老後資金は「2000万円」必要と言いますが、実際60代で2000万円以上貯めてる人ってどれくらいいるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月30日 0時30分
いわゆる「老後2000万円問題」とは、令和元年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書をきっかけに、老後の生活費不足が広く注目されるようになったインパクトのある問題です。 本記事では、60代の貯蓄事情や老後資金を貯める方法について解説します。
そもそも「老後2000万円問題」とは
先に述べた金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書では、高齢化が進む日本において、年金だけでは老後の生活費を賄えず、30年間で約2000万円の資金不足が生じる可能性があると指摘しています。この状況を俗に「老後2000万円問題」と言い、さまざまな社会的な議論が起こり、多くの人が老後の資金計画に不安を抱くようになったのです。
この試算では、以下の条件を想定しています。
●夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯
●夫婦とも健康で、夫が95歳、妻が90歳まで30年間生活する
●毎月の生活費が年金収入を約5万5000円上回る赤字となる
上記条件のもとでは、年間約66万円の赤字が積み重なり、30年間で約2000万円が不足する計算になります。ただし、これが全ての家庭にそのまま当てはまるわけではありません。例えば、生活費や受給する年金額、住居形態、医療費の支出状況などによって必要な資金は大きく変わることはご留意ください。
60代の貯蓄事情
ここでは、金融広報中央委員会 知るぽるとの「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」を基に60代の貯蓄事情を表1にまとめました。
表1
貯蓄額 | 二人以上世帯の割合 | 単身世帯の割合 |
---|---|---|
100万円未満 | 7.4% | 12.8% |
100万~200万円未満 | 5.7% | 7.1% |
200万~300万円未満 | 5.5% | 4.3% |
300万~400万円未満 | 3.8% | 6.4% |
400万~500万円未満 | 2.4% | 3.5% |
500万~700万円未満 | 9.2% | 5.3% |
700万~1000万円未満 | 8.4% | 4.3% |
1000万~1500万円未満 | 8.7% | 9.9% |
1500万~2000万円未満 | 6.8% | 6.7% |
2000万円以上 | 38.0% | 34.8% |
出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」を基に筆者作成
60代で2000万円以上の貯蓄がある世帯は、二人以上世帯で38.0%、単身世帯で34.8%いることが分かりました。一方で、貯蓄が500万円未満の世帯も二人以上世帯で約25%、単身世帯では約34%存在しており、貯蓄状況には大きな差があるといえるでしょう。
60代の平均貯蓄額は二人以上世帯が2588万円、単身世帯で2240万円と高額に見えますが、これは、一部の富裕層が全体の数字を押し上げているためと考えられます。これに対して中央値は二人以上世帯が1200万円、単身世帯が1100万円であり、多くの世帯がこの水準であることを示しています。
老後資金として2000万円を貯める方法
老後資金として2000万円を貯めるには、長期的な計画を立てることと、生活スタイルの見直しがポイントです。ここでは、「長く働くことで安定した収入を得る方法」と「固定費の見直し」について紹介します。
長く働いて安定した収入を得る
体が元気であれば、働き続けることは老後資金を補うための大切な手段です。労働による収入があれば、日々の生活費をカバーでき、貯蓄の取り崩しを抑えられます。仕事の量や責任の大きさを現役時代と同じレベルに保つ必要はありません。無理をせず適度に働くことが、健康や精神面においてもプラスに働くでしょう。
これまでの職歴やスキルを生かした仕事を選ぶと、職場環境に慣れる手間が省け、収入も安定しやすくなるかもしれません。例えば、定年後の再雇用制度を利用して現在の職場で継続して働いたり、新たにパートやフリーランスとして働いたりする選択肢があります。
固定費の見直しを行う
老後資金を効率的に貯めるためには、支出の中でも家賃、水道光熱費、スマホ代など毎月一定額で支出される固定費を見直すことが効果的です。例えば、家賃では更新時に値下げ交渉を行ったり、より安い物件へ引っ越したりすることが考えられます。水道光熱費では、契約プランを見直したり、より安い料金プランを提供する会社に切り替えたりすることで節約が可能です。
老後資金を2000万円以上貯めている60代は35~40%ほど
金融広報中央委員会 知るぽるとによれば、2000万円以上の貯蓄を持つ60代世帯は、単身世帯および二人以上世帯において、35~40%ほどにのぼりますが、中央値は1100万~1200万円と現実的な水準です。この差は一部の富裕層が平均値を押し上げているためと考えられ、老後資金の計画には中央値を基準にすることが現実的でしょう。
2000万円を貯めるには、長く働いて安定した収入を得たり、家賃や水道光熱費などの固定費を見直して支出を抑えたりする工夫が重要です。収入の安定や節約により、安心できる老後資金の形成を目指しましょう。
出典
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」 1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化) (3)金融資産の保有状況(16ページ)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号3 金融資産保有額(金融資産保有世帯)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号3 金融資産保有額(金融資産保有世帯)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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