糖尿病予備軍の医療費はどのくらい増える?
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月11日 10時0分
筆者は、食後の血糖値が正常な人よりも高くなる「食後高血糖」という症状があり、糖尿病(Ⅱ型)の予備軍です。 厚生労働省が行っている「国民健康・栄養調査」(平成29年)によると、20歳以上で糖尿病が強く疑われる人の割合は男性が18.1%、女性が10.5%です。誰にとっても人ごとではありません。 そこで今回は、「糖尿病とお金」というテーマで、筆者の体験談を交えながら、多くの方に知っておいてほしいことを紹介します。
人工透析は年間で500万円近い医療費がかかる
糖尿病にはさまざまな合併症がありますが、そのうち代表的なものは以下の3つです。
・糖尿病網膜症
・糖尿病神経障害
・糖尿病腎症
このうち糖尿病腎症になると腎臓の機能が低下し、人工透析が必要になることがあります。
人工透析とは、血液をいったん体外に排出し、専用の機器でろ過して体内に戻すことを言います。
人工透析(血液透析の場合)は1回4時間、週に3回程度の通院が必要となるので、日常生活を営むうえで大きな制約が生まれます。ちょっと想像してみれば、いかに大変かが分かりますよね。
血液透析は月に40万円、年間にすれば500万円近い医療費(健康保険適用前)がかかると言われています。腎移植を受けて根治しない限り、これがずっと続きます。
医療費が高額なので、健康保険の高額療養費制度を利用することができますが、慢性腎不全で人工透析をする場合は「高額長期疾病の特例」に該当します。そのため、自己負担額は一般的な計算式で求められる金額と違います。
この場合、患者の自己負担は月1万円(70歳未満の上位所得者は2万円)とされており、より負担が少なくて済むのです。
また、自治体によってはこの自己負担分を助成するところもあります。そのため、重い病気ではありますが自己負担は意外なほど少なくて済みます。患者としては安心かもしれませんが、その差額は最終的に加入者全員が保険料や税金として負担するものなので、予防できるものはなるべく予防することが必要と言えます。
糖尿病予備軍と診断されて生じた負担
筆者は医師から指示されていることもあって、半年に一度、血液検査とインスリン分泌量の検査を受けています。
また、アメリカの製薬会社であるAbbott社の「フリースタイルリブレ」という血糖値(正確には間質液中の糖濃度)測定器を使い、食事の内容によって血糖値がどのように変化するかを調べています。
この機器から得られたデータを表計算ソフトでグラフ化し、以下のようにして食べたものとの相関を調べるのです。
赤いラインは正常範囲の上限(食後2時間血糖値)で、この日は2回、正常範囲を超えたということです。
1つの機器は2週間の測定ができるので、その間に何を食べると血糖値がどのように変化するかを観察し、食べても良いものとそうでないものを見分けています。
食品のパッケージに記載されている糖質量から予想されるものとは大きく違う血糖値の変化が起こることも珍しくないので、この機器から得られるデータはとても役に立っています。
なお、この測定器の費用は1個約8000円(年に1~2回)で、定期的な血液検査の費用として1回あたり約5000円がかかっています。また、糖質の少ないものを中心に食べるので、食費が2~3割ほど高くなりました。
これらを合計すると、血糖値が高いという診断を受けたことによって、筆者は年間15万円程度の費用がかかっていることになります。
糖尿病(の予備軍)かどうかを判断する方法は?
糖尿病は進行しないと自覚症状がありませんが、血液検査を受けることで早期発見ができます。
会社員や公務員なら健康診断でHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値を知る機会があるでしょう。糖尿病かどうかのスクリーニングを行ううえではこの値を用いるのが一般的です。
ただし自営業者の場合、定期的に血液検査を受ける機会がないという人も多いのではないでしょうか。もし、医療機関で血液検査を受けることに気が乗らないなら献血をするのがおすすめです。
献血を受けると後日、ハガキで血液検査の結果が届きます。そこに記載された「グリコアルブミン」の値を確認してください。これが正常範囲を超えている場合は医師の診察を受けましょう。
筆者は診察を受けている医師から「(糖尿病網膜症で)目が潰れてから来るビジネスマンが多い」という話を聞いたことがあります。「そのうち」と考えず、気になったらなるべく早く検査を受けましょう。
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者),フリーランスライター
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