子どもへなるべく多くお金を残すため、「生前贈与」を検討しています。毎年2回の帰省時に50万円ずつ渡そうかと思うのですが、節税になるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月25日 2時0分
相続税の節税方法の一つに、贈与を活用して相続財産そのものを減らす方法があります。贈与税と相続税の課税条件や計算方法を知っておくことで、条件によっては、税額をかなり少なくすることも不可能ではないでしょう。 少しでも節税するためには、贈与でも渡す金額に注意が必要です。今回は、生前贈与で節税をするときのポイントや、相続させたい財産を一部贈与にしたときに節税できる金額例などについてご紹介します。
贈与するときのポイントは渡す金額
節税対策として贈与を行うときは、一度に渡せる金額を確認しておきましょう。贈与税には年間110万円までの基礎控除が定められており、超えた分に対して税金が課されます。
税金がかからないようにするには、毎年110万円内におさえて家族へ財産を渡すといいでしょう。例えば、500万円を一人に渡したいときは、100万円を5年間に分けると非課税です。ただし、あらかじめ数年に分けて多額のお金を受け取ることが約束されている場合、1年間の金額は非課税範囲であったとしても初年度に課税される可能性があります。
国税庁によると、「毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約(約束)されている場合には、契約(約束)をした年に、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与を受けたものとして贈与税がかかります」と記されています。
契約をした年に合算して計算されないためには、お金を渡すたびに贈与契約を結ぶ方法が有効です。国税庁でも、毎年贈与契約を結んでいれば申告は必要ないと記されています。口頭のみでも贈与は成立しますが、多額のお金を数年に分けて渡すときは、贈与契約書の作成がおすすめです。もし、税務署に指摘されても証拠が形として残っているため、説明がしやすくなるでしょう。
5000万円を全額相続したときと1000万円を贈与税で分けたときの税額の差
今回は、以下の条件で5000万円を相続したときの税額と1000万円を贈与して残額を相続したときの税額の差を求めましょう。条件は以下の通りです。
●基礎控除以外の控除はない
●法定相続人数は子ども2人
●相続財産の分け方は法定相続分
●贈与は年に2回50万円ずつ、合計100万円ずつを5年にわたって子どもに渡す
●毎年贈与契約書を作成したうえで渡している
●100万円以外の贈与はない
また、相続税は以下の手順で求めます。
1:相続財産の課税金額分を、法定相続通りに相続人が取得したとし、それぞれの法定相続分に対する税率を使用して金額を計算する
2:1で求めた税額を合計する
3:税額の合計を、実際に相続人が受け取った相続財産の割合で分け(遺言書により法定相続分以外で分けるケースがあるため)、必要に応じて控除額を適用した金額が納付する金額
まず、相続税は基礎控除額が「3000万円+600万円×法定相続人数」のため、今回の基礎控除額は4200万円であるため800万円が課税対象になります。子ども2人が相続人のときは半額ずつ分けるため、それぞれ400万円で税額を計算しましょう。1000万円以下だと税率は10%なので、子どもにはそれぞれ40万円ずつの税金が課されます。今回は法定相続分で控除もほかにないため、実際の納付額も子ども2人で合計80万円です。
一方、先に条件のように生前贈与で500万円ずつ、合計1000万円を渡していれば、相続財産は4000万円です。基礎控除額は4200万円のため、相続税はかかりません。贈与税もかからないため、全財産を相続したときと比較して80万円の節税が可能です。
なお、法定相続人数や実際の相続額によっては、税額は変わるため注意が必要です。
毎年贈与契約をしていれば生前贈与で相続税の負担を軽減できる
相続税の負担を減らすには、生前贈与で相続財産そのものを減らす方法があります。ただし、贈与税にも基礎控除額はあるので、超えない範囲で渡すことが大切です。
毎年、贈与契約を結んでいるうえで、基礎控除額内にして贈与していれば、税金はかからないとされています。今回のケースでは、生前贈与の活用で80万円の節税になります。なお、法定相続人数や相続額など条件が変われば節税できる金額も変わるので、一度自分で計算してみることがおすすめです。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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