今と昔ではお金の価値はどれくらい違うのでしょうか? 昔を題材にした漫画やドラマで「お小遣い5円」で喜ぶ姿を見て疑問に感じています。
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月18日 4時30分
昔のドラマや漫画でお金の描写を目にしたとき、現在とお金の価値がそんなに違うのかと驚いたことがある方も多いでしょう。時代を超えてお金の価値が変わる背景の一つには、物価の変動があります。 同じ「1円」でも、昔と今では購入できるものがまったく異なり、その差を理解することが経済の仕組みや時代の移り変わりを知る手がかりになります。 本記事では、昔と今で1円の価値がどれほど変わったのか、物価指数を用いて解説します。また、時代とともに移り変わるお金の価値について、缶ジュースやお小遣いといった身近な例を通して見ていきましょう。
お金の価値は時代とともに変化する
お金の価値は、物価の変動によって変化していきます。物価とは、商品やサービスなどの価格のことです。物価が上昇すると、同じお金でも購入できる量が減少するため、お金の価値が低下します。
反対に、物価が下がると同じお金で購入できる量が増えるため、お金の価値が高まります。
例えば、昔はチョコレート1箱が300円だったのに、現在までに物価が上昇し1枚600円出さなければ買えなくなったとしましょう。昔であれば、1800円で6箱のチョコレートを購入できましたが、物価が上昇した現在では1800円で3箱しか買えません。
つまり、お金の価値が半分に下がってしまったということです。物価が上昇した状況下では、これまで通りの生活水準を保とうとすると、より多くのお金が必要になります。
今と昔のお金の価値の差
お金の価値は今と昔では驚くほど変化しています。異なった時代のお金の価値を比較するためには、企業物価指数が役立ちます。ちなみに企業物価指数には、国内における企業同士で取引されるものを対象としており、サービスの価格は含まれていません。
表1
明治34年 | 0.469 |
大正2年 | 0.647 |
昭和2年 | 1.099 |
昭和20年 | 3.503 |
平成元年 | 730.4 |
令和2年 | 675.5 |
出典:日本銀行「昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?」 より筆者作成
明治34年(1901年)と令和2年(2020年)を比較しましょう。明治34年当時の企業物価指数は0.469、令和2年の指数は675.5です。
675.5(令和2年)÷0.469(明治34年)=1440.3 約1440倍
2つの値を割り算することで、1円の価値には約1440倍もの差があると分かります。つまり、明治34年の100円は、令和2年では約14万4030円の価値に相当し、5円のお小遣いは、現在の約7000円に相当するということです。
身近なお金やモノの価値の変化
過去には、缶ジュースの価格が80円のときもありました。現在では自販機で購入しようとすると120~160円ほどします。今と昔で中身がそれほど変わっていなくても、ジュースの原材料や容器など、缶ジュースを作るうえで必要な材料費などが値上がりした結果、販売価格が高くなってしまったのです。
まず、缶ジュースの原材料費には食品や缶・ペットボトルなどの包装材料が該当します。次に、製造費として、製造にかかる人件費や設備費用、製造過程で必要になる燃料や光熱費などが必要です。最後に販売費として、缶ジュースを運ぶトラックのガソリン代や広告宣伝費、経費などがかかります。
このように、缶ジュース1つにも、さまざまな費用がかかっており、どれか一つでも高騰すると商品自体の価格を上げざるを得なくなってしまいます。つまり、単に原材料費の高騰による値上がりだけではなく、さまざまな原価費用が時代の移り変わりにより少しずつ上昇してきた結果、商品価格の値上げにつながったということです。
明治34年の100円は令和2年の14万4030円の価値がある
明治34年の100円は、令和2年の14万4030円に相当する価値を持つといえます。この差は、企業物価指数を基に計算されたものです。また、5円のお小遣いは、現在では約7000円と同等の価値があります。
これらの比較から、お金の価値が物価の変動によって大きく変化してきたことが分かります。時代ごとの物価や金銭価値を理解することで、過去と現在をつなぐ経済の流れをより深く理解できるようになるでしょう。
出典
日本銀行 昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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