「罰金を取られるからベランダでもタバコが吸えない…」と嘆く夫。受動喫煙の罰金はいくら?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月16日 10時20分
平成30年に健康増進法が改正され、受動喫煙を防ぐことが推奨されるようになりました。喫煙者にとってはつらい改善ですが、周囲の健康被害を防ぐために守っておきたい方針です。 外出先だけでなく、ベランダで喫煙している方は特に気をつけましょう。集合住宅のベランダで喫煙し続けた人が、周囲の訴えにより損害賠償を請求された実例もあるようなので注意が必要です。 この記事では、ベランダでタバコを吸って訴えられた場合の賠償額はいくら程度なのかをご紹介します。実際に訴えられた実例も交えて解説するため、ぜひ参考にしてください。
受動喫煙の罰金は?
健康増進法の改正によって、受動喫煙防止策が強化されました。これにより、喫煙禁止場所での喫煙が禁止されることなどが義務付けられたようです。違反し指導や命令による改善がみられない場合は「50万円以下の過料」が適用される可能性があります。
また、行政上の処分に該当しなくても、損害賠償責任が生じる場合があります。損害賠償とは被害を受けた側が、裁判などにより加害者に請求する賠償金です。しかし、賠償額は損害額によって変動するため、はっきりとした額が決められているわけではありません。
損害賠償が生じるケースは、他者の健康状態に被害を与えていると知りながら喫煙を継続した場合です。そのため、マンションのベランダで喫煙し、何らかの注意を受けた場合は該当する可能性があるでしょう。
賠償額が発生した実例
ここからはどのような状況で賠償額が発生したのか、公益財団法人不動産流通推進センターや厚生労働省に寄せられた実例を紹介しながら解説します。
5万円の損害賠償額が発生した実例
公益財団法人不動産流通推進センターに寄せられた、実例を紹介します。ベランダでタバコを吸う居住者に対し、ベランダでの喫煙をやめるように注意したにもかかわらず継続して吸っていたため賠償額を請求された例です。
上の階に住む住人は幼い子どもがいるため、下の階に住んでいる住人の受動喫煙による健康被害を懸念していました。そのため、管理会社に注意してもらうように伝えたり本人に直接訴えたりしましたが、下の階の住人はベランダでの喫煙をやめなかったようです。
上の階の住人は風通しがいいように窓を開けて過ごしていますが、下の階の住人がタバコを吸い始めるとあわてて窓を閉めていたといいます。裁判になったところ、タバコの煙による損害賠償額は精神的損害を賠償するものとして、下の階の住人に5万円が請求されました。
喫煙者の被告が先に住んでいたと主張したが、却下された実例
また、ベランダでタバコを吸っていた被告が裁判で訴えられた際に「自分の方が先に住んでいた」と主張していた実例もあることが分かりました。
しかし、下の階の人物がベランダでタバコを吸っているという事実は、住んでみないと分からないため被告の主張は却下されています。
原告はタバコの煙が上の階に上がってくる住まいを選んで移住したわけではなく調査不足ともいえない、という裁判官の判断もありました。この場合も、ベランダでの喫煙をやめるように申し入れがあったにもかかわらず、継続していたため賠償金が発生しています。
非喫煙者の主観として認められなかった実例
ほかにも、自宅内で喫煙している被告の副流煙が、上階に住む原告の室内に入って健康を害したという訴えが認められなかったこともあったようです。自宅内での喫煙は個人の自由であって、万が一副流煙が外に漏れたとしても微量だと判断されたためです。
また、微量の副流煙で健康被害が生じたと証明するものもなく、非喫煙者の主観であるとも判断されました。自宅内でタバコを吸うのは個人の自由なため、明らかに健康被害が発生しない場合は、訴えを却下される傾向にあります。
受動喫煙の賠償額は被害によって変動する
健康増進法の改正によると、受動喫煙が50万円以下の過料になる可能性があります。過料は罰金とは異なり、刑事処罰には該当しません。
また、マンションにおける受動喫煙の場合は、他の住民から損害賠償請求をされる可能性があります。賠償額は、損害の内容によって異なります。
喫煙は趣味として自宅で楽しむ程度なら問題ないとされていますが、マンションなどの集合住宅に住んでいる場合、屋外の喫煙を避けるのが無難です。タバコを吸う際は、周囲に副流煙の影響がない場所を選びましょう。
出典
公益財団法人 不動産流通推進センター 不動産相談
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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