遺族年金の受給金額は実際いくら?何歳まで貰えるの?受給条件も難しくない?
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月12日 10時15分
遺された家族への資金を準備することは、一家の大黒柱にとって大きな関心事です。遺族の生活費の準備には、まず生命保険が思い浮かぶと思いますが、保険契約の前に遺族の生活を支える公的な制度である「遺族年金制度」について確認してみてはいかがでしょうか。 今回は、代表的な遺族年金制度である「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つの年金の支給額の算出方法と、誰が、いつまでもらえるのかを説明していきます。
遺族基礎年金について
日本の公的年金制度は階層状になっており、1階部分は国内に住む全員が加入する国民年金になります。
遺族基礎年金は国民年金に25年以上加入していた人が死亡した場合、その人に生計を維持されていた「子」(18歳未満。または、障害等級1、2級を持つ場合は20歳未満の未婚の子)、または、子のある配偶者に支給されます。
受給対象者や支給要件からも推察されるとおり、遺族基礎年金は基本的には遺児のための年金となります。遺族基礎年金の支給額は、平成30年度現在で年間77万9300円+子の加算額(1、2人目は年額22万4300円、3人目以降は7万4800円)を18歳に到達する年度末まで受け取ることができます。
寡婦年金と死亡一時金とは
寡婦年金は、その名のとおり女性だけが対象となる年金制度です。
夫が自営業者(第1号被保険者)で妻の生計を維持している場合、夫が先だつと、妻の収入が途絶してしまう恐れがあります。遺された妻が働きに出て賃金を得られればいいのですが、タイミングによっては難しいこともあります。
そこで、頼りになるのが「寡婦年金」です。婚姻期間が10年以上ある60歳から65歳未満の妻が、自分自身の老齢年金を受け取ることができるようになるまでの最大5年間、夫が受け取るはずであった国民基礎年金の支給額の4分の3を受け取ることができます。
しかし、老齢年金を受給する前に死亡し、遺族基礎年金や寡婦年金の支給要件も満たせなかった場合、保険料は全て掛け捨てとなってしまい不公平が生じます。
そのため、死亡者の保険料納付済期間などが36ヶ月以上ある場合、その期間に応じて12万円~32万円の「死亡一時金」を、生計を同一にしていた遺族が受け取ることができるようになっています。
遺族厚生年金について
厚生年金は公的年金制度の2階部分に属しており、会社員や公務員が加入しています。遺族基礎年金は支給要件が厳しく、金額もさほど大きくないことから、万が一の場合に役に立つのか不安に感じられたと思います。
「子」に限定されていた遺族基礎年金とは異なり、遺族厚生年金では、受給対象者が生計維持の関係にあった妻、または55歳以上の夫、父母、祖父母等も含まれるようになっており、被保険者が死亡した場合の生活を支える保険としての性質が強化されています。
支給額は被保険者の収入(平成15年3月までは平均標準報酬月額を用い、それ以降は平均標準報酬額を用いて計算を行います)と加入期間によって短期要件と長期要件どちらに該当するかで支給額が変動します。
仮に厚生年金の加入期間が長期要件である25年間で、収入と連動する平均標準報酬額が40万円と仮定した場合、受け取ることができる遺族厚生年金の年額は40万円×0.005481×300ヶ月×3/4=49万3290円となります。
遺族厚生年金の基本的な計算式は以下のとおりです。
A=平均標準報酬月額×0.007125×平成15年3月までの被保険者月数
B=平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以後の被保険者月数
・短期要件の遺族厚生年金額(厚生年金の被保険者期間中に死亡した場合など)
(A+B)×300ヶ月÷被保険者月数×3/4
・長期要件の遺族厚生年金額(厚生年金の加入期間が25年以上ある者が死亡した場合)
(A+B)×3/4
まとめ
遺族厚生年金は遺族基礎年金と比べて受給対象者が広く、支給額も収入に応じた金額を受け取ることができますが、その反面、支給額の計算が少し複雑で正確な金額を算出するのが難しくなっています。
また、収入の増減によっても将来受け取れる見込み額が変化します。転職などで収入が大きく変わりそうな場合は試算を行うなどして年金額の再確認を行うと良いでしょう。
また、遺族年金を受けるには保険料の納付要件があります。
原則として、年金保険料納付済期間と年金保険料免除期間が、年金に加入していた期間の3分の2以上であること、また、経過的措置として、死亡時の年齢が65歳未満の場合、死亡日の前日において死亡月の前々月までの1年間に未納期間がないことが遺族年金の共通した給付要件となっています。
保険料が未納となっている場合は、その期間によって遺族年金が給付されない恐れがあります。学生期間や資金的な問題から年金保険料が支払えない場合は、免除制度を利用し未納期間が生じないように注意してください。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
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