高齢の親がお年玉として「100万円」くれました。本人は「相続対策」のつもりらしいですが、贈与税が心配です。税務署から電話がかかってくることはありませんか…?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月3日 4時40分
高齢になると多くの人が身近に感じる「相続」。一定の財産があれば、相続対策に頭を悩ませる人も少なくないでしょう。その対策の1つとして、生前に贈与を行って相続財産を減らしておく方法があります。 本記事では、親が子どもにお年玉として100万円を渡したけれど、子ども自身は高額なお年玉を受け取って問題が起こらないか心配しているケースを取り上げます。100万円の取り扱われ方と、受け取ることによって想定される問題点を解説します。
人から財産を受け取ると贈与税の対象になる
個人から贈与により財産を取得した場合には贈与税がかかります。本記事のケースでは、親子間での贈与ですが、親であっても自分以外の個人ですので、贈与税の対象です。「親族間であれば財産の行き来に贈与税は関係ないだろう」と勘違いしてしまいがちなので注意しましょう。
お年玉は非課税だけど、100万円は例外になる可能性大
とはいえ、社会生活を送るうえで個人間の贈与は日常的に行われているでしょう。例えば、子どもの学費や結婚式のご祝儀、入院のお見舞金などです。このような贈与に対しても逐一、贈与税の対象とするのは現実的ではないため、その財産の性質や贈与の目的などから見て、贈与税がかからない財産があらかじめ定められています。
その中の1つに、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」があり、お年玉はこれに該当するでしょう。しかし注意が必要なのは、「社会通念上相当と認められるもの」と記載がある点です。
つまり、常識的な金額ということです。大学生へのお年玉であっても相場は1万円程度という調査結果もあるように、いくら大人に対してのお年玉だとしても100万円は明らかに高額であり、非課税とならない可能性が高いでしょう。
贈与税には110万円の非課税枠がある
100万円のお年玉に対しては贈与税がかかる公算が大きいですが、そもそも贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられています。毎年1月から12月までに受けた贈与の総額が、そのお年玉を合わせて110万円以下であれば贈与税はかかりません。
税務署から電話がかかってくることはあるのか?
お年玉100万円を受け取ったことで、税務署から電話がかかってくる可能性がないとは言い切れません。預金の動きに不審な点があれば、税務署も調査しなければならないからです。ただ、もし電話があったとしても、素直にお年玉でもらった旨を話せばよいです。前述の通り、贈与を受けた総額がお年玉を合わせて年間110万円以下であれば、贈与税もかかりません。
最大の問題点は親族間トラブル?
お年玉100万円には税金の問題がついてくることを解説しました。しかし、最大の問題点は不平等な贈与による親族間トラブルかもしれません。
例えば、3人兄弟で長男1人だけが100万円のお年玉を受け取っていたことを他の2人が知った場合、2人がすんなり納得するとはあまり思えません。言わなければバレないと思うかもしれませんが、親の相続税計算の際に行われる生前贈与加算という制度では、死亡前3年以内の贈与を相続税計算に含めなければなりません。
つまり、長男だけに贈与が行われていたことを他の兄弟が知る機会があるということです。兄弟がいる場合には、お年玉も平等に配るよう配慮が必要です。お年玉を受け取る前に親に確認するとよいですね。
なお、生前贈与加算は税制改正が行われており、2024年1月1日以後の贈与については、その加算対象期間が相続開始前7年以内となりました。経過措置によって、2026年12月31日までの死亡であれば3年以内ですが、徐々に延びていき、2031年1月1日以降は7年となります。
まとめ
お年玉100万円は贈与税の対象になりますが、親から受け取った財産が年間でこの100万円のみであれば、贈与税の基礎控除の110万円以内なので贈与税は発生しません。万一税務署からの問い合わせがあっても、正直に「お年玉として受け取った」と答えましょう。
しかし、最大の問題点は親族間トラブルとなる可能性がある点です。お年玉を受け取る前に親に平等性を確認しておくとよいでしょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
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