正社員ですが手取りは「月13万円」です。生活が厳しくても、地方なら普通ですか?「生活保護」でもらえる額と同じと聞きましたが、転職すべきでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月26日 2時10分
正社員として働いているにもかかわらず、手取り金額が低いことを悩んでいる人もいるのではないでしょうか。手取りが少なくても物価の安い地方なので何とか生活ができているという状況であれば、不満を抱きつつも転職に踏み出すことができないという人もいるかもしれません。 本記事では手取り「月13万円」の人が地方で一人暮らしするケースについて、適正な家賃も踏まえて考えていきます。
手取り「月13万円」での生活は、生活保護を受けた場合と同水準
生活保護制度でもらえる受給金額は、厚生労働省の公表している「最低生活費」が基準となりますが、無職の単身者の場合は1ヶ月あたり10万円~13万円の生活保護費の受給が想定されます。
そのため、給与収入からの手取りが「月13万円」の単身者は、生活保護を受けた場合と同水準の生活となりそうです。この場合、地方での生活は問題なく送れるのでしょうか。次項以降で適正な家賃と共にご紹介します。
適正家賃は「約4万3000円」
適正な家賃を検討する上での考え方は「手取りの1/3」までに抑えるというものです。
つまり今回の手取り「月13万円」をベースに計算すると、適正家賃は「約4万3000円」以下ということになります。
全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向」(2024年10月調査)から、1部屋(1K・1DK・1LDKなどを含む)の平均家賃を参照すると、家賃の全国平均は「約5万3000円」です。
本ケースにおいて、適正家賃である「4万3000円」以下の平均年収の都道府県を抽出すると以下の通りです。
東北地方
「4万1806円」の青森県、「4万1847円」の秋田県、「4万2583円」の福島県
関東甲信越地方
「4万476円」の群馬県、「4万1305円」の栃木県、「4万1201円」の山梨県
近畿地方
「4万902円」の和歌山県
中国地方
「3万8727円」の鳥取県、「4万1070円」の山口県
四国地方
「4万1689円」の香川県、「4万22円」の愛媛県、「4万1993円」の高知県
九州地方
「4万674円」の佐賀県、「4万1776円」の大分県
以上の地方であれば、手取り月13万円でも適正家賃内で物件を探せる可能性が高くなるでしょう。もし該当地方に住まいがあり、これ以上の家賃を払っているのであれば、引っ越しを検討してみてもいいかもしれません。
8万7000円で家賃以外をやり繰りする
さて、手取り「13万円」から適正家賃である「4万3000円」を差し引くと、残りは「8万7000円」です。この「8万7000円」から水道光熱費、通信費、食費、交通費、娯楽費などを捻出することになります。
各種費用は住まい周辺の気候や車の有無などにより異なりますが、ゆとりがあるとは言えない生活水準であることは想像に難くありません。
格安SIMの利用や、保険の見直し、電気・ガス会社の見直しをはじめとした、固定費の抑制は必須と言えます。
手取りを増やす
得られる手取り以上の生活を送ることはできず、生活がギリギリな場合には将来に向けた貯蓄もできません。そのため、現状および今後の生活に不安がある人は、どのように手取りを増やすかを検討するようにしましょう。具体的には、副業や転職活動への取り組みです。
給与水準が上がらない会社に属して苦しむよりは、思い切って自分の別の選択肢を模索してみてください。
まとめ
給与収入からの手取りが「月13万円」の単身者は、生活保護を受けた場合と同水準の生活といえます。支出管理の必要性が高いことはもちろん、手取りを増やす取り組みも重要です。
例えば副業は本業を続けながら取り組めるため、収入源を保ちながら新たな自分の可能性にチャレンジすることができます。そこで経験を積み、決心がついたら副業を本業に変えてしまうのも良いかもしれません。
また、転職活動も一般的にはノーリスクです。会社に「転職活動を始めます」と申告する必要はないからです。転職サイトや転職エージェントを活用して、いつでも動き出せるよう情報収集をするのも良いでしょう。より良い生活を目指し、まずは小さくても一歩踏み出してみてください。
出典
全国賃貸管理ビジネス協会 全国家賃動向(2024年10月調査)
厚生労働省 最低生活費の算出方法
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
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