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60歳で定年退職して、70歳から年金を受給する場合、この間の10年間の生活費はどうすればよいでしょうか? ほかの人たちはどうやって生活しているのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2025年1月4日 23時0分

60歳で定年退職して、70歳から年金を受給する場合、この間の10年間の生活費はどうすればよいでしょうか? ほかの人たちはどうやって生活しているのでしょうか?

最近は、65歳定年が広がっているようです。しかし実際には60歳で定年退職し、65歳まで雇用が延長されているケースもあるようです。 60歳で退職した場合、年金受給は本来であれば65歳からできますが、繰下げ受給で70歳から受け取る場合の生活費について考えてみます。

現在の年金制度

老齢年金の基礎部分に当たる「老齢基礎年金」は、65歳から受け取ることができるようになります。
会社員の方など厚生年金に加入していた方は、原則として65歳から老齢厚生年金を受け取ることになります。
ただし、昭和34年4月2日から昭和36年4月1日までに生まれた男性、昭和39年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた女性は、64歳から「特別支給の報酬比例部分」として老齢厚生年金を受け取ることができます。昭和36年4月2日以降生まれの男性と昭和41年4月2日以降生まれの女性は、原則どおり65歳から老齢厚生年金を受け取ることになります。
 
なお、年金は必ず65歳から受け取らなくてはいけないわけではありません。60歳以降から75歳未満までの間の1ヶ月単位で、受け取る時期を選ぶこともできます。65歳に満たないうちに受け取ることを「繰上げ受給」、65歳以降に受け取ることを「繰下げ受給」といい、「繰上げ受給」では、1ヶ月繰り上げるごとに0.4%減額され、最大で24%減額されることになります。
「繰下げ受給」の場合は、1ヶ月ごとに0.7%が上乗せされ、最大84%増額されます。
 

70歳から繰下げ受給を考えるとき!

70歳から年金を繰下げ受給することを選んだ場合、当然、本来受け取ることができる65歳から70歳までの間は、年金を受け取ることができません。従って、この期間に他の収入がなければ無収入となります。
仮に勤めていた会社の定年退職が60歳で退職金もあれば、退職金とこれまでの貯蓄を取り崩して生活をしていくことも考えられます。総務省の「家計調査(家計収支編)2023年(令和5年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は25万959円、単身世帯では14万5430円となっています。単純にこの支出が60歳から10年続いたとすると、夫婦のみの世帯で約3000万円、単身では約1750万円が必要になります。ただし消費支出はあくまで平均なので、まず現在の自身の生活費がどれくらい必要なのか、確認しておくことも大切です。
 
また気になるのが、70歳まで繰下げした場合の受給額です。例えば65歳から受け取る年金額が、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて18万円だとすると、繰下げ受給によって42%増やすことができるので、25万5600円となります。
さらに配偶者がいる場合は、配偶者の年金も合わせて考えると、老後の生活費として不足がなくなる可能性があります。
 

取り崩しにも工夫が必要

前項では「夫婦のみの世帯で約3000万円、単身では約1750万円が生活費としてかかる」というデータを用いました。確かに60歳のとき、退職金もしくは退職金と貯蓄を合わせて3000万円あり、無駄な消費を抑えて生活すれば、70歳まで生活できるのかもしれません。
しかし3000万円がなければ、取り崩しにも工夫する必要が出てきます。
例えば、資金が2500万円あり、毎月25万円ずつを取り崩せば、8年4ヶ月で資金が尽きてしまい、1年8ヶ月分の生活費が足りなくなります。
しかし、この資金を4%で運用しながら同じように25万円を取り崩していけば、10年間で資金は尽きることになり、70歳まで生活ができる可能性が出てきます。
(※注:取り崩しの金額は資本回収係数から算出していますが、一定の利回りで運用できない可能性があります)
 

長く働く人も増えている

60歳から働かずに年金受給を繰下げしようとすると、それなりに資金が必要になります。
「働かない」と考えた場合は、無収入になった時の対策を早めに講じる必要があります。人によっては現役時代から、資産形成をしながら人生設計を建てる必要があります。
貯蓄や退職金が得られる場合以外で、60歳を目前に何の準備もなく年金を繰下げしようとするのは、無謀ともいえるのではないでしょうか。
また、内閣府が発表している「生活設計と年金に関する世論調査」でも、65歳以上まで働きたいという人が増えてきています。
老後資金の準備として、企業で採用されている制度や、個人でも利用できる「個人型確定拠出年金」などを活用して、60歳時の資金を考えることが大切です。
 

まとめ

60歳から70歳までの10年間に年金のほかの収入がない場合、今ある資金を活用した取り崩しが必要になります。
今回は家計調査のデータを用いて考えていますが、生活に関しては、さまざまな生活水準があります。60歳からの10年間の生活費がどれくらい必要なのか、自分の生活水準を考えて、生活していくだけの資金を取り崩せるようにする資金を逆算しておく必要があります。
資産運用はお金を増やすだけではなく、取り崩す時も運用しながら取り崩すことで、資産寿命を延ばすことができます。
ただし資産運用にはリスクがあり、予定通り取り崩しができない可能性もあります。現役時代の早い時期から準備して、ゆとりある資金を確保しておくことが大切でしょう。
 

出典

内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」(令和5年11月調査)
総務省「家計調査報告(家計収支編)」(令和5年調査)
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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