ゼロ金利でもおすすめできる個人向け国債!でもなぜ?
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月9日 9時0分
2019年1月4日の債券市場は、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時マイナス0.050%まで低下。平成最後の正月明けは、いきなりマイナス金利でスタートしました。 10年物の国債がマイナス金利ということは、10年間もお金が増えないどころか、満期償還まで持っていると損をすることになります。
金利が高い債券はリスキー
マイナス金利が生じた主な要因は、世界的な景気減速への懸念やリスクの拡大などから、一時的にリスクを回避したい機関投資家が、資金の運用先として日本国債を買ったことによります。
国債や社債などの債券を買う人が多くなると債券価格が上昇するので、金利は低下します。
市場に参加しているのが個人ばかりなら、確実に損をするような債券は誰も買おうとしませんから、マイナス金利は考えられません。しかし、常に何かで運用しようとする機関投資家、とくに外国の投資家の場合は日本国債を買ってから円高になれば儲かるわけですから、多少のマイナス金利でも買う動機になります。
マイナス金利は一時的ですが、銀行預金もゼロに近い金利が長く続き、資産運用で安全確実に利益を獲得する方法は、ほぼない状態です。
ネットバンクなどのキャンペーン金利で高めのものを見かけますが、ほとんどが期間の短い定期預金であるため、3ヶ月などの満期が来たら次の運用先を探さなければなりません。また、個人向け社債など、固定金利の円建ての公社債でも利回りの高いものを見かけることがありますが、当然、リスクは高まります。
国内の債券市場の金利(利回り)は、満期までの期間など他の条件が同じなら、もっとも低いのは国債で、社債は一般的に発行会社の信用リスクが高くなればなるほど金利も高くなります。発行会社のリスクが高ければ、そのぶん金利を高くしなければ発行しても買ってもらえませんから、当然、高く設定されます。
リスクが高いのか低いのかを見分ける方法として、格付けがあります。格付けの方法は、格付け会社によって若干異なりますが、格付けの高いほうから順に、AAA、AA、A、BBB、BB、B、CCCというように表記され、格付けが下がるほどデフォルト(債務不履行)リスクが高くなります。BBB以上は投資適格債券ですが、BB以下は投機的債券と呼ばれ投資には適しません。
中途換金しても元本保証がある個人向け国債
債券を買った後に市場金利が上昇すると、通常、手持ちの債券価格は下がります。
債券価格が下がれば、いざ換金(売却)するときに損をすることになります。そのため、金利がゼロに近い状態で一般的な債券を買うのは、わずかな金利と引き換えに元本割れするというリスクを伴います。
債券を買ってから、金利が上がろうが下がろうが損をしないのが個人向け国債です。
個人向け国債には、期間が3年と5年の固定金利型と期間10年の変動金利型があります。どれも発行から原則1年経てば中途換金が可能で、しかも他の債券と違って国が元本で買い取ってくれますから、中途換金調整額として約1年分の税引き後利息分が差し引かれるものの、基本的に損をすることはありません。
そのぶん一般の同期間の国債よりも低い利率が設定されることになっていますが、最低でも0.05%が保証されており、2019年2月発行分(募集期間は1月10日から31日)は、いずれも0.05%の利率が適用されます。
もっとも、10年債は半年ごとに利率を見直す変動金利型ですので、金利が上昇すれば利息も増えていきます。とはいえ、将来的に金利が上昇すると予想するなら、それまでは普通預金に預けたままにして、金利が高くなってから個人向け国債を買ってもさほど変わらないので、金利面での魅力はほとんどないでしょう。
個人向け国債の魅力はキャッシュバック
利率0.05%でも個人向け国債が売れるのは、取り扱い証券会社などが行っているキャッシュバック・キャンペーンを目当てに買う人が少なくないからです。
10年債の2019年2月発行分のキャッシュバックは、大手証券では購入額が100万円の場合は2000円、500万円の場合は1万5000円、1000万円の場合は4万円などとなっています。対象となるのは100万円以上で、金額が大きくなるほどキャッシュバックの割合も高くなっています。
ネット証券では100万円未満でもキャッシュバックを取り扱っているところもありますが、全体的に大手証券よりも低めになっています。また、5年債は減額され、3年債は減額または対象外とする証券会社がほとんどです。
金利がほぼゼロの状態で高収益を求めようとすれば、どうしてもリスクを伴います。安全確実にそれなりの利益を得たい人には、個人向け国債をキャッシュバック制度のある証券会社で購入することをおすすめします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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