祖父の相続で借金の存在が明らかになりました。両親はすでに亡くなっているのですが、孫である私も返済しなければならないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月20日 2時20分
相続には、現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、故人が残した借金やローンといったマイナスの財産も含まれます。両親が亡くなっている場合、祖父の相続は孫が引き継がなければいけないのか気になるものです。 本記事では、財産や借金などを相続する対象者や、相続における借金の扱いと対応方法について解説します。
借金も相続の対象になる
相続の対象になるものは、現金や不動産などのプラスの財産だけではありません。故人が残した借金やローンといったマイナスの財産も対象です。相続人はプラスの財産とともに、故人の負債を引き継ぎ、その返済義務を負うことになります。
また、借金は法定相続人がそれぞれの法定相続分に応じて承継するのが原則です。子どもが複数いる場合、それぞれの相続人は法定相続分に基づいた割合で借金を負担することになります。ただし、相続人間で合意した割合で借金の支払債務を承継することも可能ですが、その場合は債権者の承認が必要です。
相続放棄もできる
相続人が負債を引き継ぎたくない場合には、「相続放棄」を利用できます。相続放棄とは、家庭裁判所に申述を行い、法律上はじめから相続人でなかったものとする制度です。この手続きを完了させれば、故人の借金やローンなどの負債を一切引き継ぐ必要はありません。
ただし、相続放棄を選択すると、土地や預貯金、不動産といったプラスの財産もすべて相続できなくなる点に注意が必要です。そのため、負債の総額やプラスの財産の価値を慎重に検討したうえで決断しましょう。
また、相続放棄には期限があり、「相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内」に手続きを完了させる必要があります。この期限を過ぎると相続を放棄できなくなり、借金を相続するリスクが高まります。借金の存在に心当たりがある場合は、速やかに専門家に相談し、必要な対応を検討しましょう。
借金は法定相続人が相続する
相続が発生した際、誰が被相続人の財産や負債を受け継ぐのかは、民法によって以下の通りに定められています。
常に相続人となる人:配偶者
第一順位:子どもや孫
第二順位:親や祖父母
第三順位:兄弟姉妹や甥、姪
被相続人が遺言書を作成していない場合、配偶者や直系血族(子ども、孫、親など)が優先的に相続人となり、財産や借金を引き継ぎます。なお、両親がすでに亡くなっている場合には、孫が第一順位の相続人として借金を相続する立場になります。
まずは亡くなった人に借金があったか確認する
相続手続きの第一歩は、亡くなった方の財産を正確に把握することです。借金がある場合でも、プラスの財産と合わせて全体の状況を確認しなければ適切な判断は難しいでしょう。また、相続放棄や限定承認といった手続きは一度行うと取り消しができないため、慎重に財産調査を行わなければなりません。
まずは、故人の自宅や郵便物を整理し、ローン契約書や請求書など、借金に関連する書類を探します。次に、故人の通帳履歴を確認しましょう。過去の振り込みや引き落とし記録から、ローンや借金に関する情報を特定できる可能性もあります。
なお、信用情報機関に情報開示請求を行えば、金融機関からの借り入れ状況を調査することが可能です。不動産は、登記簿謄本を確認することで、担保が設定されているかどうかを把握できます。
また、故人の親族や知人に尋ねることで、個人的な借り入れの詳細を把握できる場合があります。これらの方法を組み合わせて、借金や財産の全体像を正確に把握することが大切です。
調査の結果、多額の借金が判明した場合は、相続放棄を検討するのも一つの方法です。ただし、借金があるからといって、財産が必ずマイナスになるわけではありません。
過払い金の請求によって財産がプラスに転じる場合や、債務控除によって相続税負担が軽減されるケースもあります。これらの可能性を考慮しながら、専門家に相談して正しい判断を行うことをおすすめします。
孫も相続人となれば借金の返済義務を負う
相続人となれば、孫であっても借金を含めた財産を引き継ぐ義務が発生する可能性があります。特に、亡くなった親がすでに他界している場合、孫は代襲相続人として財産と負債を引き継ぐことができます。
ただし、相続放棄を選べば負債を引き継ぐリスクを回避できますが、プラスの財産もすべて放棄する必要があります。そのため、相続の際には故人の財産を正確に把握したうえで適切な手続きを行うことが大切です。
財産の全体像を理解することで、相続放棄や限定承認などの適切な選択が可能になります。特に、複雑な財産状況や多額の負債がある場合には、専門家の助けを借りることで、より安心して対応できるでしょう。
出典
国税庁 相続税のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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