親が亡くなり、3人兄弟で相続することに。相続財産は、預貯金100万円・40坪の土地と住んでいた住宅だけです。3人でどのように配分すればいいですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月26日 23時0分
相続財産が不動産だけ 親が亡くなり複数の子どもたちで相続する場合、残された財産を等分して相続するのが一般的です。その際、預貯金や株式など金融資産が多い、不動産が数ヶ所に存在しているという条件であれば、相続人同士で相談の上 […]
相続財産が不動産だけ
親が亡くなり複数の子どもたちで相続する場合、残された財産を等分して相続するのが一般的です。その際、預貯金や株式など金融資産が多い、不動産が数ヶ所に存在しているという条件であれば、相続人同士で相談の上、誰がどれを相続するかを決めることは、それほど難しくはありません。
とくに金融資産は、容易に分割することができ、相続人同士の話し合いで解決でき、トラブルになるケースは少ないと思われます。
ところが、預貯金の額も少なく、相続対象がこれまで住んでいた家と土地が中心となると厄介な問題が発生します。相続人が複数いる場合は、トラブルにはなりかねません。親の存命中に相続人同士が集まり、実家の相続について相談をしておくことが大切です。
そうでないと、例えば実家の売却時期をいつにするか、親の住んでいた実家をすぐに売却するのかなど、合意ができず異議を唱える相続人がいると、話は簡単には進みません。相続税の申告期間は、決められており、方針は早めに決める必要がります。不動産が中心の相続の場合、具体的な分割方法として、次のような方法があります。
現物分割・不動産を等分にする
この分割方法は、相続不動産を合算し、それを等分に分ける方法です。例えば自宅以外に、田畑、山林、アパート、駐車場、別荘などがあれば、それぞれを相続人同士で話し合い、個々に不動産を相続する方法です。
相続不動産の評価額に差が出てくると思われますが、その差額については、高額の不動産を相続した方が、現金などで支払い精算します。自宅以外に何もない場合は、この分割方法は難しいかもしれません。
相続不動産が自宅だけに限られているケースでも、多少の広さのある土地であれば、家屋を解体した上で、土地だけを相続人の人数に応じて細かく分けて相続することも可能です。買い手さえ見つかれば、狭い面積であっても相続人一人ひとりの判断で売却もできます。ただし分割しにくい狭い土地だけの場合は、この分割方法は適していません。
換価分割・売却して現金化する
この方法は親の住んでいた実家(土地を含む)を売却して現金化し、残された金融資産と合算し、それを相続人同士で分割する方法です。すべての不動産を売却するため、相続財産は原則金融資産だけとなり、最もトラブルなく相続が完了する方法です。
とくに相続財産が不動産だけといったケースや、相続財産自体が少ないケースほどトラブルになりやすいといわれており、この方法で現金化ができれば問題は解決できそうです。
ただし、相続税の申告期間が決められているため、なるべく早く実行することが求められます。売却時期を巡り意見対立が起こった、思ったような価格で売却ができない、といった事態が起こると、売却時期が遅れることも考えられます。
代償分割・1人が相続、代償金を支払う
この方法は複数の相続人のうち、1人だけが親の住んでいた実家を相続、ほかの相続人に対し相続額に見合った金額を「代償金」として支払って解決する方法です。例えば、亡くなった親と同居していた方が、住んでいた家への愛着があるとの理由で、他の相続人に相続額に見合った金額を支払う方法です。
しかしこの方法を採用する場合、実家に居住する相続人の支払い能力が問題となります。地方の土地であれば地価自体も比較的安いので、資金的にも対応可能かもしれません。しかし東京のような大都市では地価も高騰しており、代償金が高額となり支払いも容易ではありません。
もし一度に支払うことができない場合は、双方が支払い条件などで合意し、契約書を作成、何年かに分割して支払うこともできます。ただし、受取側が分割払いに難色を示すと、この方法では解決できなくなります。
共有分割・相続人全員で共有する
この方法は、上記の分割方法が難しい場合に、実家を相続人全員の共有名義とする方法です。もし誰か1人が実家に住むことを希望するときは、相続人同士の協議により家賃を決め、その金額を他の相続人に支払います。
共有名義にすると、誰か1人が売却を希望しても、全員の合意がなければ売却はできなくなります。個々の事情があり、意見の対立が起こることもあるため、このことが原因で、これまでの人間関係が崩れる可能性すらあります。
共有名義自体が決して望ましい分割方法ではないため、共有分割を決めた時点でいつまでに売却するのか、地価がいくらになったら売却するのか、あるは何年後をメドに売却をするのか、といったことを共有分割を決めた段階で合意しておくと、トラブルの防止にもなります。
いずれにしても、相続人同士が相談しなるべく早く、どのような分割方法にするかの結論を出すことが求められます。決められた相続税納付期限が迫っているからです。
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
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