」といいます。
 
バンライフは、荷室がついた車「バン(VAN)」と「生活(ライフ……LIFE)」を合わせた造語です。旅行するよりも比較的費用を抑えながら、日本全国の好きな場所に移動でき、気ままな生活ができるため、人気が集まっているようです。
 
「住む家のある方が、平日は普通の生活を送り、週末や長期休暇だけバンライフを行う」というケース、「生活の中心はバンライフでも、たまには家に帰る」というケースもありますが、「今まで住んでいた家を完全に処分している」というケースもあるようです。
 
バンライフを送る人のなかには、定年退職後の年金受給者もいますが、現役世代にも仕事をしながらバンライフを送る人がいます。そのなかの一部の人はバンライフの様子を動画にして、動画投稿サイトに上げて広告収入を得るケースもあるようです。
 

住所や税金の手続きはどうなっているの?

バンライフを送っている人の住所は、親が住んでいる実家のほか、友だちの家やシェアハウスに設定されているケースが多いです。
 
また、車で生活を送るためには、「車庫証明」を所有することが必要となります。車庫証明に必要な書類は、管轄の警察署からオンラインで入手することができます。入手した書類に必要事項を記載して、管轄の警察署に提出し、後日、警察署で受け取ることになります。
 
軽自動車であれば原則として車庫証明は必要ありませんが、それ以外の場合は、車庫証明を取得することが求められます。実家の土地を駐車場にするほか、友だちの家やシェアハウスであれば、住所とした場所から2キロメートル以内に月極駐車場などを契約します。
 
なお自分の保有している土地の場合と、実家や他人の土地を駐車場にする場合には、必要な書類が違います。
 
またバンライフを送るには、車の保管場所だけではなく、所得税や住民税などに関する書類を受け取ったり、税を納めたりする必要があります。
 
年金受給者や、仕事または広告収入がある人がバンライフを送っている場合でも、それらの収入が多くなれば、所得税や住民税の支払いが発生します。しかし、所得税や住民税が課税されない程度の収入で、バンライフを送っているケースもあります。
 
この場合は納税の義務はありませんが、国民健康保険料の支払いはありますので、定期的に書類が住所地に届いていることを確認することも大切です。加えて、60歳未満で会社員以外の方は、国民年金にも加入する必要があります。
 

住民税非課税の基準となるのは?

ある方の年収が一定の水準以下であれば、所得税も住民税もかからないことになります。所得税に関しては「103万円の壁」という言葉をよく聞くと思いますが、住民税についてはどうなっているのでしょうか。
 
やや極端な例ですが、定年退職後にバンライフを送りながら年金を受け取っている方の場合を想像してみましょう。年金受給者は、受け取る年金額に対して「公的年金等に係る雑所得控除」が受けられます。
 
図表1

図表1

※合計所得1000万円以下
※国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」より筆者作成
 
図表1は、公的年金を受け取っている方が所得税や住民税を計算する基となる、「合計所得金額」を計算する際の速算表です。
 
そもそも住民税には、収入に応じて課税される「所得割」と収入に関係なく課税される「均等割」があります。ただし、所得割も均等割も全く課税されない、以下の基準があります。
 
35万円×(世帯人員数)+10万円+21万円(※1)以下
 
年金受給者であれば、合計所得が45万円以下であれば住民税非課税になります。先述の公的年金等に係る雑所得控除も合わせて考えると、65歳未満であれば年収105万円以下、65歳以上であれば年収155万円以下まで、個人住民税が課税されないことになります。
 
なお、60歳未満の場合も課税されない基準は同じです。例えば個人事業主(国民年金の第1号被保険者)であれば、収入から経費や所得控除を引いた額が上記の額以下になったときに、個人住民税が課税されなくなります。
 
※1:21万円が加算されるのは同一生計配偶者または扶養親族を有する場合のみ
 

まとめ

バンライフを送っている人も、日本で生活をしていく以上、住所の届け出を出しておかなくてはいけません。その際は届け出る住所を、実家だけでなく、友だちの家やシェアハウスのものにするケースもあるようです。
 
また、バンライフを送りながら一定の収入が生じれば、所得税や住民税、健康保険料や年金保険料を払う必要があります。ただし一定の基準以下であれば、支払いが免除される場合もあります。バンライフを送ろうとする場合には、収入や住所をどうするかなど、始める前に計画を立てておくことも必要になるでしょう。
 

出典

国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
総務省 個人住民税
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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