住宅ローンの金利が高いので借り換える予定です。11月に会社の年末調整で住宅ローン控除をしたのですが、何か手続きしなくてはいけませんか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月2日 2時0分
Aさんは6年前に住宅を購入し、その際変動金利でローンを組んでいました。昨今の金利上昇の影響で住宅ローンの金利も上がってしまい、少しでも金利の低い銀行に借り換えることを検討しています。 年末調整でローン関係の資料は会社に出していますが、それ以外に何かしなければならないことがあるのか心配しています。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、「住宅借入金等特別控除」の俗称で、住宅を購入して返済期間が10年以上の住宅ローンがある場合に一定条件を満たすと、入居した年から最長で13年間、年末時点での住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。
もし所得税だけでは控除しきれない場合は、翌年の住民税から控除が行われます。控除によって税金の還付を受けられますが、あくまでご自身が納めた税額以上に戻ってくることはありません。
どのような条件であれば控除が受けられるの?
新築住宅の場合、住宅ローン控除の条件は下記の7つです。
(1) 住宅取得後6ヶ月以内に入居し、引き続き居住していること
(2) 家屋の床面積(登記面積)が50平方メートル以上であること ※
(3) 床面積の2分の1以上が、もっぱら自己の居住の用に供されるものであること
(4) 民間の金融機関や独立行政法人住宅金融支援機構などの住宅ローン等を利用していること
(5) 住宅ローン等の返済期間が10年以上で、分割して返済するものであること
(6) 控除を受ける年の所得金額が2000万円以下であること
(7) 長期優良住宅建築計画の認定通知書(または低炭素建築物新築等計画の認定通知書)および住宅用家屋証明書などにより証明されたものであること
※ 家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満(令和6年12月31日までに建築確認を受けたものに限る)である場合は、(6)の要件が1000万円以下であるときに限り控除を受けられます。
また、中古住宅の場合は条件が一部変わります。
借換の際の注意点は
金利が上がったからより金利が低い金融機関で借り換えるということですが、新規の借入同様審査があります。
借換の際の審査で特徴的なのは担保評価です。
最初の借入時に比べて建物自体の評価額は下がっていますし、所在地によっては地価の下落で価値が返済したローン額以上の早さで下がっている場合もあります。その場合は担保不足によって残債分をそのまま借り換えられないという事態も生じます。
また、最初の借入時に比べて当然年齢が高くなっていますので、健康上の問題で団信(団体信用生命保険)へ加入ができず、ローンの借換ができないというケースも考えられます。
そもそも、借換を行ったら控除は受けられるの? その場合の条件は?
借換を行った後の住宅ローンは、原則として住宅ローン控除の対象外です。なぜなら、住宅ローン控除はマイホームを購入や増改築をした場合のローンを対象とする控除だからです。
ただし、下記の2つの条件を満たせば控除を受けることは可能です。
(1) 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明らかであること
(2) 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど、住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること
なお、住宅借入金等特別控除を受けることができる年数は、居住の用に供した年から一定期間であり、住宅ローン等の借換によって延長されることはありません。
Aさんの場合は具体的にどうすればいいの?
Aさんは11月に会社の年末調整で住宅ローン控除をしたとのことです。12月に融資実行の予定の場合は、年末には残高が変わってきますので再度年末調整を行うことになります。ただし、その場合は勤務先にその旨を伝えなければなりません。
方法の1つとしてですが、諸々の融資の条件が変わらないとすれば、融資の実行を年明けにしてもらうようなスケジュールを組む方法もあります。
そうすれば、借換の完了が1月~9月頃に終わりますので、10月頃に金融機関から届いた年末残高証明書を利用して翌年から年末調整を行います。
ただ、どうしても年内にということであれば、ご自身で確定申告をします。
金利以外の部分にも目を向けて
借換と同時に返済期間を短くすることになれば、住宅ローン控除が適用されなくなってしまうことがあります。さらに、住宅ローンの借換の際は、金利の差だけでなく諸費用等も確認しなければなりません。返済期間や残債しだいでは、借換メリットがあまりないケースもありますし、そもそも借りられないというケースも出てくるかもしれません。
慎重に検討しましょう。
出典
国税庁 No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表
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