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来年の1月、第2次トランプ政権が発足すると、投資の環境はどうなるの?

ファイナンシャルフィールド / 2024年12月15日 22時0分

来年の1月、第2次トランプ政権が発足すると、投資の環境はどうなるの?

先日実施されたアメリカの大統領選挙では、トランプ氏が再選されました。また、同時に行われた上下両院の選挙において、共和党が上院の過半数を占め、下院については、現時点では共和党が過半数の議席を獲得する可能性が高まっているようです。   仮に上下両院ともに共和党が過半数を上回ると、いわゆる「ねじれ」状態が解消され、トランプ氏の掲げる政策がより実現されやすくなると考えられます。   投資には政治リスク(政治的な不確実性)がつきものですが、今回はあらためて、第2次トランプ政権の政策が、投資にどのような影響を与えるかについて考えていきます。

トランプ氏の掲げる政策

先の大統領選挙において、トランプ氏が掲げていた政策を、簡単におさらいしてみましょう。
 
1. 経済・財政
トランプ氏の掲げる政策のひとつに、「減税」があります。具体的には、法人税率の引き下げや個人の所得税の最高税率を引き下げることなどです。減税が実施されると、企業の収益が増え、国民生活も改善されるため、一般的に景気がよくなると考えられます。
 
2. 通商
トランプ氏の掲げる政策のなかでも、最も特徴的といえるのが、通商政策です。第1次トランプ政権ではアメリカ第一主義のもと、中国からの輸入品に高い関税を課し、中国との間で貿易摩擦が起こったことは記憶にあるかもしれません。
 
第2次トランプ政権では、中国からの輸入品に対しては最大60%、その他の国からの輸入品に対しても関税をかけるとしています。
 
3. 移民政策
トランプ氏は、メキシコとの間の国境管理を徹底し、不法移民に対して厳しく対処するとしています。
 
4. ウクライナ情勢
トランプ氏は、ウクライナへの軍事支援に消極的な姿勢を示しており、北大西洋条約機構(NATO)のあり方を見直すことにも言及しています。
 
5. エネルギー政策
トランプ氏は、気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」から再度の離脱を掲げ、エネルギーの生産量を増やすことで、エネルギー価格や電力価格を半減させることを表明しています。
 

トランプ氏の掲げる政策は投資にどう影響を与えるか

投資をする際は、一般的に、その政策が金利にどう影響を与えるかを考えます。このため、それぞれの政策について、金利と絡めて考えてみましょう。
 
1. 経済・財政
トランプ氏が減税をすると、金利は上がりやすくなるでしょう。
 
なぜならば、減税により国民の懐は豊かになり、その結果、消費が喚起され、物価が上がると考えられるからです。
 
物価が上がると、中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を引き下げることが難しくなるため、米国債の利回りが上昇しやすくなると考えられます。米国債の利回りが上昇すると、ドルが買われやすくなり、ドル高(円安)に傾くかもしれません。
 
一方「減税が行われると、財政悪化懸念から米国債が売られやすくなる」と考えることもできるでしょう。米国債が売られると利回りが上昇するため、ドル高(円安)要因になると考えることができます。
 
2. 通商
トランプ氏の掲げる通商政策は関税の引き上げですが、関税が引き上げられると、輸入物価が上昇します。物価が上昇すると、FRBは利下げしにくくなるため、米国債の利回りが上昇しやすくなると考えられます。このため、関税の引き上げはドル高(円安)要因といえます。
 
3. 移民政策
メキシコの国境管理を厳格にし、不法移民を取り締まると、賃金に上昇圧力がかかります。なぜならば、企業にとっては安く雇うことのできる労働力が不足するようになるからです。
 
賃金が上がると労働者の収入が増えます。労働者の収入が増えると、その分使えるお金が増え、消費が活発になります。消費が活発になると物価が上昇しやすくなるため、FRBは金利を引き下げることが難しくなります。
 
利下げが難しくなると、米国債の利回りが上昇しやすくなることから、ドルが買われ、ドル高(円安)になりやすいといえるでしょう。
 
4. ウクライナ情勢
「トランプ氏はウクライナに対する軍事支援に消極的である」といわれていますが、仮にウクライナ戦争が終結に向かう場合、原油や天然ガスなどのエネルギー価格が下落する可能性があります。
 
エネルギー価格の下落は物価の下落につながるため、FRBとしては利下げがしやすくなるかもしれません。利下げの可能性が高まると、米国債の利回りが低下するため、ドル安(円高)になりやすいといえるでしょう。
 
5. エネルギー政策
トランプ氏の政策により、原油や天然ガスなどの産出量が増えると、エネルギー価格は下落すると考えられます。エネルギー価格が下落すると、利下げの可能性が高まり、米国債の利回りが低下しやすくなるでしょう。米国債利回りの低下はドル安(円高)材料といえます。
 

まとめ

本記事では、トランプ氏の掲げる政策が投資にどう影響を与えるか見てきましたが、いずれも物価の動向と結びついています。
 
物価が上がる可能性が高いなら「米国債利回りは上昇しやすく、ドル高(円安)となりやすい」、逆に物価が下がる可能性が高いなら「米国債利回りは低下し、ドル安(円高)になりやすい」という推論が成り立つでしょう。
 
このように、投資には「ストーリー」があります。ここでいうストーリーは、「風が吹けばおけ屋がもうかる」といった投資家たちの連想です。
 
来年の1月、第2次トランプ政権がスタートします。任期の4年間、アメリカの政策が金融経済の環境にどう影響を及ぼすか、連想しながら投資をすると、金融リテラシーが身につきやすいかもしれません。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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